自動車のアフターマーケットを対象としたサービスを展開するMiddleField(株)。「若者の車離れ」という言葉に代表される様に、国内ではシュリンクしていく産業なのかと思いきや、「車を購入してからの市場、アフターマーケットは国内でも20兆円規模とまだまだ大きい市場です」と同社代表の中山氏は語る。IT化の遅れている市場に、スタートアップとして挑戦していくMiddleFieldと、同氏の起業背景についてお話を伺いました!
プロフィール(MiddleField株式会社 代表取締役 中山翔太氏)
1988年8月生まれ。法政大学キャリアデザイン学部卒。
自動車のアフターパーツメーカーである株式会社SARDにて、同社が運営するレーシングチーム”LEXUS TEAM SARD”のスポンサー営業やプロモーション等の運営業務に携わる。
モータースポーツに関わるファンやレーサー、スポンサーとの接点を多く持つ中で、IT化の遅れや労働人口の減少、業界の高齢化等の自動車業界が抱える課題に気づき、それらを解決すべく起業を決意。2015年12月にMiddleField株式会社を設立。
MiddleField株式会社について
ー 事業内容について、教えて下さい。
弊社では、自動車のアフターマーケットを対象としたサービスを展開しておりまして、分かりやすくいうと、オンライン版のカーディーラーの様な位置付けを目指して、下記事業を展開しています。
・クルマ・バイク・モータースポーツ好きを応援する、モーターライフ情報メディア「Motorz」
・国内最大級のカーパーツデーターベースをもつ、カタログ型通販サイト「モタガレ」
ー 国内最大級のカーパーツカタログ型通販サイト「モタガレ」とは、どんなサービスなのでしょうか?
クルマの購入からパーツの購入・取付までをトータルサポートするオンラインプラットフォームです。現在サイトには、1,500ブランド、35万点ものカーパーツが掲載されており、提携している取付店は、北海道から沖縄まで1,000工場もあります。
サービスの特徴としては、大きくは3つあります。
1.カーパーツは、各メーカーと直接取引
メーカーから直で情報を貰えることでユーザーに常に正しい情報を届けられることに加え、品質の悪い模倣品などの取扱いを防いでいます。
2.自社独自でカーパーツの取付データベースを構築
車のパーツは適合情報がとても複雑で「ネットで買ってみたらつかない!」なんて話はよくあることです。弊社では、それらの適合車種・取付に関するデータベースを0から構築しました。最小管理単位を示す、SKUは4億を超え、これだけのデータベースを持っているカーパーツのECサイトは、国内にはまずないでしょう。
3.些細なことでもカスタマーをしっかり対応するサポート体制
車に詳しいスタッフがサイト上で見ただけでは分からないことも、即時対応する様な体制を整えています。
ー なるほど!実際のユーザー属性としては、どんな方々が多いのでしょうか?
属性としては、これから車に乗りたい、もしくは今乗っている車から乗り換えたい・車をカスタムしたいと思っている20代前半〜30代後半の地方在住者が多くなっています。
めちゃくちゃ車に詳しい人というより、車に興味を持ち始めて、ネットで情報を検索し始めたくらいの方々が多いです。
ー ”若者の車離れ”なんてワードはよく耳にしますけど、メインのユーザーは20-30代なんですね。
確かに、よく耳にする言葉ですよね。ただ僕らからすると、若者って意外と車好きなんですよ!
ー え、そうなんですか!?
一昨年から昨年にかけての若者の中古車購買数は約10%伸びていたりなど、数値としても出ています。意外と車が好きな若者もまだまだ沢山いて、そういった情報が世間にうまく発信出来てないということもありますが、事業を通じて、もっともっと車好きな若者を増やしていったり、車の魅力を伝えて、より好きになってもらいたいですね!
チームのファンとのコミュニケーションがキッカケでビジネスアイデアを思いつく。
ー 起業前は、どんなお仕事をされていたのでしょうか?
元々は、株式会社SARDという会社でレーシングチームの営業やプロモーションに関わる仕事をしていました。
ー では元々、車はずっとお好きだったんですね!
いや、車のことを本格的に好きになったのは(株)SARDに入社してからですね!
業界未経験で入社した自分は、右も左も分からなかったので、チームのファンの人たちからレースの楽しみ方や車に関する情報を教えてもらっていたんです。それをしていく内に、スポンサーの人たちともコミュニケーションが取れる様になっていき、知識が増えていくにつれて、車のことや業界のことを好きになっていきました。
ー 現在やっているビジネスのアイデアは、どんなタイミングで思い付いたのでしょうか?
当時の私の仕事は、チームのファンともコミュニケーションを取る機会がとても多かったので、車好きの方々がどんなことを考えて、何に悩んでいるか?が会話の中でよく集まってくる環境にいました。その中の意見で多かったのが、「欲しい情報が手に入らない」「ネットで調べても出てこない」といった情報格差の問題と業界全体のIT化の遅れでした。
当時チームのFacebookページを立ち上げただけでも、「おお!」なんて言われるくらいだったので(笑)想像している以上にアナログな世界でした。最初から、熱狂的な車好きだったワケでも無かったので、ある種そういった部分は常に俯瞰的に見ていました。
そういった背景があると同時に【若者の車離れ】と叫ばれ、若者が車から疎遠になっているのであれば、このタイミングで自分たちがインターネット上に情報を整理し、それをキチンとユーザーに届けることが出来れば、将来的にとても大きなことが出来るんじゃないか?と思ったのが最初のキッカケでした。
「お前は今の現状から逃げたいだけ」恩師から言われた言葉が起業の背中を押す。
ー そこから、どう起業されたのでしょうか?
これはよくある話かと思いますが、27歳くらいのタイミングになると(自分は、このままでいいのかな・・)って思うタイミングってありますよね?笑
ー 確かに、そういうタイミングってありますよね。笑
仕事も何となくこなせる様になって、貪欲にチャレンジしていた環境から一転して、新しいことにチャレンジしていない自分に気がついてしまったり。本当よくあることかと思いますが、私自身もそんな状況になっていました。
その時に、先輩がスタートアップを立ち上げていて、新しいことにチャレンジしていく姿が、とてもカッコ良く見えたんですよね。もっと経営者の近くで働ければ、将来何か自分でするときに役に立つかも・・なんて考えで転職をしようと思い、私の恩師でもある、前職の社長に相談したら『その会社にいくことはお前が本当にやりたいことなのか?お前は今の現状から逃げたいだけだ』と言われて、ガツンと来たんですよね。
ー なるほど。
元々、新卒で入社した会社も、当時社会に出る準備が出来ていなかった私は、2ヶ月で辞めているんです。そんな背景がある中で前職には拾ってもらったんですが、そういった自分の過去もある中で、また同じ様な意思決定をしようとしている自分にハッとしました。
そこからは「本当に自分がやりたいことは何か?」を真剣に考えて、現在の事業に繋がるアイデアや、ITを通じてもっと業界全体を良くしていきたいと考える様になったのですが、同時に、それらを実現するためには、自分自身の経験値やスキルをもっともっと上げていく必要性を感じました。その時に、最短で全てに近づける方法は、やはり「起業しかない」と腹落ちしたので、起業することを決意したんです。
そこから人としてのタイプは全く違いますが、常にフランクに事業のことを相談出来るCOOの片岡と出会い、事業をブラッシュアップしていき、まずはメディアを立ち上げ、ユーザーに正しい情報を届けることから始め、ECサイトへ展開していくという現在のカタチへと変化していきました。
今後について
ー 中長期的な展開についてお教え下さい。
直近のモタガレでは、中古車の販売もスタートし、まだ取り扱いがスタートして2ヶ月弱ではありますが、既に販売実績が出るなど新しい事業の拡がりを見せ、ユーザーが車を買うところからサービスを提供出来る様になりました。
これからは、自動車ローンや保険といった部分にまで提供出来る範囲を伸ばしていきたいとも考えており、よりオンライン上のカーディーラーとしての価値を高めていく様なサービスを増やしていきたいですね!
また、現在は個人向け(toC)のカー用品のEC事業がメインではありますが、中期的には、事業者向け(toB)の展開も視野に入れており、関係事業者が使えるSaaSなども提供していきたいと考えています。
ー 最後に、記事内でお伝えしたいPR事項などあれば教えて下さい。
これからの事業拡大も視野に入れ、現在、エンジニア・カスタマーサクセス・事務など採用は積極的にやっています!車好き問わず、スタートアップという環境を楽しんで働ける方がいれば、積極的に弊社まで連絡ください。
ー これからのサービスの拡がりも楽しみです!今日は有難うございました。
ありがとうございます!