“旅”と“お手伝い”を掛けあわせた新しい旅のカタチを提案する「おてつたび」。インターネットや本に載っている情報では伝わり切らない、人に触れることで見えてくる地域の良さを“お手伝い”を通じて伝えていくサービスです。元々は、教師になりたくて社会人としてのキャリアをスタートし、現在に至った起業家 永岡里菜氏にお話を伺いました。
プロフィール(株式会社おてつたび 代表取締役CEO永岡里菜)
三重県尾鷲市出身。千葉大学卒業後、イベント企画・制作会社にディレクターとして入社。官公庁・日本最大手のEC企業をはじめ数多くの企業のプロモーションやイベントの企画提案・プランニング・運営を一貫して担当。退職後は、農林水産省と共に和食推進事業を0から作り上げ、全国の市区町村と連携しながら多数の地域へ足を運ぶ。現在は、人手不足やPR不足をきっかけに「地域の人」と「地域外の若者」が出逢うキッカケを提供するサービスを”おてつたび”展開中。人生をかけてでも達成したい事を見つけ、起業を決意。日本中を駆け巡り中
◎出身アクセラレーションプログラム
・孫泰蔵×NPO法人ETIC主催 社会起業家向けプログラム「SUSANOO」5期
・東京都主催 「青山スタートアップアクセラレーションセンター」5期
・楽天株式会社主催「Rakuten Social Accelerator」1期
株式会社おてつたび について
> 事業内容について、教えて下さい。
旅とお手伝いを掛けあわせた、新しい旅のカタチを提案するサービス「おてつたび 」の企画と開発をしています。
> 「おてつたび 」とは、どんなサービスなのでしょうか?
人手不足やPR不足等で困っている地域と、「知らない地域へ行きたい!」「地域を知りたい!」と思っている地域外の若者をマッチングし、お手伝い(働く)ことを通じて、気がついたら地域のファン(=関係人口)が創出できているサービスです。
例えば、私の実家がある三重県尾鷲(オワセ)市の様な地域を例に出せば、
中々人が来てくれないという現状がある中で、その理由を聞けば「交通費がかかる」や、「そもそも知らない町で何をすればいいのか分からない?」といった理由があげられます。そこに対して、かかる交通費分や、地域で遊ぶためにかかるお金は、(その地域で)働くことで稼いでもらい、お手伝いを通じて、地域の人と仲良くなり、その場所を好きになってもらうことを目的しているサービスです。
> 働くことで、実際にかかる交通費分は補えるんですね!アルバイトや短期バイトにも似たような印象を受けますが、そことの差異はどんな点があるのでしょうか?
既存の言葉でいえば、“短期アルバイト”というカテゴリーに包括されてしまうのですが、おてつたび のユーザーには「アルバイトとボランティアの“間”をつくっていけないか」という話をさせて頂いています。
アルバイトであれば、雇用主と労働者で指揮・命令関係の関係性が生じてしまう。一方、ボランティアであれば、無償で手伝ってくれるので受け入れ側が恐縮してしまう状況が生まれてしまう等がある中で、おてつたび では、そこを“自分の親戚を手伝う”くらいの対等な関係の立ち位置を築けないか、と思って話をさせて頂いてます。
> ユーザーの方々としては、どんな方を対象にしているのでしょうか?
地方創生という文脈で「地方との関わり方を模索している」や「地域の人と仲良くなりたい」「パッケージではない旅行がしたい!」と考えている、都心の学生をコアターゲットにしています。
> 競合との優位性はどんな点においているのでしょう?
私たちは、仕事(=お手伝い)はあくまでもツールの一つとして考えていて、根本にあるのは、そこを通じて「地域の方と仲良くなって欲しい」ということを目的としています。
結果的に、訪問地域へのプライベートでの再訪率が60%であったり、アンケート上における“いつかまた行く”という回答が100%という結果が出ており、おてつたび からの体験によって、対象地域との良い関係性が築けているという様な数値でも表れています(2019年5月時点)
教師になる為、民間企業で働くことを決意。
> 元々、起業を意識してこれまでのキャリアを築いてきたのでしょうか?
いえ、元々は教師になりたいと思っていたのですが、教育実習をする中で(社会のことを知らなければ良い先生にはなれないな)と感じて、新卒ではイベント制作の会社に入社をしたところからキャリアをスタートさせています。
> 教師志望だったんですね!起業を意識したのは、どのくらいのタイミングだったのでしょう?
新卒で入った会社を辞めて、転職をした辺りからです。
イベント制作会社での仕事や経験は、今でも活きていて、仕事自体もとても楽しかったのですが、メインのクライアントが大企業だったこともあり、企画を届けるユーザーの為にアイデアを考えても、大企業の縦割りの構造の中で意見が変わってしまったり、上層部からの一声で提案が却下されたりといったことを経験していく中で、「そもそも何の為に働くのか?」と考える様になって、そこから「もっとエンドユーザーの顔が見える仕事したい」と思って、2社目の会社に転職したんです。
2社目の会社は、社員4名ほどのベンチャーで、代表とも近い距離で仕事が出来ていました。
その会社では、年に一度、仕事で関係する方々を集める感謝パーティーを開催していたのですが、そこで関係者の方が代表への感謝を口ぐちに言葉にするのを聞いていて、(世の中に自分じゃないと出来ない価値を見出して、誰かに感謝される人生ってかっこいいな・・)って思ったんです。
その時に初めて、自分もそういう生き方がしたいなって思ったんです。
(自分が感じていた)違和感を無視しなくて良かった。
> 初めは、生き方としての「起業」から興味を持ったんですね。
はい。ただ、その時は具体的に何をしたいのか?を全く考えていなかったので、そこから色々な地域に行くようになって、自分のやりたいことを見つけた時に、自分のやりたいことを実現する選択肢として「起業」が近いかもしれないと理解をして、実際に動き始めた感じです。
> なるほど。ご自身のやりたいことを実現する為の手段としての起業を選んだ、と。
はい。ただ、そういう意味では周り環境の変化やおかげでマインドが少しずつ変化をしていったんだと感じています。おそらく、新卒で入った会社にずっと在籍していたら今の状況は無かったと思いますし。
> 逆に、環境を変えたり、自分が仕事の中で得たい感情や方向に素直に動いたからこそ、結果的にそういう選択になったとも言えるんですかね?
そうですね。今振り返ってみて、すごく思うのは「(自分が感じていた)違和感を無視しなくて良かった」とは感じています。私の場合は、そこに気がついたり、それを払拭する為に考える・行動をする・変化を起こすことで、新しい選択肢が拡がって、今に繋がったんだと思います。
今後について
> 中長期的な展開についてお教え下さい。
まずは、7月に大幅なリニューアルを予定しておりまして、現在はそこに向けて準備を進めています。今回のリニューアルでは、おてつたびを通じて、経験して欲しい「旅」の要素をもっと出せる様な仕様を加えていきたいと思っています。
今の地域の見られ方って、(地方は課題だらけで大変だから)(人手不足で困っているから)という観点で見られることも多いのかと思いますが、それではなくて、「ワクワクする」「楽しいから」というポジティブな視点で地域に関わって欲しいし、そういった世界に近づける様にしていきます。
長期的な視点としては、今は掲載先が宿泊事業者のみとなっているので、それ以外のお手伝い先の掲載を増やしていきたいのと、地域名やその地域が持つブランド力ではなく、もっと“人”や、その場所で得られる“体験”に自然と地域のファンが出来る様な世界観をつくっていきたいと考えています。
> 最後に、記事内でお伝えしたいPR事項などもあれば教えてください。
現在、既におてつたびを利用してくれて地域にいったユーザー・これから、おてつたびを利用したいと思っているユーザー同士でコミュニケーションをとるミートアップを月に一度開催しています。
ちょっとでも興味を持ってくださる方がいれば、おてつたび のFacebookページから情報を発信しているので、是非チェックください!
合わせて、おてつたび ではCOO候補も募集しています!組織で達成したいビジョンを具体的な業務に落とし込めて、プロジェクトとして動かせるメンバーを探しておりますので、もし興味のある方がいれば、こちらもご連絡を頂ければと思います。
> まずは7月のリニューアルが楽しみですね!今日は有難うございました。
ありがとうございます。