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有給休暇5日以上義務化。すぐに対応が難しい場合の現実的着地点とは?

公開日:2018.07.10

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6月29日に参議院で働き方改革法案が可決され、正式に法律として成立しました。

ニュースなどでも報道されているよう、法案の中心は「罰則付きの36協定の上限設定」「高度プロフェッショナル制度」「同一労働同一賃金の原則」などです。

 

有給休暇5日取得が義務化

しかしながら、実は、働き方改革法案には、上記以外にも大小含めいくつかの法改正が含まれています。

その中で、中小企業が取り急ぎ押さえておきたいのは、「年間5日の有給休暇の取得」が義務化されたということです。2019年の4月から施行されます。

従来は、労働者が希望したにも関わらず会社が有給休暇の取得を認めないのはもちろん違法ですが、労働者から希望がなければ有給休暇の取得を促す必要はありませんでした。

ところが、今回の法改正により、年間10日以上の有給休暇が付与される労働者に対し、会社は、必ず年間5日は有給休暇を取得させなければならないこととなったのです。

 

現実問題として5日取得が難しい場合の対応

働き方改革の主眼は、効率的な働き方の実現や、ワークライフバランスの実現にありますので、理想的なのは、業務の効率化により有給休暇を積極的に取得できる職場環境をつくることです。

しかしながら、これまでほとんど有給休暇の取得実績が無く、現実的に、誰かが休むと業務に大きな影響が出てしまうような職場の場合はどのように対応すべきか悩ましいところであると思います。

このような場合に私がおすすめするのは、「有給休暇の計画的付与」という方法です。

「有給休暇の計画的付与」とは、会社と労働者代表の間で労使協定を結ぶことにより、会社が指定した日に労働者に有給休暇の取得を命じることが可能になるという制度です。

この「有給休暇の計画的付与」という制度を使い、お盆休み、年末年始休暇、祝祭日などのうち、5日間を労使協定により有給休暇の計画的付与日とするのです。

そうすることで実質的に年間休日を増やすことなく、合法的な形をつくることが可能になります。

 

有給休暇の計画的付与の注意点

ただし、注意点が2つあります。

1つ目は、もともと就業規則や労使慣習で、はっきり休日扱いとしてきた日を有給休暇の計画的付与日にする場合は、労使協定を結ぶだけでなく、それに加え、労働者1人1人から個別の同意を得ることが必要になるということです。

同意が必要な理由は、労働契約法において、労働者に不利益な労働条件変更をする場合は、不利益を受ける労働者と個別同意が必要と定められており、もともと休日だった日を有給消化日に置き換えることは、この不利益変更に該当するためです。

2つ目は、休日を有給消化日に置き換えるのは、あくまでも「緊急避難的な暫定対応」であると考えて頂きたいということです。

純粋に有給休暇の消化率が上がり、我が国の労働者の総労働時間が減少していくことが「有給休暇の5日義務化」の法改正では目標とされています。

しかし、もともと休日だった日を有給消化日に置き換えても総労働時間は減少しませんので法改正の本来の趣旨に沿った対応ではないですし、労働者側からは「ブラック」な印象を持たれてしまうリスクもあります。

 

まとめ

差し迫った2019年4月から、有給休暇を5日取得させることを、大企業から零細企業まで横一線でスタートさせることは現実的に困難が伴うことが予想されます。

ですから、緊急避難的には、本稿で説明した「有給休暇の計画的付与」の制度を利用した対応方法をとることもやむを得ない部分があると思います。

しかしながら、中小零細企業含め、やはり、あるべき姿は本来の休日とは別に、有給休暇が5日きちんと消化できることです。まずはテクニカルな方法でしのいだとしても、継続的に業務の効率化を進め、1年に1日ずつでも、本当の意味で有給休暇を消化できる日を増やしていくようにしたいものです。

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投稿者について
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榊 裕葵

榊 裕葵

東京都立大学法学部卒業後、上場企業の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務。独立後、ポライト社会保険労務士法人を設立し、マネージング・パートナーに就任。「社員から信頼される会社作りをサポートする」を経営理念として、顧問先の支援に当たっている。

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