「魅力ある仕事を地方に」。群馬発のスタートアップが着目したのは地方のパン屋!?(株)パンフォーユー矢野健太氏【起業インタビュー81回目】|起業サプリジャーナル

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「魅力ある仕事を地方に」。群馬発のスタートアップが着目したのは地方のパン屋!?(株)パンフォーユー矢野健太氏【起業インタビュー81回目】

公開日:2018.10.22

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「会員制パン宅配サービスのパンフォーユー、複数投資家から資金調達」。これまで80名を超えるスタートアップに取材をしてきた編集部ですが、このニュースを見た時、(え、パンのスタートアップ?)と思わずクリック。その内容を見てみれば、本社が群馬県桐生市となんとローカルベンチャーでもあった。「パン」と「スタートアップ」、そして「ローカル(地方)」といった、どの組み合わせを取っても新しいこの形態を選択した(株)パンフォーユー矢野健太氏にお話を伺いました。

 

プロフィール(株式会社パンフォーユー  代表取締役 矢野健太氏)

1989年生まれ・群馬県出身。新卒で電通入社し、中部支社にて交通広告を担当。その後、教育系ベンチャー、地域系NPO事務局長を経て、株式会社パンフォーユーを設立。大のバゲット好き。

 

株式会社パンフォーユーについて

>事業内容について、お教え下さい。

 

当社で目利きをしたパン屋と提携を組み、そこで製造したパンを当社の指定する冷凍加工で保存。それをオフィスや個人向けにお届けする「パンフォーユー・オフィス」の運営をしています。

元々は個人向けにスタートした事業なのですが、現在はオフィス(法人企業)向けに注力をした展開をしています。

 

>よくオフィス内にある、お菓子箱や飲み物が入っている冷蔵庫の「パン」版の様なものでしょうか?

 

そうですね、そのイメージです。企業のニーズ毎に多少形態は変わるのですが、現在は2つの形態でパンをお届けしています。

①冷凍保存してあるパンをそのままお届けする形

②冷凍保存してあるパン+保存をする冷凍庫の貸出までする形

契約を頂いている企業様の需要としては、社員向けの福利厚生として「オフィスにいながら、美味しいパンが食べられる」といった導入をしてくれている企業様と、現在のオフィス向けサービスに、コーヒー・お菓子・サラダ・惣菜系の飲食サービスがある中で、お菓子とサラダの間を埋める軽食分野の食べ物が無いので、そこを我々が満たしているといった理由で、都内を中心とした企業様からご愛顧を頂いております。

 

>パン自体の製造は、一切自社で行っていないのでしょうか?

 

はい、県内のパン屋を中心に15の店舗と提携しています。

 

> 御社から「これを作って欲しい」といった、OEMの様な形を取っているんですか?

 

いや、OEMではなく、多少のメニューの相談はしますが、基本的にはそのパン屋にお任せしたメニューとなっています。

 

> それだと商品にバラつきが出そうですが、あえてコントロールされていないのでしょうか?

 

はい。サービスを始めてから一年半が経過して、そこで得た気づきでもあるのですが、パン好きな方・美味しいモノが好きな方って「浮気性」なんですよ(笑)美味しいものに貪欲なので、やっぱり色んなモノが食べたいんだな、ということを学びました。

ただ、それを自社のみで提供しようとすると限界もあり、やっぱり他に浮気されてしまうんですよね。であるならば、浮気しても私たちのお皿の上で浮気して欲しいと思って、豊富でランダムなメニューを提供出来る、この形態を取りました。

品質の担保に関しても、まず前提として自分たちが食べて美味しいと思えるパン屋さんとしか提携をしないですし、僕らが提供しているものは、ある種、嗜好品的なモノであると考えているので、大量生産のパンではなく、手づくりのパンを楽しんでもらっているという点では、多少のばらつきがあることも一種の味なのかなと思っています。

 

> 浮気性(笑)でも、確かにそうだなと思いました。では、常にランダムな種類のパンが送られてくるのでしょうか?

 

はい、月替わり4〜8種のパンが送られてきます。お客さんからの希望は取っているので、「甘いパンを多く」「しょっぱいパンを多く」といった程度で個社別の対応はさせて頂いています。

 

※同社から送られてくるパンの一例。程良いサイズ感でオフィスで気軽に食べやすいサイズ感となっている。

 

電通→NPO立ち上げを経験。そこからもう1度ビジネスの世界で挑戦をする矢野氏のこれまで

> 起業前は、どういった経歴を歩んできたのでしょうか?

 

新卒で電通に入社し、交通系の広告をメインに3年間名古屋支社で勤務をした後に、教育系のベンチャーで新規事業の立ち上げをしました。元々、公共政策に絡んだことに興味があって大学院に進学するかも考えていたくらいだったんですが、そのタイミングで地元のNPOから声をかけてを頂き、NPOに勤め、現在に至ります。群馬に戻ってきたのは、NPOに入るタイミングですね。

 

> NPOから、もう1度ビジネスの世界に戻ろうと思った背景は何だったんでしょうか?

 

NPOにいた時の関心毎として持っていたのが、都市部と地方・お金持ちとそうじゃない家庭の「教育機会の格差」でした。自分自身がそういった家庭環境にいた実体験にも紐づくのですが、NPOにいた時はアフタースクールのカリキュラムをつくったりなどして、そんな機会を今の子どもに提供出来たらと思い活動をしていたんです。ただ、そこでも関心を持ってくれるのは、結局裕福な家庭の親御さんたちだったんです。

自分が根本的にしたいのは、そのボトムアップの部分であって、それを先生としてやるか?政治家としてやるか?と考えても、本当に届けたいところには届かないだろうな、、というのもあり、そこで考えたのが、家族に対してリーチが出来る存在は「雇い主」かなって思ったんです。

話を聞くと、「お金が無いから」という理由で、子どもに対して教育機会を与えていない方が結構いらっしゃったので、自分がその親御さんを雇用する側に回って、潤沢なお金を給与として支払えれば、それが言える側に回れると思ったんです(笑)

かつ、その親御さんも楽しく仕事をしている姿は、子どもにも絶対に伝わるだろうと思って、自らビジネス(事業)をつくる側として、戻る決断をしました。

 

> なるほど。ちなみに、その中でもなぜ「パン」だったのでしょうか?

 

選んだ理由としては、2つの軸があります。1つ目は、地方でビジネをやるって考えた時に「食」以外、地方でやるビジネスの必然性を感じなかったです。お酒や農産物とかもそうだと思うのですが、その地域である必要性があるのは、やはり「食」だな、と。そんな中で、色々な(食分野の)選択肢がある中で「パン」だけがあまり着手されていない一方、マーケットとしては伸びている、といったこともあり、パンを選んだのが1つ。

2つ目は、50年後「人が何にお金を払うだろう?」と考えた時、色々と候補がある中で、美味しい食べ物にはお金を払い続けるだろうって思ったんですね。生活の中における「ちょっとした良いもの」にはお金を払うだろうなと考えたときに、美味しいパンにはお金を払い続けてくれるだろうと思ったのが2つ目の理由です。

 

 

地方で起業をすることのメリット・デメリットについて

> 少し話を変えて、今回スタートアップという形でビジネスを立ち上げるにあたり、なぜ「東京」を選ばなかったのでしょうか?

 

東京は、別に僕がいなくても勝手に回っていくので自分である必要がないな、と感じていました。それと、自分自身が「不利な状況から難しいものを狙う」ことが好きといった気質もあって、ジャイアントキリングじゃないですけど、そういう逆境と呼ばれる位置にいる方がおもしろいなと感じました。まあ、純粋に東京が好きじゃないっていうのもあるんですけどね。

 

> そうなんですね(笑)。地方で起業をしてみてメリットと感じていることがあれば、教えて下さい。

 

メリットとしては、3つでしょうか。

1つ目は、高い建物がないので空が広いこと。すごい個人的な話ですが、疲れている時に空を見ると、気持ちが楽になります。やっぱりサービス立ち上げのタイミングって、どうしてもハードにやってしまうので、そんな時、ちょっと気を休めたりするときに「空」があると、とても落ち着きます。自然が近いことのリフレッシュ効果とかも感じています。

2つ目は、メーカーをはじめとした企業との距離がとても近いこと、紹介をする文化が東京より強いこと。特に”モノ”が絡んでくる起業においては、メーカーとの提携は必須な為。そこの繋がりがとても重要になってきます。その時に、地方だとそこの距離感がとても近く、相談しやすいですし、信頼をして貰えれば、他の会社さんを紹介して貰う文化も都内に比べて強いと感じます。

少し脱線しますけど、パンフォーユーの本社のある桐生市は、かつて繊維業で栄えた街なので、アパレルや繊維関係でスモール起業したい方には本当にオススメです。「(繊維関係において)桐生で出来ないことはない」と言われるくらい関連業者が揃っています。そういった、その地域が潜在的に持っている特徴を見極めて、自分の考えているビジネスをはじめるだけでも立ち上がりのスピードは変わってくると思います。

3つ目は、採用です。これは人材の「定着」という観点ですが、都心に比べ人材流動性が低い地方は、腰を据えて長く働きたい方を採用する場合は、メリットに働くと感じています。加えて、旦那さんの転勤などで、理由あってUIターンをする優秀な女性層が多く、そういった人材に魅力ある仕事を提供し切れていない地方では、スタートアップとして打ち出すことで、そういった方々から興味を持って貰えるといった、ある種の採用優位性も打ち出せると感じています。

 

>なるほど、逆にデメリットに感じている点も教えて下さい。

 

「情報の集まりにくさ」でしょうか。自分の関連しているビジネスに関連した内容や、ビジネス全体のトレンドなど、都心ではそういった情報が、日々のコミュニケーションなどを通じて自然に入ってきますが、地方にいるとそこの「集まりにくさ」をとても感じます。

 

今後について

> 中長期的な展開についてお教え下さい。

 

しばらくは、オフィス向けの販売事業に注力したいと思っています。そして、そこで得た事業資産を元に、個人向け(toC)に応用していきます。

 

長期な展開としては、大きく2つイメージを持っています。

 

1つ目は、パンって未来的な食べ物だなと思っているんです。理由は、ご飯やパスタといった、我々が主食として食べている物に比べて「成分をコントロールしやすい」点にあります。栄養素を製造段階でコントロールしやすい、というと伝わりやすいかもしれません。これを今後、購買データやお客さんからのフィードバックを元にユーザーが求めている「理想のパン」に近づけていく、データ × レシピの融合が出来たらと思っています。

2つ目は、サービスというより会社の方向性の話ですが、地方の良いモノをリブランディングして届けるという事例は既に幾つか出ていますが、僕らはパンフォーユー発信の「新しいカタチ」として、それを出していきたいと思っています。

>最後に、サービスを通じて実現したい世界観などもあればここでお話下さい。

日本には、まだまだ美味しいパンがあることを知らない人が多いので、まずはそれをパンフォーユーを通じて、知って頂きたいです。そして、会社のビジョンとしても掲げている「魅力ある仕事を地方に」を組織や事業の拡大を通じて、体現していきたいと思っています。

現在、東京都内・群馬県内での採用を積極的に行っていますので、もし少しでもパンフォーユーに興味を持ってくださる方がいれば、連絡を頂きたいです。そして、「会社にいる時間でも社員には、安心できる美味しいものを食べてもらいたい」と思っている企業の担当者様がいれば、お試しの提供もしているので、気軽にご連絡ください!

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