令和2年度「算定基礎届」の注意点|起業サプリジャーナル

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令和2年度「算定基礎届」の注意点

公開日:2020.07.01

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今年も算定基礎届の提出時期になりました。

 

算定基礎届は、1年に1回行われる、社会保険料の定期見直しで、4月、5月、6月に支払われた報酬の実績を日本年金機構に報告し、その年の9月分以降の社会保険料を決めるための手続です。

 

固定的報酬が2等級以上変動して、随時改定(臨時の社会保険料の改定」の要件に該当する場合を除き、算定基礎届によって決定された社会保険料は、翌年の8月まで適用されることになります。

 

算定基礎届の提出期限は7月1日から7月10日までとなっています。

 

算定基礎届の記載方法など一般的な解説は、既に書籍やインターネット上に多々ありますので、本稿では、令和2年度特有の注意点について、重点的に説明をしたいと思います。

 

コロナによる提出期限の延長は無い

 

毎年、同時期に行われる「労働保険の年度更新」は、新型コロナウイルスの影響を鑑み、申請期限および保険料の納付期限が本来は7月10日までであるところ、8月31日までに延期されました。

 

これに対し、社会保険の算定基礎届は、原則通りの7月10日までの提出期限で、新型コロナウイルスによる提出期限の延長はありません。まずは、この点ご注意ください。

 

ただし、実務上は提出期限を多少遅れたとしても、直ちに会社が不利益やペナルティを受けるということはありませんので、過度な心配は不要です。新型コロナウイルスの影響等により、7月10日までの提出が難しい場合は、可能な範囲で迅速な提出を心がけてください。

 

休業に注意

 

冒頭で、算定基礎届は、4月、5月、6月に支払われた報酬を日本年金機構に報告するための手続であると述べましたが、今年は、4月、5月、6月に、新型コロナウイルスの影響により休業をした会社も多かったと思います。

 

休業があった場合には、算定基礎届の書き方に注意が必要です。

 

まず、休業手当が支払われなかった場合、すなわち、無給での休業だった場合についてです。

 

算定基礎届には、4月、5月、6月の報酬支払額に加え、その報酬支払いの基礎となった日数を記載しますが、無給の休業日に関しては、欠勤日と同様、支払基礎日数に含めません。

 

そして、算定基礎届では、4月、5月、6月の3か月の報酬を平均した金額を、その年の保険料の算定根拠となる報酬として報告するのが原則なのですが、無給での休業の結果、支払基礎日数が17日未満となった月は、平均を算出する計算から除外する必要があります(除外して、2か月または1か月の平均をとる)。

 

全ての月が17日未満になってしまった場合は、従前の標準報酬月額に準じて新年度の標準報酬が決定されます。

 

次に、休業手当が支払われた場合です。

 

ここでは、さらに細かく2パターンに分かれます。

 

第1は、7月1日時点で休業が解消していない場合です。

 

この場合においては、休業手当を含んだ金額をその月の報酬として記載し、支払基礎日数に休業手当の支払対象となった日も含めます。そうすると、休業手当の支払対象となった日も含めて17日以上の基礎日数があることになると思いますので、その状態で、原則通りの3か月平均を算出することになります。

 

第2は、7月1日時点で休業が解消している場合です。

 

この場合においては、「休業手当を含んだ金額をその月の報酬として記載し、支払基礎日数に休業手当の支払対象となった日も含める」というのは第1のバターンと同じなのですが、休業手当の支払対象となった日は除いた、2か月ないし1か月で、月平均を算出する形になります。なお、3か月全てに休業手当が含まれている場合は、休業前の標準報酬月額に準じて新年度の標準報酬が決定されます。

 

厚生年金に最高等級が追加

 

現在の厚生年金の標準報酬月額の最高等級は、31等級(620,000円)です。これに対し、今年の9月1日より、32等級(650,000円)が新たな最高等級として追加される予定です。

 

算定基礎届の提出においては、新しい32等級に該当する方も、特段の対応をする必要は無く、従来通りの形で提出すれば問題ありません。

 

日本年金機構より、9月からの標準報酬月額が決定通知書で返送されてくる際に、新32等級に該当する人は、650,000円の標準報酬月額が記載されているはずですので、ご確認ください。

 

新型コロナウイルスによる標準報酬月額の特例改定

 

新型コロナウイルスによる休業で、4月~7月の間に1か月でも実際に支払われた報酬が標準報酬月額で2等級以上ダウンした場合、本人からの希望があれば、臨時の随時改定を行うことができるという特例が、6月25日に日本年金機構より発表されました。

 

通常、7月~9月に随時改定を行う場合には、対象者については算定基礎届の提出を行いませんが、上記特例改定の場合には、重ねて算定基礎届の提出が必要となりますので、この点、漏れのないように対応をお願いします。

 

まとめ

 

以上のように、今年の随時改定は、新型コロナウイルスの影響や法改正により、例年よりもイレギュラー事項が多いですので、気を付けながら実務を進めて頂きたいと思います。

 

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投稿者について
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榊裕葵

東京都立大学法学部卒業後、上場企業の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務。独立後、ポライト社会保険労務士法人を設立し、マネージング・パートナーに就任。「社員から信頼される会社作りをサポートする」を経営理念として、顧問先の支援に当たっている。

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