「起業自体がリスクだと思わない、やりたいことをやれないことの方がリスク」株式会社ハグカム道村弥生氏【起業インタビュー71回目】|起業サプリジャーナル

  1. 起業サプリジャーナル TOP
  2. 「起業自体がリスクだと思わない、やりたいことをやれないことの方がリスク」株式会社ハグカム道村弥生氏【起業インタビュー71回目】

「起業自体がリスクだと思わない、やりたいことをやれないことの方がリスク」株式会社ハグカム道村弥生氏【起業インタビュー71回目】

公開日:2018.06.04

̃Gg[͂ĂȃubN}[Nɒlj

「起業自体がリスクだと思わない、やりたいことをやれないことの方がリスク」と語る道村弥生さんは、新卒でサイバーエージェントに入社後、営業、人事、新規事業立ち上げ、子会社経営と社会人での経験としては、これ以上とない濃密な経験を経て起業。それでも起業してからは大変なことも沢山あったと話す。 レッドオーシャンな教育業界に、ベンチャーとして新しい風を吹かす女性起業家のお話を伺いました。

 

プロフィール(株式会社ハグカム 代表取締役 道村弥生氏)

2007年に株式会社サイバーエージェント入社後、広告営業、子会社経営、プロデューサー、新卒採用など幅広く事業に従事。 幼少期の好奇心育成が人生に大きな影響を与えていると感じ、子ども向けの教育サービス事業として2015年に独立し、株式会社ハグカムを設立。 子どものためのオンラインスクール「GLOBAL CROWN」を運営。

 

株式会社ハグカムについて

> (株)ハグカムについて、お教え下さい。

 

はい。株式会社ハグカムでは「子どもの「できた!」を育む。」をビジョンに、現在は幼児から小学生ぐらいまでの子どもを対象にしたオンライン英会話スクール「GLOBAL CROWN」を運営しています。社名の由来は、「育む」をベースに、親が子供を抱きしめるような愛情を表す「ハグ(hug)」と、未来の意味も含む「カム(come)」を付けた造語で「ハグカム」と名付けました。

 

>メイン事業についても、詳しくお教え下さい。

 

メイン事業である、子ども向けオンライン英会話スクール「GLOBAL CROWN」のコンセプトは、”楽しく学びが続くオンラインスクール”としていて、既存のオンライン学習の傾向としてある、いかに価格を抑えてオンライン上で学習を提供するのか?ではなく、「品質が高く・楽しくて・成長する」この3つを突き詰めていくサービスとして展開をしています。GLOBAL CROWNのサービス内容のカテゴリーは、オンライン英会話なのでフィリピン人によるSkype英会話と勘違いされてしまいますが、中身が全く異なっていて、

・講師は全員バイリンガル

・レッスンの予約をユーザー任せにせず、弊社から最適な講師をマッチングし続ける

という形を取っています。なので、親御さんたちの「子供にとって、どの先生が一番良いのか?」といった考える手間を仕組みで解決し、常に最適な講師をサービスからアテンドしています。

 

> ユーザー全員の講師マッチングを御社で担当しているんですか?

 

はい。ここがポイントでもあるのですが、ずっと同じ講師だから良い、という訳でもなく、毎回講師が変わることが良い、という訳でもありません。子どもの性格やレッスンの習熟度に合わせて、私たちでテクノロジー(システム)とアナログ(人的マッチング)な部分をかけ合わせながら講師をアテンドしています。

 

> 一見、地道にも思える作業ですが、実績として成果に現れているのでしょうか?

 

現時点での継続率が85%という数値で出ています。オンラインスクールの業界水準としては2~3倍以上の高い水準で継続率を維持できています。

 

> へー!すごい!!失礼ですが、他社と比較しても決して安いサービスではないですよね?

 

はい。大人向けでよくイメージされる大手サービスであれば、1ヶ月5,000円前後の金額帯をイメージされると思いますが、弊社サービスの平均単価は13,000円です。それくらいの金額帯を支払って頂きながらも、かつ、継続してもらっているという点が「サービス品質の高さ」の実績と評価だと思っています。生徒さんは、集団の英会話教室に通われていた方・通信教材を利用されていた方からの流入も多く、「やってはみたけど伸びなかった」という実感値が高い方たちが、新しい手法としてGLOBAL CROWNを選んで頂くケースも増えています。

 

> 英会話の習熟度って定量的に出ないので「満足度の指標化」が難しい印象を受けるのですが、その点はどういった工夫をされていますか?

 

その点は自社の課題でもあるのですが、現時点で、できていること・これから改善することをお伝えすると、まず、できている点としては、子どもたちがレッスン中に発したフレーズや言い回しなどを講師にチェックしてもらい、それをオンライン上のデータとして残しています。その蓄積されたデータから習熟度を測っています。

これから改善する点としては、習熟度に対応したカリキュラムのレコメンドをしていきます。カリキュラムとシステムをうまく連携させ、優秀な先生がさらにハイレベルなレッスンを提供できるようにすることで、生徒の成長を加速させていきたいなと考えています。

結局、オフラインの英会話教室だと、そういった部分が定量化されないので、「なんとなく楽しくやって、なんとなく1時間終わり、1年2年が経過していく」。これまでの教育の在り方もテクノロジーで改善を加えていきたいです。

 

これまでの経歴から現在(起業)に至るまでのお話

広告業界から教育業界へ。転職ではなく、起業へ。あえて、リスクを取る決断を選んできた道村さんの起業のきっかけを伺いました。

> 前職の広告業界から、経験のない教育業界への起業を志したきっかけや経緯を教えて下さい。

 

前職であるサイバーエージェント(以下、サイバー)に入社した理由は、広告をやりたいと言うより「新規事業をやりたい」という想いで入社しました。自分自身が生まれて死ぬまでに、何かを残して死にたい・社会の役に立って死にたい、という想いが当時から強くあり、「何か創ってお客様にサービスや価値を届けるモノ=新規事業」だと思ったので、それができる最適な環境としてサイバーを選びました。なので、広告がやりたかった!という観点とは少し違いましたね。

サイバーの中では、新規事業の立ち上げや子会社の経営など、自分が入社前に希望したことを経験をさせてもらい、その中で部下を持つマネジメントの機会や、採用という観点でたくさんの学生と触れる機会に恵まれました。その中で、「優秀なのに目標が無かったり、チャレンジをし切れていない人材」をたくさん見ていると、(私くらいのレベルやスキルでも、チャレンジしようとする気概が持てるのに、何で皆んなもっと持たないんだろう?)という疑問にぶつかって、途中経験をした人事の採用面接の中で、それが「幼少期」の体験や、その時期に培われたものや環境に紐づくものだと気付きました。

私自身の家庭環境を振り返れば、両親二人とも教師という家庭に育ったこともあり、家の中では常に「これは何だと思う?」とか「これって知ってる?」といった質問が飛び交う環境に置かれていました。そのおかげもあり、世の中に対して疑問を持ったり、知らないことは知りたいと思うようになったり、と。そういった思考性になっていったのは、振り返れば両親のおかげ、つまり幼少期の環境によって培われたものでした。

そういった、自分自身の原体験と、多く見てきた若者の原体験が交差した時に、「いつか教育に関するサービスをやりたい」という想いが少しずつ芽生えてきました。新卒入社5-6年目のタイミングです。

 

> そこから、どう起業に至ったのでしょうか?

 

最初は、(いつかやりたいな・・)くらいなフワッとした考えでいました。

丁度30歳のタイミングで、キャリアとしてはサイバーで0からプロダクトをつくって、事業を伸ばすという経験を丸2年ほど経験をし、社長である藤田さんと一緒に事業戦略を考えるといった経験を通して、それまでの自分に足りていなかった最後の経験を埋めることができました。並行して「(いつか)子ども向け教育の事業をやりたい」ということは周囲に話していたので、それに関連する様な人を周りから紹介してもらったりしながら、自分の中での「やれるかも」といった小さな自信を少しずつ積み重ねていき、起業の決断に至りました。

 

 「起業自体がリスクだと思わない、やりたいことをやれないことのリスク」

> レッドオーシャンな「教育業界」に対して、転職ではなく、なぜ「起業」というリスクを取ったのでしょうか?

 

そうですね・・「品質の高いオンラインスクールをやりたい」という今のビジネスアイデアを思いついた時に『これを自分でやりたい!』って思ったんですね。例えば、素晴らしい教育商材を持つ業界最大手の会社にいって、そこから変革をしていくということもできたかと思うのですが、やっぱり自分がやりたいと思う世界の実現に関してはすごく遠回りになってしまうのを感じました。

小さくても良いから、自分が思い描いたモノをつくって・届けて、それでお客さんに満足をしてもらえるのか?役に立てるのか?は自分の仕事のスタイルとして、一番やる気が出て、楽しいと思える瞬間なので、起業を選択しました。あとは、起業自体がリスクだと思ったことはなくて、自分がやりたいことをやれない方がリスクだな、とは思っていました。

前職では、本当に起業に近い経験を会社を通じてさせてもらいましたが、それでも独立してからは全く違うものだと感じました。その分、苦労や心労も・・予想以上に多いですが。

 

>一同:(笑)

 

でも、好きだから・やりたいことだから、前を向いてできている部分は凄く実感します。自分自身でも「この領域に関してはしつこいなあ・・」と(笑)

 

 これからのハグカムについて

> 今後の中長期的な事業展開についてお教え下さい。

 

2018年度中に、インタラクティブなライブ学習機能と、講師のマッチング・進捗に応じた学習コンテンツの提示をはじめとしたレコメンド機能を完成し切りたいと思っています。

優秀な講師をオンラインで採用し稼働させる実績は既にあるため、その2つが完成し切れば、今度は他の学習ジャンルにおいても展開が可能になります。翌年には基礎科目である国語・算数・理科・社会といった分野や、STEAMS教育(※)といった分野にもカリキュラムを拡大できたらと考えています。

※STEMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Art(アート)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)、Sports(スポーツ)のそれぞれの単語の頭文字をとったもの。米国では、経済が大きく成長していく中で最も重要な分野だと考えられている分野。

 

> 最後に、会社やサービスを通じて、創っていきたい未来のお話などもお教え下さい。

 

最終的には、オンラインスクールのプラットフォーム化を目指しています。

今は英会話というジャンルですが、ゆくゆくは色んなジャンルを学べるプラットフォームにしたいです。その中にはライブ学習の機能は勿論、かつ子どもたちがどういう学びをすれば良いのか?というレコメンド機能が揃っている、この2つがしっかりと備わっていれば、どんなジャンルの学習でも、楽しく学べ・成長実感を得られ・もっと学びたいという知的好奇心を育んでいけると考えています。

1つの学習ジャンルだけではなく、子どもたちに色んな興味を持って、たくさんの学びを得て欲しいと思っているので、それを住んでいる場所や時間、選べる講師の制限を全て取り除いて提供できるオンラインの強みを最大限に活かし、そこに「品質」というエッセンスをしっかりとのせて、多くの子どもたちに届けていきたいと思っています。

 

取材・撮影協力:成長型ワーキングスペース「BIRTH

̃Gg[͂ĂȃubN}[Nɒlj

人気の記事

最新記事

カテゴリー

タグ