「業界は知り過ぎないくらいが丁度良い」異業種からの起業で”日本茶”に新しい風を吹かす。株式会社Third Bay三浦健氏【起業インタビュー92回目】|起業サプリジャーナル

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「業界は知り過ぎないくらいが丁度良い」異業種からの起業で”日本茶”に新しい風を吹かす。株式会社Third Bay三浦健氏【起業インタビュー92回目】

公開日:2019.01.28

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鎌倉駅西口から徒歩1分。観光のメインストリームである東口の半分程の人しかいない“落ち着いた雰囲気”と、並ぶお店の“センスの良さ”、東口ほどの“商業的前のめり感がない”点が、とても心地良いエリアだ。「西口に集まる方は、コアな鎌倉が好きな方が多いんです」と今回取材をした三浦さんは話してくれた。彼は【元アパレル一部上場企業のボードメンバー】という異色の経歴から、昨年日本茶セレクトショップ「CHABAKKA TEA PARKS」をオープンさせた。異業種からの参入で新しい風を吹かす、三浦氏なりのマーケティング哲学や起業に至った背景など、話しを伺いました。

 

プロフィール(株式会社Third Bay 代表取締役  三浦健氏)

2009年アパレル企業の株式会社TOKYO BASE(旧STUDIOUS)入社。立ち上げメンバーとして創業から東証一部上場までの中心メンバーとして携わり、事業部エリアマネージャーとしては店舗運営・商品企画・人材育成・新店舗の立ち上げなど幅広い分野で従事。2017年、起業を機に約12年に渡り携わってきたファッション業界を卒業。その後、自身が代表を務める株式会社Third Bayを設立。日本茶セレクトショップCHABAKKA TEA PARKS事業の運営を主に、経営・営業コンサルタントやシェアリング事業の企画・運営を行う。

 

株式会社Third Bayについて

> 事業内容について教えて下さい。

株式会社Third Bayでは、【古き良き日本の伝統文化や日本のモノづくりに価値を見出し、新しい産業を創出したり、新しい価値や雇用を生む】といったことを起業の理念・コンセプトとして掲げています。

その中で、現在は「CHABAKKA TEA PARKS」という、「日本茶エンターテインメント」をコンセプトに掲げるTEA STAND & STORE型の日本茶セレクトショップを運営しています。

 

> 「CHABAKKA TEA PARKS」とは、どんなお店なのでしょうか?

CHABAKKA TEA PARKSは、【オシャレに楽しむ日本茶エンターテイメント】をコンセプトにしているティースタンドとストアを備えた日本茶のセレクトショップです。

顧客ターゲットを20代から30代中盤の“まだ日本茶の魅力に気づいていない層”に置いている為、まずはそういった方でも手に取りやすい、デザイン性やファッション性に重きをおいた「オシャレである」ことを前提に、そこに加え、体験することで魅力を感じてもらう「エンタメ性」も大事にしています。

これまでの日本茶は、誰かを「おもてなす」シーンで飲まれることを前提とした飲み物ですが、CHABAKKA TEA PARKSでは、お客さんと一緒に楽しむ・お客さんも自分たちもワクワクする、という状態を作りたいと考えています。そういった店のコンセプトを体現したのが、クリーミーな泡の乗った水出し煎茶が楽しめるドラフトティーです。店頭では、お客さんに直接注いでもらい、ドラフトティーを楽しめる様な工夫をしています。

 

> (ドラフトティーを実際に体験してみる編集部)あー!これは楽しいですね(笑)

※こちらが、CHABAKKA TEA PARKSの看板メニューにもなっているドラフトティー(編集部作)

 

他にも、毎日一杯好きなお茶が飲めるサブスクリプション(定額制)のサービスや、日本茶をサーブする機材もコーヒーのドリッパーと急須を融合した陶器型のドリッパーを特注でつくり、演出としてお客さんの目に触れる様にしてみたり。

オシャレで・画期的で・手軽に飲める。だから自分も「日本茶をいれてみたい!」と思わせるようなキッカケをCHABAKKA TEA PARKSを通して発信したいですね。

 

> 確かに。これは人に教えたくなるし、自分でもいれたい!って思いますね。店舗を鎌倉に構えた理由は、観光的側面や集客力の強さを考えてですか?

 

いや、鎌倉が好きだったからです(笑)

 

> あ、そこは結構シンプルな理由なんですね(笑)

 

学生時代から趣味をこの辺りでこなしていたこともあって、鎌倉という場所は自分にとって常に身近な場所でした。サーフィンをしに、週に一度は鎌倉にいく生活を20代半ばまで続けていました。

後は僕自身の出身が静岡県でもあるので(将来は海のあるところに住みたい)と20歳くらいから、ずっと考えていたんです。なので、始めるにあたっての土地選びに迷いは無かったですね。

 

前職は元アパレル大手の上場メンバー!? 一部上場企業のボードメンバーから起業をした三浦氏の異色の経歴

 

> 「起業をしたい」といった考えは、いつ頃から持っていたのでしょう?

 

高校生の時から(将来、自分で何かやりたい)とは考えていました。その時は、古着が好きで「古着屋をやりたい」と思っていて、そこから上京してサーフィンにのめり込んでいって、「鎌倉で何かやりたい」という思考に変化していきましたね。

親も自営業でしたので、自分自身で何かを始めることへの抵抗感は少なかったと思います。

 

> 前職では上場企業のボードメンバーを経験するなど、役職や地位的なポジションを含め「辞めない」ことも選択肢として出来たかもしれません。それでも前職を辞めた理由は何だったのでしょう。

 

「もう学ぶことがない」と思ったのが、次のキャリアを決断するにあたっての大きな理由でした。

前職でのポストは、いわゆる役員的な立ち位置で、立ち上がる新規プロジェクトには、ほとんど関与していました。メンズから始まったブランドでしたが、レディース部門の立ち上げ、海外への参入等、変化の激しい毎日がとても刺激的で、それを飽きずに楽しめていました。

その間にも、(起業したい)という想いは持っていましたけど、社内でも充分それに近い経験を詰めていたので、結果的にそれが楽しかったことと、その経験が絶対に活きてくるとも感じていました。十年間在籍する予定ではなかったですが、そんな経験をしていたら結果的に十年が経過していた感じですね。

一部上場を経験し、出来ること全てにチャレンジをして、自分の中で「もうコレ以上ない」というくらい経験が出来たので、このタイミングを機に、自分自身で新しいことを0からスタートした方が絶対に楽しい!と思ったので起業の決意をしました。

僕は何をするにしても「楽しむこと」がすごく大事だと思っているので、前職のキャリアと起業を天秤にかけた時、自分が楽しめる方に決断をしました(笑)

 

> なるほど。そこから事業ドメインとして、なぜ「日本茶」を選んだのでしょうか?

 

30歳を機に(そろそろ自分で起業したい)と考え始め、ビジネスアイデアを探していた時期に、実家で母親がいれてくれた日本茶の美味しさに衝撃を受けたのが、そもそもの出会いでした。

そこから「日本茶」の魅力にのめり込んでいき、産地や生産者、業界について調べていくのですが、調べれば調べる程、品質として高いモノを保有している反面、業界として進化をしきれていない状況に気づきます。日本茶自体は、世界に出始めているコンテンツとは言えども、生産量や生産者数、雇用的な統計データを見ればm実際は斜陽産業化しているのが現在の日本茶業界の特徴なんです。

 

※総務省「家計調査年報」によれば、一世帯当たり緑茶購入金額は平成16年から平成26年にかけて1,200円以上減少している(出典元:農林水産省「茶の動向」)

 

そこから(何故こんな状況が起きているんだろう?)と考えた時、コーヒーや日本酒といった業界と比較しても分かりやすい様に、業界として新しいチャレンジや取り組みを行っていないことによって、新しいお客さんが生まれていなかったんです。

ここに気づいた時、発想を切り替えて、見せ方や伝え方を変えれば、今の自分たち世代にも受け入れられる日本茶の魅力を再定義出来るかもしれないと考え、

会社のコンセプトとして掲げる、「日本が持っている文化やモノの価値の再定義」の最初の手段として「日本茶」を選択しました。

 

Third Bay三浦氏が掲げる【3つの】マーケティング哲学。「業界は知り過ぎないくらいが丁度良い」と語る真理とは?

> 直接お店に足を運ぶと、三浦さんが話す「価値の再定義」が随所に感じられますね。そういった、自分の狙ったターゲットに刺さるマーケティングは、常に意識しているのでしょうか?

 

マーケティングの意識は、めちゃめちゃしています。ただ、それが表面的な一過性で終わることではなく、常に本質的なところを掴んでいける様なことを意識しています。

例えば、CHABAKKAで人気の“ドラフトティー”というクリーミーな泡の乗った水出し煎茶があるのですが、見た目が斬新でSNSウケもするキャッチーなこの商品が「実際、飲んだら不味かった」だと意味がないんですよ

 

※店内では、自分でいれたドラフトティーをSNSにアップする若い女性の姿なども見えた。

 

> そのマーケティング感覚を養う上で、日頃意識をしていることがあれば教えて下さい。

 

3つ、常に意識しているコトがあります。

1つ目は、「顧客目線であること」。

自分がその店にいったら、どう感じるか?そのサービスを受けた時、どんな反応をするか?といった相手(顧客)側の視点を常に忘れない様に意識しています。

2つ目は、「一次情報に自ら、触れる」。

1つ目に話した顧客目線でいることに近い話でもありますが、自分が気になるお店や、新しい取り組みを始めた場所には、業界業種を問わずに足を運んでいます。そこで大切なことは、そういった情報をテキストで読んで処理するのではなく、自ら体感する・触れてみることです。

なので、気になった場所は都内だろうが関西だろうが直ぐに行くようにしていますね。お店を始めた現在でも、それは変わりません。そうやって、インプットを増やす機会も意識的に設けています。

最後は、「業界を知り過ぎない」。

業界について詳しくなることは、一定レベルでとても大事です。ただ、固定概念に捉われない為に、敢えて、業界を知り過ぎないことも意識しています。お店を始めるにあたっては、同じ日本茶を出すカフェがどんなサービスをしているかは、ほとんど調べませんでした。

それ以上に違う業界で起きていることを(日本茶に当てはめるられないか?)など、そこに費やせる時間を異業種からのインプットに増やすことを意識しています。

 

今後について

> 会社の中長期的な展開についても、お教えて下さい。

 

直近2~3年は、日本茶の価値の再定義をしていく為、CHABAKKA TEA PARKSに事業を集中してやっていくつもりです。長期的には、【日本茶のシングルオリジンが一番揃っているプラットフォーム】としてCHABAKKA TEA PARKSを国内・海外に拡げていきます。

そして何度も言いますが、日本茶を選択したこと自体は、あくまでも会社として成し遂げたいことを達成する為の手段でしかないので、そこから先はまた新しい業界や文化への着手も視野に入れています。

 

> 今あるモノの「価値の再定義」という言葉がお話を伺ってキーワードになってくると感じました。その先に、三浦さんが実現したい世界なども聞かせて下さい。

 

何かを起こすことで人が変わったり、産業が変わったり、新しい産業が生まれたり、そういったことが少しでも起これば良いと思っています。

キレイに言うと、「今まで皆んなが興味の無かったものに興味を持たせたい」

そして、そこにはモノづくりをしている職人さんがいるので、そういった人たちにも陽の目が当たって、ハッピーになってもらいたい。それを仕掛けるThird Bayと、業界に関わる作り手、そしてお客さんの三方良しとなる世界観を常に理想としています。

実はCHABAKKAのロゴにもその想いを込めていて、ロゴの中には顧客を表すCustomerの「C」と、生産者と演出側の我々を表すProducerの「P」が入っており、日本茶を支えるそれぞれのステークホルダーが存在すると言う意味を込めています。

 

> 最後に記事内でお伝えしたいPR事項などもあれば教えてください。

 

色々とお話しましたが、まずは一度お店に遊びに来てください(笑)

直近では、CHABAKKA TEA PARKSの二店舗目が同じ鎌倉エリアの由比ヶ浜にオープンしたので、是非そちらにも足を運んでください。

加えて、現在3月から一緒に働ける仲間も募集しています。この記事を読んで少しでも興味を持ってくださる方がいたら、お気軽に連絡を頂けると嬉しいです。

 

> 早くも二店舗目を出されているんですね。今後の展開が楽しみ!今日はありがとうございました。

 

ありがとうございます。

 

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