在宅勤務やリモートワークを推奨する流れが加速し、会社の業務で、もはやオフィスにいなければ完結しないという業務は少ない様に感じる。それと同時に、そういった働き方を組織の中でするか、フリーランスとして選択するかの多様性も広がってきたのではないだろうか?今回取材をした秋沢氏は、正にそういった方々に選択肢を提供してくれるサービスを展開する起業家だ。「未来を自分で選択できる社会をつくる」というビジョンを掲げ、約400名のフリーランスがリモートで働くオンラインアシスタントサービス「HELP YOU」を運営している。この「HELP YOU」について詳しく話を伺った。
プロフィール(株式会社ニット 代表取締役 秋沢崇夫)
1981年東京都生まれ。青山学院大学卒業後、2004年株式会社ガイアックスに入社し、営業、事業開発に関わり24歳で営業部長に。起業すると決めて32歳で退職したのち、起業の軸を探すために、東南アジアやアメリカを放浪する旅にでる。旅の最中にリモートワークを経験したことで、現代社会の働き方に疑問を感じるようになり、毎日オフィスに行くという働き方だけでなく、もっと様々な働き方や生き方の選択肢があってもいいのではないかと考え始める。帰国後、誰もが自分らしい働き方を選択できるために「HELP YOU」というサービスを立ち上げる。
株式会社ニットについて
ー 事業内容について、教えて下さい。
現在、弊社では2つのサービスを提供しています。
・優秀なアシスタントチームが業務効率化を支援するオンラインシスタントサービス「HELP YOU」
・働き方を自分自身で選択したい方を応援する「働き方提案メディア」働き方提案メディア「くらしと仕事」
ー オンラインアシスタントサービス「HELP YOU」とは、どんなサービスなのでしょう?
企業のバックオフィス業務をオンラインで請け負っているサービスです。請け負ってくれているのは、リモートで働いているフリーランスの方々になります。現在では約400名のスタッフが登録しており、スタートアップから大手といった様々な企業のバックオフィス業務をサポートしています。
ー サービスの特徴についても教えてください。
大きくは2つあります。
1.“チーム”で業務を受けることで横断的な業務に対応出来ること
2.登録スタッフの定着率が高いこと
一つ目の「チームで業務を受けることで横断的な業務に対応出来ること」ですが、登録スタッフの中には人事も出来れば、経理も出来る人材もいるので、弊社ではそれに専属ディレクターをつけて、一つのチームにまとめています。こうすることで、クライアントのニーズに対しても横断的に対応することも出来ますし、クライアントにとっても「人事のアウトソーシングはA社で、営業事務はB社」といった様なコミュニケーションコストも削減が出来るメリットがあります。
二つ目の「登録スタッフの定着率が高い」点ですが、弊社では業務以外で登録スタッフがコミュニケーションを取れる場所をオンライン上に設けており、在宅やリモートでありながらも帰属意識やチーム意識を持って業務に取り組んで貰える工夫をしています。それにより、他社と比較しても高い水準で優秀なスタッフがHELPY YOUに登録試続けており、優秀な人材プールが出来ています。在宅やリモートの課題となっているスタッフのモチベーション管理なども登録スタッフ同士がコミュニケーションを独自に取れるような仕組みをを作るることで、お互いに助け合う空気感を醸成し、結果として高いパフォーマンスが出せる環境を整備しています。
参考:100人参加!一風変わった「オンライン忘年会」に参加者が殺到したワケ
ー お願い出来る業務の範囲としては、バックオフィス業務に関しては、一通り依頼可能なのでしょうか?
はい、人事・経理・総務といった範囲に加えて、営業事務やマーケティングのレポート作成、SNSの更新サポートまで一通り対応が可能です。
ー 企業はどういったニーズで、HELP YOUを使っているのでしょうか?
企業のフェーズによってニーズは分かれていますが、スタートアップであれば、少ない人数の中で純粋に「人手が足りていない」という課題を持って、業務を依頼頂いて先が多いです。中堅・大手の会社になると、「生産性向上」の文脈での依頼が多く、社員に過度な残業をさせられない部分を切り出して、我々の様なアウトソーシングサービスを活用するケースが多いです。
創業2年目から上場までを経験後、海外に渡航。そこでリモートワークの良さを実感
ー 起業をされた経緯についても伺いたいのですが、いつ頃から起業を意識していたのでしょうか?
大学生の頃から意識はしていました。そこから新卒では、創業2年目だったガイアックスに入社をしたんです。今でこそ上場している会社ですが、当時は10人とかそれくらいの規模感でした。約10年在籍をし、社員400名を超える規模に成長する過程の経験・新規事業の立ち上げ、最終的には会社の上場など本当に色々な経験をさせて貰いました。
30歳を過ぎたあたりから、「やっぱり自分でも挑戦したい」と初心に戻って考える様になり、そこから動き始めた感じですかね。
ー その時から、サービスの構想は既に持っていたのでしょうか?
いや、全く持っていなかったです。当時流行っていたビジネスモデルを見ながら、プロダクトのアイデアを20個くらい考えていました。最初は、出会い系のアプリやろうかなとか考えてましたね。
ー 当時は全然違うこと考えていたんですね!そこから、どうやってHELP YOUの構想にいきついたんですか?
いざ会社を辞めるとなった時に、お世話になった方々に考えたアイデアを話していたのですが、その時に「なんかしっくりこないね」と一蹴され(笑)、『アイデアではなく、もっと自分のビジョンや理念を固めた方がいい』とアドバイスを貰ったんです。そこから思い切って、丸一年休みを取って、自分と向き合う時間をつくろうと決めました。
実際、その後の一年間は半分フリーターの様な生活スタイルで、海外に渡航しながら、自分と向き合う時間を取っていたのですが、その時に、滞在先でリモートワークを体験したのがキッカケになりましたね。
自分が実際にそれをする立場になってリモートワークの素晴らしさを体感したのと、自分のやりたいことをしながら自由に働いていくスタイルがこれから絶対伸びてくる、と感じたのがHELP YOUをつくるキッカケになりました。
“事業部長”と“経営者”の違いについて
ー 前職では、事業の立ち上げも経験されていたとのことですが、事業を立ち上げることとスタートアップをやることの両方を経験されて感じていることがあれば、お伺いしたいです。
会社の中での事業部長という立場であれば、会社の仕組みを使って、その事業にだけフォーカスしてモノゴトを考えていけばいいですが。0から会社をつくるとなった時は、そうはいきません。バックオフィスの整備や事業を作る際の資金集めなど、事業以外のことも整備していきながら、事業を立ち上げなければならないので、スタートアップの方が全然大変だと思います。
現在、私たちは意図的に外部からの資金調達を行わず、自己資金や銀行からの借入をベースに事業を拡大していっています。今のスタートアップの傾向としては、VCから資金を入れて、そこから企業紹介をもらったり、組織拡大のノウハウをもらうのかもしれないですが、そういったところとは逆行してサービスを伸ばしていっているので、日々試行錯誤の毎日です。
今後について
ー 中長期的な展開についてお教え下さい。
現在のHELP YOUでやっていることは、端的に言ってしまえば「人材」と「仕事」のマッチング・創出です。これからは、“コミュニティ”という場の提供にもチャレンジしていきたいと思っています。
例えば、在宅やリモートで仕事をしたいと思っているけど、自分に出来るか不安と感じている方が、まずはそういったコミュニティに所属して、情報を集めることで不安を解消して仕事を始めることや、足りないスキルに対して学習機会を提供していくなど、【コミュニティから繋がった人の持つ課題に対して、ソリューションを提供していくこと】はこれからの展開として考えています。「未来を自分で選択できる社会をつくる」というビジョンを会社として掲げていますが、最終的には事業やサービスを通じて、未来を選択できる人たちを増やすサポートや、積極的に自分の人生の選択をしていく社会の創造に寄与することが出来たらと思っています。
ー 最後に、記事内でお伝えしたいPR事項などあれば教えて下さい。
安さだけを見て業務をアウトソーシングすることは、結果的に人材の流動性を生んでしまい、発注者側のコミュニケーションコストを入れたら、結果的に高くなっているというケースは往往にしてあります。これまでクラウドソーシングを使ったけど、あまり業務アウトソーシングに良いイメージのない企業様や、毎日超忙しくて「猫の手も借りたい!」と思っているスタートアップの方々がいたら、まずはお気軽にご相談を頂けたらと思います。
ー 良いですね。アウトソーシングを検討している会社様がいたら是非!今日は有難うございました。
はい、ありがとうございます。