医師による健康知識のパーソナルトレーニングを行う「Wellness(ウェルネス)」。ファウンダーの中田氏は、医師としてのキャリアから同社を立ち上げた珍しい経歴を持つ、起業家の一人だ。医師→スタートアップへの転身、その過程にはどんな想いがあったのか?サービスの今後の展開と合わせて、お話を伺いました。
プロフィール(株式会社ウェルネス 代表取締役/医師(救急総合診療) 中田航太郎氏)
1991年4月生まれ。4歳時に喘息で入院した際の担当医に憧れ、医師を目指す。東京医科歯科大学医学部に入学後、医学生時代はプロ家庭教師として10名以上を東大/医学部に合格させ、医学生の教育にも従事。早稲田大学院でマインドフルネス研究も行う。医師として多くの患者さんと出会う中で、忙しい現代人の病院受診に対する壁やヘルスリテラシーの低さ、それに伴う理不尽な苦痛に課題意識を持ち、2018年6月、『病気になる前にパーソナルドクターと予防する世界』を実現するべく株式会社ウェルネスを創業。2019年4月より本格始動。
株式会社ウェルネスについて
ー 事業内容について、教えて下さい。
医師によるパーソナルトレーニング「Wellness」の企画と開発をしております。
ー 医師によるパーソナルトレーニング「Wellness」とは、どんなサービスなのでしょうか?
Wellnessは、現役で活躍する医師をパーソナルドクターに付け、そのドクターとともに正しいヘルスリテラシーを身につけ、自分に合った予防ケアを効率的に行うための学習コーチングサービスになります。
ー パーソナルトレーニングといった言葉自体には馴染みが出てきましたが、Wellnessでは、そういった実際のトレーニングはしないのでしょうか?
はい、あくまでもWellnessで提供するのは「ヘルスリテラシー」になります。
なぜヘルスリテラシーなのか?というと、今ジムにいったり、意識して野菜を食べたりしている人の多くは「それがなぜ必要なのか?」というのを本当に理解して、それをやっている人って、実はごく一部だと思っています。そういったことを、あまり効率的ではないと感じていまして、まず「身体を動かさなきゃ」「食事を変えよう」といったアクション始める前に、自分の健康知識や健康上の課題を知り、パーソナルドクターと一緒に健康リスクに備えた予防ケアを考えていくサービスになっています。
ー 確かに。健康を意識した時、とりあえず、身体を動かしたり、食べる量を極端に減らしたり、、というのはやりがちですね。担当となるお医者さんはどういった方々なのでしょうか?
弊社で提携している約30人の現役医師がパーソナルコーチとして、週1回(60分)のコーチングを行います。イメージしやすいのが、知識をつけるライザップ。それの医師版だと思って頂けると分かりやすいかもしれません。
ー 先ほど、ヘルスリテラシーという言葉もありましたが、筋トレ・ダイエットに代表される様な、従来のパーソナルトレーニングとの違いはどんな点においているのでしょうか?
パーソナルトレーニングのほとんどが、減量を目的として行われているトレーニングかと思います。その為に運動をして、食事を低糖質に・・という方法は間違っていないと思いつつも、個人によって健康の「最適解」が存在する中で、必ずしもそれが全員に当てはまるワケではありません。
その人の状況や健康状態によって、取るべきアプローチが違う中で、まず大切なことは「自分を知る」ことです。それによって、自分に必要なアプローチを選んでいく、というプロセスがまず違うと思っています。そして、そこに医師がつくというのも差別化のポイントではあります。
後は、筋トレやダイエットにおけるトレーニングは数ヶ月の効果を期待して行うものですが、私たちのサービスは、知識をつけるので、「生涯」や「未来」にわたって使えるものです。それらを提供するという点が、そもそも大きく違ってくるかと思います。
ー なるほど!知識は生涯にわたって、役立つものですね。どんな人に向いているサービスなのでしょうか?
限られた時間の中で、効率的に予防ケアをしたいと思っている方や、忙しいビジネスパーソンに向いているサービスです。実際、現在サービスを利用している人の70%は経営者層になっています。
(医療の)現場以外の世界も変えていかないと根本的な解決にはならないと思ったんです。
ー 元々、起業をされる前は、どんなことをしていたのでしょうか?
大学では医学部を専攻しており、大学を出てから、そして現在もですが医師としてのキャリアをスタートしました。
ー 医師から起業をされるって、あまり聞かないですね。なぜ、医者から起業をしようと思ったのでしょう?
医師になることは小さい頃から目指していた職業だったので、なれたことへの満足感はあったものの、なって見れば現場で遭遇する理不尽なことも多く、防げたハズの病気が手遅れになって担当するケースや、患者自身が自分に善かれと思ってやっていたことが、結果として自分の命を削っていたといったケースに直面しました。
私が担当していた一つの例を上げれば、とある企業の社長さんを担当していたのですが、その方は喫煙者でありながら、友人に「コレ良いよ」と勧められたビタミンAのサプリを常用していました。ただ、喫煙者の方がビタミンAやβカロテンといったサプリを摂取すると、肺癌のリスクは上がってしまうんです。
ー ええ!そうなんですね。
はい、そういったことを知らずに「友人が勧めてくれたから」という理由で自らの寿命を縮めていたのです。こういった事例は、何もこのケースだけでなく、「周りがいいと言っている」「雑誌で特集されていた」など、リテラシーもなく、偏った情報でやっていることは意外と多いと感じています。
そういったことのほとんどは、結局病院の外で起きていて、病院にきてからでは遅い。一人でも多くの命を守ろうと思ったとき、(医療の)現場以外の世界も変えていかないと根本的な解決にはならないと思ったんです。
ー なるほど。そこから、どうやってサービスの構想を思いついたのでしょうか?
大きくは、3つあるのですが。
一つ目は、先ほども話した様に「予防」という観点で、医者が知っている正しい知識を中立的な立場で情報提供することが必要だ、と思った点。
二つ目は、海外では既に「パーソナルドクター」という存在が当たり前にいるという環境があり、日本にも医師と患者の間に、その関係を持つ文化や慣習が必要だと思った点。
最後は、私自身が大学生の時に医学部を目指す学生向けの家庭教師をやっており、医学生やコメディカル向けの医学書の出版にも関わっていたのですが。基本的な知識をエッセンスとしてまとめるということを得意にしていたのと、人に教えるのも好きだったので、何よりまず大事なのは「知識をつける」ことだと思っていたので、【教育する】という観点からサービスを考えました。
医師→スタートアップへの転身。そこに不安はあるのか?
ー 少し話は変わりますが、医師になることで約束されていることってあるじゃないですか?例えば、社会的な地位や給与的な部分など。そういったことを捨てて、起業することの不安はありましたか?
不安は当然ありましたね、やはりリスクを取るということなので。
ただ、純粋にそこに人生をかける価値はあると思っています。世の中に100%のことは存在しないですし、仮にこのまま医師一本でやって、めちゃめちゃ手術がうまくなって、来た人は全員治せますとなったとしても、それ以外で起きている事象に関しては関与出来ないですし、自分の中ではそれは無力に等しいと思ったんです。やるべきことが分かっているなら、それをやろう!という想いで起業を選択しました。
ー 今現在も医師は続けているのでしょうか?
フルタイムでは働けないですが、週の2日程度は現場にいる様にしています。
やはり現場から離れないでいることで入ってくる情報の部分や、自分自身のミッションを忘れない為にも、今後も何かしらの形で関わっていこうとは思っています。
今後について
ー 中長期的な展開についてお教え下さい。
現在は、医師と一緒に知識を身につける・考えるといったカタチのみですが、中期的には溜めたデータから最適なソリューションを提供したり、それらを提供出来るジムや店舗などの施設を持つ展開までを考えています。後は、これからユーザーが増えていくにつれて、ユーザーの膨大な健康データが集まっていきます。今度はそのデータを使って、保険会社と健康なユーザー向けの商品を開発したり、医療機関と連携して、Wellnessのデータが各医療機関で共通して使えるカルテの様な役割を果たすといった活用方法なども考えています。
最終的には、パーソナルドクターとの接点を通じて、ユーザーの生涯に寄り添っていけるサービスにしていきたいと考えています。
ー 最後に、記事内でお伝えしたいPR事項などあれば教えて下さい。
色々と言いましたが、まずは体験しないと分からないと思います(笑)
初回のカウンセリングは無料となっていますので、興味のある方は、まずは無料カウンセリングにお申込ください!
ー 無料で受けられるんですね!初回はどんなことをやるんですか?
自分がどれくらい健康について理解があるか?をテストしたり、現在のご自身の健康についての課題を引き出す様なカウンセリングを実施します。それを学ぶだけでも充分価値のある時間になるかと思います!
ー 良いですね!編集部でも早速やってみたいと思います。今日は有難うございました!
ありがとうございます。