健康経営、はじめてみませんか?フードロス問題へ企業のウォンツからアプローチ。【起業インタビュー111回目】|起業サプリジャーナル

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健康経営、はじめてみませんか?フードロス問題へ企業のウォンツからアプローチ。【起業インタビュー111回目】

公開日:2019.06.25

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食べ物がたくさん破棄されている、という事実は多くの人が知っている一方で、そのためにアクションを起こしている人はどれほどいるのでしょうか?

認知があっても、実際の行動になかなか移せなかったり、規模が大きいがゆえに、自分ごととして捉えにくかったりします。

社会問題は大きな問題である一方、ひとりひとりが

「そのために自分は◯◯をします」

と実行し難いものでしょう。

そんな現代社会の中、平成最後の12月に株式会社ツクモを創業したのが今回取材をさせていただいた金子社長。

フードロスという大きな課題の解決に向けて、まずはひとりひとりが「欲しい!」と思うサービスを考案。

TVを含め、数多くのメディアに注目をされていますが、今回は事業内容から、学生時代を含めたストーリーや今後の展望をお聞きしました。

 

 

プロフィール紹介・会社について

株式会社ツクモ 代表取締役/CEO 金子隆耶(かねこ りゅうや)氏プロフィール

大学時代にインターンで農業に携わったことをきっかけに「食」への関心が高まる。休学をして起業に向けて調整をしていたが、諸事情で会社登記直前に断念する経験を持つ。

大学卒業後、オーガニック製品の製造・卸の会社に入社するも、どうしても自分なりの「食」への追求を目指して退社。2019/2/1より、株式会社ツクモとしてsnaccuruを提供開始。

>本日は貴重なお時間をありがとうございます。まずは御社の経営理念と、その背景をお教えください。

 

〝テクノロジーとクリエイティブの力を駆使してフードロスを解決する〟です。

フードロス(まだ食べられるけれど廃棄している食べ物のこと)が自然に解決される世の中にしたいです。

一方で「社会問題だから」「もったいないから」だと人はなかなか動かないし、自分ごとにすることも難しいですよね。そもそもお金を払う優先順位が低くなってしまい、事業としても持続可能性が低くなります。

だからこそ、「このサービスいいよね!」と思えるサービスを通して「もったいないから」ではなく「買いたい」というウォンツを通して、個人のメリットを考えました。結果としてフードロスもなくなる状態をつくることで、社会もよくなると思うのです。

そういったサービスを何かつくることができないか。

構想を重ね、昨年に会社を設立し、ようやく開始することができたのが、企業向けにヘルシーな間食を提供する「snaccuru(スナックル)」です。

>「snaccuru」とはどのようなサービスなのでしょうか?

 

〝HEALTHY WORK,SMILE SNACKING.〟をコンセプトにしています。

シュガーレス・無添加・オーガニック・グルテンフリーなど、健康面に配慮をしたお菓子をオフィスで提供するサービスです。

個人が健康に働くことは、個人の幸せにつながります。それによって仕事の効率を高め、会社全体の生産性をあげることで各企業様が目指す姿へと近づけることをお手伝いします。

会社の前進は、社会をより前進させるものでもあると思い、その可能性を信じながら、ファーストステップとしてこの事業に取り組んでいます。

近年、「健康経営」や「働き方改革」が注目を集め、企業様にとって従業員の健康やモチベーションに配慮する重要性が高まっています。

しかしながら「何から始めればいいのか分からない」という課題があることがわかりました。

そこで、今まで多くの企業様が目にされてきた置き菓子を、オーガニックやヘルシーにアップグレードをすることで、課題に取り組むファーストステップになると考えています。

 

 

>経営理念で掲げているキーワードのテクノロジーやクリエイティブを、どのように「snaccuru」で活かされていらっしゃるのですか?

 

便利さを追求する上でテクノロジーの力が必須と考え、決済方法を全てキャッシュレスにしています。間もなく開始する決済方法の大幅リニューアルに向けて準備中です。

現在はLINE Payのみですが、それに加えてGoogle Pay、Apple Pay、各種クレジットカード、PayPal、PayPay、Origami Payなども追加します。

従来の現金支払いですと納品に行って、何が人気で売れていたのかを把握することになります。しかしキャッシュレスで決済されているからこそ、納品すべきものが購買データを見ることで事前にわかるのです。

購入者である社員さんたちにとっても食べたいものがしっかりと補充され、僕たちとしても納品で何を持っていけばいいのか、全体的な人気商品がわかるのも有難いですよね。

さらに、担当者の現金管理問題の手間を減らしつつ、ダイナミックプライシングを導入することで賞味期限に応じて値段を変えることもできます。各店舗に回って値段を張り替えるような、現金だったら手が回らないことも実現可能です。

 

 

>企業様としても有難い施策ですね!クリエイティブの観点はいかがですか?

 

ビジネスモデルをどう構築して展開をしていくかです。

フードロス問題を認識することと、解決策をひとりひとりが取り入れることには大きなギャップがあります。そこを埋めるのに、どのような方法がいいのかだいぶ模索をしてきました。

着眼点としては、日本人のバックグラウンドです。日本では、寄付する文化がまだまだ少ないのです。

人口はアメリカが日本の約2.6倍なので多いのも確かですが、寄付総額は約40倍です。※

その変わり、日本ではふるさと納税や、クラウドファウンディングの活性化でお金が動いています。つまりリターンがしっかり見える方がアクションにつながります。だからこそ、ユーザーにわかりやすいリターンがあるモデルで考えました。

そこで「snaccuru」では、印字や包装などの不具合により正規の流通に乗せられなかった「フードロス食材」を活用することで、高価なオーガニック食品を通常の2〜4割引での提供を実現しています。

もちろん、食品そのものに不具合はなく、品質保持期限を遵守した正規品と同様の食品品質です。

 

 

今あるいい商品の売り方を工夫することにより、多くの人の元に届く循環を

>ところで「ツクモ」という社名の由来をお聞かせいただけますか?

 

2つありますが、ひとつめはもったいないの神様であるとも言われている「つくも(付喪神)神」からです。

「つくも神」は、人間の使っている物が100年以上あり続けると神様が宿ると言われています。

そして99年など、100年に満たないものに「つくも神」が宿るのですが、一方でこの「つくも神」を妖怪だと表現することもあります。

ふたつめは、漢字で「九十九」と書くことからです。つまり、100に1足りないと、神様ではなく妖怪のようになってしまうと。

僕たちは通常で売られている状態を完成物である100として、食べられるのに捨てられてしまう、言わばフードロス商品を99として例えています。

フードロスとして破棄されてしまうものは、商品そのものが悪いのではなく、人間が作り出したサプライチェーン(※1)に問題があることが多いのです。

だからこそ、本来ならば食べることができる商品の売り方をテクノロジーやクリエイティブの力によって僕たちが「価値(1)」を上乗せすることにより、人のもとに渡り、捨てられることなく提供していきたいという思いから社名にしました。

(※1)サプライチェーンとは、製品の原材料・部品の調達から、製造、在庫管理、配送、販売、消費までの全体の一連の流れを総称するもので、人間がつくった規制です。

 

 

 

「大量に捨てる気でやらないと儲からない」学生時代に聞いた、農家の真実とフードロスの要因が今でも原動力のひとつに

>ところで金子さんは大学時代にマネジメント創造学部というビジネス系の学部だったようですが、その中で食や農業に関心を抱いたきっかけをお聞かせください。

 

きっかけはちょっとしたことでした。

兵庫県の大学に通っていましたが、大学2年生のときに農業インターンシップに参加をする友人が多くいたので、僕も申し込みました。

いざ参加をしてみると、農業は第一次産業として日本を支えているものでもあり、農家の人は自分たちで考える力がある人が多いことがわかったのです。

農業のイメージは3K「キツい」「汚い」「かっこ悪い」や、そこに2つ加わった5K「稼げない」「結婚できない」と捉えられてしまっています。

しかしいざ現場に行くと、関わる大人の人たちが、農業や食に関することを自分たちで調べ、考えを持っている人ばかりで、「純粋にかっこいいな」と思ったことを今でも鮮明に覚えています。ネットで見ている情報とは異なる世界だったことに衝撃を受けました。

農業はとても楽しいですよ。若者が行うことによって、地域の人が喜んでくれたので嬉しかったですし、やりがいも感じました。その後「Agrista」という学生団体も創設し、若者が農業を行う機会をつくっていました。

 

 

>そんな学生時代で、今でも印象に残っているエピソードは何でしょうか?

 

学生団体は耕作放棄地の畑を耕すところからスタートしました。

会社を経営している今では考えられないほど、とても恥ずかしい話なのですが、ようやくはじめて野菜を栽培したときに、なんと…!

売るところを考えていなかったのです。

「野菜が作れちゃったけど…売る先どうする!?」

と。結果、手押し車2杯分も廃棄することになってしまいました。

そんなときに、農業を教えていただいている農家さんの一言が印象的でした。

「農家は大量に作って、大量に捨てる気でやらないと儲からないよ。」

でもその人はちゃんと売り切っています。

売り切っている人でもそう言うのはなぜなのか調べてみました。

 原因は先述をしたサプライチェーンの問題や、3分の1ルール(※2)などの規制やルールでフードロスが起こってしまっていることを実際に目の当たりにしました。

(※2)3分の1ルールとは、賞味期限の3分の1までを小売店への納品期限、次の3分の1までを消費者への販売期限とする業界の商習慣。

 

 

>3分の1ルールで大量に食べ物が捨てられているとは聞いたことがありましたが、それを個人でどうしていこうと目標設定をすることは難しいですよね。

 

はい。フードロス問題があることは多くの人が認知しているけれど、「フードロス問題を解決しよう!」という個人の課題には落とし込みにくいと思うんですよね。

そこでまずは健康経営という、企業様の中にいる一個人のメリットにフォーカスをした事業として「snaccuru」を行っています。

ちなみに導入100社まで初期費用が無料となるキャンペーンを開催中です!

 

 

>フードロス問題を解決する第一フェーズですね!最後に、今後の金子さんのビジョンをお聞かせいただけますか?

 

短期的には、もちろんですけどsnaccuru(スナックル)がしっかりと世の中に浸透していくことですね。たくさんの企業に導入していただき、持続可能なモデルとしてバージョンアップしていくことですね。

ゆくゆくは、snaccuruを通して実際どれだけ健康になったか?モチベーションがあがったかなど購買データと健康データを紐付けて定量的にレポーティングできるようにしていきたいです。

そうすることで、しっかりと企業の健康経営をサポートしていければと思います。

長期的には、snaccuru以外の事業も展開していく中でさらに本質的にフードロスの問題解決をしていければと思っています。

また、一緒にたたかう仲間も随時募集をしています。

フードロス問題を自分ごととして捉え、本気で解決したいと思っている方はぜひお問い合わせください。

そうしてより多くの仲間たちと、フードロス問題にもっとダイレクトに解決する事業に挑戦していきます。

 

【編集後記】

世の中のサービスの多くは手にすることで自分にプラスがあるか、自分のマイナスをなくすサービスが大半だと思います。

綺麗になりたいからエステに行き、お腹が空いて健康面やモチベーションでも危機的な状況にならないために食事をします。

一方で、「社会のために!」とお金を使うことはそう多くないのではないでしょうか。だからこそ、社会問題は(他の要因もあると思いますが)どうにかしないといけないけれど、その溝が埋まらないのだと思いました。

フードロスもそんな社会問題のひとつであるので、なかなか個人が自分ごとと捉えてアクションを起こすのは難しいですが、意識を向けるきっかけや自分ごとにしやすい観点でアプローチをされている金子さんの事業は今後ますますのご繁栄を応援しております。

会社設立後、サービス開始後、3ヶ月弱で月に数十社の企業様からお問い合わせがあるのだそうです。社員の方の健康を守りたい経営者様や、会社に「こんなものがある!」と伝えたい方は、下記のURLをご確認ください。

「snaccuru」公式サイトはこちら https://snaccuru.jp/

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