サブスクリプションのサービスは、遂にカメラまで!今回は月額定額制でカメラが借り放題になる注目のサービス「GooPass(グーパス)」を取材。自身も名刺の肩書に「フォトグラファー」と名乗るほどのカメラ好きな起業家 高坂氏。自身もカメラマンだからこそ分かる、ユーザーの“悩み”を丁度よく解決してくれるサービスについてお話を伺いました。
プロフィール(カメラブ株式会社 代表取締役 高坂 勲氏)
2005年、新卒で入社した大手通信会社を経て、医療系WEBコンサルのスタートアップにジョイン。200人規模の組織に至るまでの12年間、営業/経企/財務/新規事業立ち上げなど、ゼネラリストとしてさまざまな領域の業務に従事。
健康を創る業界に10年以上いる中で、その先の生き甲斐を創りたいと考えるようになり、長年の趣味であるカメラの領域でサービスを考案、ビックカメラアクセラレータでファイナル進出を機に独立。2017年4月10日(フォトの日)にカメラブ株式会社を設立し、代表取締役に就任。経営全般を管掌しつつ、たまに撮影案件等を担当。
カメラブ株式会社について
ー 事業内容について、教えて下さい。
カメラ機材のレンタルサブスクリプションサービス「GooPass(グーパス)」の開発と運営をしています。
ー 「GooPass」とは、どんなサービスなのでしょうか?
GooPassは、月額定額制(月額5,800円〜)でカメラ機材が借り放題になる「カメラのサブスク」サービスです。常時、約600種類用意される機材の中から自由に機材を選ぶことが出来、エリアを問わず、全国どこでも利用出来ます。
ー どんな機材が揃っているんですか?
機材ラインナップとしては、一眼レフ〜ミラーレス一眼、交換レンズに加えて、ドローンやGoProといったあらゆるカメラを揃えています。レンタルブランドも、21ブランドと主要メーカーをはじめとした各ブランドの中から、お好きな機材を選ぶことが出来ます。
一度にレンタル出来る機材は一つですが、月額定額制ですので、機材を借りた翌週に別機材をレンタルしたい場合は、機材の入れ替えが可能となっています。GooPassを、月額レンタル制ではなく、「カメラのサブスク」とうたっている特徴の一つです。
ー 「カメラのサブスク」って新しいですね。ありそうで、無かったサービスです。どんな方をユーザーの想定として、いらっしゃるのでしょうか?
ユーザーとしては、副業としてカメラで収入を得ている方や、作品を撮って個展を開催しているといった様なハイアマチュア以上の方を想定しています。
ー ユーザーには、どんなメリットがあるのでしょう?
カメラや、それにまつわる機材を「購入する」と比較した場合ですが、大きくは3つあります。
一つ目は、「(写真による)表現の幅を広げられる」点。
購入する場合、数ある選択肢の中から一つに絞って、購入したものの中での表現になるかと思いますが、GooPassを使えば、交換レンズをはじめ使用できる機材の幅が広がる為、ユーザーの表現の幅を広げることが可能となります。
二つ目は、「購入する前のトライアル(お試し)として使える」点。
ユーザーがカメラ機材を買う際に、「試したい」というニーズがあるかと思います。通常家電量販店で出来る範囲としては、お店の中を撮る・店員を撮る、程度が一般的かと思います。ただ、ユーザーの本音は(本番環境で使ったら、どうなのか?)と思うのが自然なのかと私は思っていまして、購入の失敗を無くすという意味でも、トライアルとして、欲しい機材を購入する前にGooPassを使ってみるといった利点もあります。
最後は、「地方格差」ですね。
地方出張の際、実際に量販店で経験したことですが、都市部と地方におけるカメラ機材の格差が現在でもあると感じました。例えば、種類が豊富に揃っていないことを始め、新機種の販売が遅いなどといった状況を踏まえ、結局はネットで買うしかなく、そうなってしまうと試しが効かないといった状況になるので、購入してみて失敗したという話はよく聞きます。
ー なるほど!どれも納得です。GooPassは、ユーザーに【買う・買わないの間の選択肢】を提供してくれているんですね。カメラ機材のレンタルには、競合他社もいるかと思いますが、どんなところで差別化を図っているのでしょうか?
他社の事例としては、1日単位や3泊4日といった比較的短い期間での貸出しに対して、一〜二週間単位で機材を借りようとすれば、すぐにGooPassの月額費用を上回ります。そういった意味での【価格設定】には優位性があるかと思います。
後は、弊社がプロやハイアマチュアを対象としているサービスでもある為、通常業者が取り扱っていない上位機種やニッチ機材までの貸出しを可能としています。
貸出しに関しても、ユーザーの希望に沿って機材選定をアドバイスをする【カメラマイスター(カスタマーサクセス)】がおり、ユーザーの漠然としたカメラの悩みにも答えられる体制も取っています。
GooPassでは単なるモノのレンタルではなく、その機材を使うことでの【体験】にまで価値をおいたレンタルを提供したいと考えているんです。
GooPass構想のヒントは、高級バックのレンタルから!?
ー 起業自体はいつ頃から意識されていたのでしょうか?
元々、両親も自営業をしていた家系でしたので(自分もいつかは・・)と思っていました。そこから新卒では、”3年在籍していれば、資本金込みで子会社として独立させてくれる”という条件の通信会社に入社したのですが、半年経った時には同期が全員辞めている様な会社でして(笑)私も入社半年で、部下を30人持つ様な経験をさせて貰い、その後、学生時代の先輩が立ち上げた株式会社GENOVAの創業メンバーとして参画をし、組織が200名を超す規模まで、営業・バックオフィス・新規事業の立ち上げといった様々なキャリアを経験しました。
ー 本格的に「起業をしよう!」と思ったのは、どんなキッカケがあったのでしょうか?
2015年にGooPassの構想ヒントを見つけたのが最終的なキッカケになったかもしれません。
ー あ、GooPassにはサービスの元になるアイデアヒントがあったんですね!
はい。「ラクサス」というブランドバック借り放題のサービスが先にありまして、そこの構造モデルがカメラに置き換えてもいけるな!と思ったことがGooPassを考えるキッカケになりました。
ー 具体的には、どんな点が参考になったのでしょうか?
大きくは3つです。
・嗜好品であり、中々手が届かないモノである点
・ファンがいて、コミュニティがある点
・二次流通に流せて、価値が落ちにくい点
これらがサービスとして、市民権を得るのであればカメラでもいけるだろうと思って、ローンチ当初からモニタリングをしていたら、あっとゆう間に伸びていき、他社に取られるくらいであれば、早く自分でやってしまいたいと思いました。
2017年のビックカメラのビジネスコンテストでは、ファイナルまでいくことが出来たので、周囲の評価・ニーズも一定数掴めたことが最終的な弾みとなって、サービスをローンチしました。
「立ち上げ段階で5,000万円のキャッシュが必要・VCからの反応は良くなかった」有形商材ならではのローンチ苦労秘話に迫る
ー ちなみに、なぜ「カメラ」だったのでしょうか?(あ、いつの間にカメラを・・)
元々、カメラ自体は学生時代から触っていたのですが、前職で社内にプロカメラマンが在籍していたのもあり、写真の良し悪しでユーザーからの反響が変わるという経験をしました。当時、Web制作のディレクターも兼ねていた私は、自分でも写真素材を撮るということをしており、そこからどんどん上達していくと共に、機材もアップグレードしたいという欲求も出てきてしまい・・
ー 俗にいう「沼」にハマるってやつですね(笑)
そうです(笑)
ー 少し話題は変わるのですが、カメラ自体「有形商材」ということもあり、立ち上げにあたっては(イニシャルコストがかかるビジネスなのかな?)と思いました。その辺りの懸念や不安についても考えたことがあれば、お話伺いたいです。
仰る通り、イニシャルコストがかかることは分かっていたので事業計画は相当綿密に練りました。立ち上げ段階で5,000万円ほどのキャッシュが無いと立ち上がらないことは先に分かっていました。なので、先にベンチャーキャピタル(以後、VC)回りを始めていたのですが、VCの反応は良くなかったです。
ー それは、どんな観点からですか?
”サービスを伸ばす”観点での資金は出せると言われたのですが、”機材を揃える”為の資金は出せないといった理由でした。なので、借入としては、金融機関などの方が相性が良かったです。カメラ自体が資産価値が落ちにくい商材だという話をし、「最終的には、機材を持っていけばいいのね」という部分に納得して、借入をさせて貰いました(笑)
今後について
ー 中長期的な展開についてお教え下さい。
カメラを使う・手に入れるという導線のプラットフォームになっていきたいと考えています。例えば、カメラを購入しようと思った時に、本来は新品も中古品もレンタル品も一箇所で選択することが出来れば楽なのに、現在であれば、比較サイトをみて、それからオークションへいってといった導線になっているかと思います。それらを統合出来る様な存在になれたらいいな、と思っています。
最終的には、機材のシェアリングといったCtoC領域への展開も考えていますね!
ー スマホで撮れる写真のスペックもドンドン上がってきてますが、その中で、これからの「カメラ」の立ち位置に不安は無いでしょうか?
その点に関して言えば、私はチャンス(機会)があると思っています。
Instagramがこれだけ流行ってきて、写真を撮る→あげる→見てもらう、という導線はプラットフォームとして既に完成したと感じています。そこからユーザーが、差別化を図るために(一眼レフで、もっとクオリティの高い表現を・・)と思うのは自然な流れになるかと思います。
ー ああ、確かにそうですね。
なので、弊社では今後スマホから一眼レフへ移行するハードルを下げられる様なワークショップの開催をしたりといったリアルでのユーザーとの接点も持っていきたと考えています。
ー なるほど!最後に、記事内でお伝えしたいPR事項などあれば教えて下さい。
先日、自動車レンタルの「NOREL(ノレル)」さんとの共同キャンペーンを発表させて頂きましたが(※)、今後も【カメラ × 〇〇】で色々な事業者様とコラボしたいと思っています。ご一緒出来そうな事業者様がいましたら、お気軽に連絡下さい。
合わせて、企業の広報・PR担当者を中心にしたカメラを学ぶミートアップ「広報カメラ部(仮)」の立ち上げを準備しています。10月に初回開催をすべく、現在準備を進めていますので、こちらも興味のある方は弊社の情報をチェックして頂けると嬉しいです。
※参照リンク:自動車レンタルの「NOREL(ノレル)」がGooPassと初コラボし夏休みキャンペーンを実施
ー 今後も御社の動向に注目ですね!今日は有難うございました。
ありがとうございます。