新型コロナウイルスが猛威を振るう中、従業員の安全を守るため、テレワークを導入する企業が増えています。また、やむなく休業に追い込まれる企業も出てきています。小学校等が臨時休業になったことにより。子どもの面倒を見るため、出社を見合わせざるを得ないパパママ従業員もいます。
このように、コロナウイルス対応に苦しむ企業や従業員を支援するため、これまでに政府は3つの助成金を発表しています。本稿では、その3つの助成金について、情報を整理して説明します。
1.雇用調整助成金
雇用調整助成金は、コロナウイルスの影響により、事業を縮小や一時停止しなければならないため、従業員を休業させる企業に支払われます。
もちろん、無条件に助成金が支払われるわけではなく、主には、次の条件を満たす必要があります。
①前年同月比で売上が10%以上減少していること
②従業員を休業させ、法定(平均賃金の6割以上)の休業手当を支払っていること
③労使協定に基づく計画的な休業であること
④所轄のハローワークに休業等計画届を令和2年5月31日までに提出していること
(その他、詳細な要件は、厚生労働省のリーフレット等で確認ください)
支給要件に合致した場合は、企業が従業員に支払った休業手当額の3分の2(大企業は2分の1)が、国から企業に対して支給されます。なお、1日あたりの上限額は8,330円/人、支給日数の上限は100日となっています。また、休業ではなく、教育訓練を実施した場合は、1日1人あたり1,200円が加算されます。
2.時間外労働等改善助成金(テレワークコース、職場意識改善コース)の特例
令和元年度の時間外労働党改善助成金は、既に受付が終了していましたが、コロナウイルスの発生を受け、特例コースを新設して、受付を再開しました。特例として設定されたコースは2つあります。
1つ目は「テレワークの特例コース」です。新型コロナウイルス対策として、新規でテレワーク制度を導入する中小事業主が助成金の対象となります。テレワーク用の通信機器の導入・運用費用や、テレワークの実施のために就業規則・労使協定の作成・変更を専門家に依頼した場合の報酬等が、助成対象となります。
令和2年2月17日~令和2年5月31日までの間に行われた取り組みが対象で、この事業実施期間中にテレワークを実施した労働者が実際に1人以上いたことが支給要件です(その他、詳細な要件は、厚生労働省のリーフレット等で確認ください)。
支給される助成金額は、テレワーク制度を導入するために実際にかかった費用の2分の1(上限100万円)です。
2つ目は「職場意識改善の特例コース」です。新型コロナウイルス感染症対策として休暇の取得促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主が助成金の対象となります。
事業実施期間は、テレワークの特例コースと同じ令和2年2月17日~令和2年5月31日までの間で、この期間に就業規則等の作成・変更や労務管理用機器等の購入・更新等を行って、事業実施期間中に新型コロナウイルスの対応として労働者が利用できる特別休暇の規定を整備をしたことが支給要件です(その他、詳細な要件は、厚生労働省のリーフレット等で確認ください)。
支給される助成金額は、特別休暇の規定を整備することに関して発生した専門家の報酬や労務管理用機器の購入費の4分の3(上限50万円)です(一定の要件を満たす場合は助成率が5分の4にアップ)。
3.小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援の助成金
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため小学校等が臨時休業した場合、保護者が子の面倒を見るために出社できなくなるなり、収入の減少に直面する恐れがあります。
そこで、正規・非正規を問わず、労働基準法上の年次有給休暇とは別途、有給の休暇を取得させた企業に対する助成金が創設されました。
主な支給要件は、次の通りです。
①通常の年次有給休暇とは「別途」有給の特別休暇を取得させること(賃金全額補償)
②「①」の休暇の対象者が、次のいずれかであること
(1)新型コロナウイルス感染防止のため臨時休業した小学校等の通う子の保護者
(2)新型コロナウイルスに感染したおそれのある、小学校等に通う子の保護者
③令和2年2月27日~3月31日の間に取得した特別休暇であること
(その他、詳細な要件は、厚生労働省のリーフレット等で確認ください)
助成金の支給額は、上記特別休暇に対して支払った、賃金相当額の100%となります。ただし、その上限は、1日当たり8,330円/人となっています。また、雇用保険加入、非加入を問わず対象となることも押えておいてください。
結び
新型コロナウイルスによる影響は、企業の自助努力だけでは対応をすることが難しい状況になってきています。この難局を乗り切るために、政府が用意した助成金を、是非積極的に活用することを検討してみてください。