「次の世代へバトンを渡す」 若き起業家がアンケートアプリで繋ぐ未来【起業インタビュー第50回】|起業サプリジャーナル

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「次の世代へバトンを渡す」 若き起業家がアンケートアプリで繋ぐ未来【起業インタビュー第50回】

公開日:2017.12.05

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いくら齢を重ねても他者を慮れない人間もいる一方で、弱冠20代にして既に次世代への「還元」を心に秘めている起業家もいる。
今回は、そんな心ある若き起業家にお話を伺った。

 

横江 優希(よこえ ゆうき)氏
1990年1月生まれ、千葉県出身。2014年一橋大学商学部を卒業。大学在学中に大手ネットリサーチ会社マクロミルの新規事業部にて、フロントエンジニア・ディレクターとして新規アプリ・サービス開発に従事。
2012年にスマートフォンアプリ制作会社の設立を経て、2014年5月に株式会社テスティーを設立。

 

TesTeeとは

TesTeeとは、スマートフォンに特化した、若年層ユーザーがメインのアンケートアプリである。
一説には自前のパソコンを保有していない若者も増えていると言われているほど、パソコンからスマートフォンへのデバイス移行が著しい昨今、迅速にその変化に目をつけた横江氏によって2015年に考案、開発された。
リリースから2年余りで会員数が60万人を超えているというのだから、その先見の明には瞠目させられる。

 

企業視点からみたTesTee

企業にとって、新商品開発や新企画立案のフェイズでは、その商品や企画の帰趨を推し量るために市場調査が欠かせない。
ところが、スマートフォンが普及するにつれ、リサーチ業界では新たな課題が発生した、と横江氏は語る。

従来のネットリサーチはパソコン経由での情報取得を前提としており、スマートフォンへの対応が遅れていました。
その結果、いち早くデバイスをスマートフォンに移行した若年層のリサーチデータが不足するという課題が生じたのです。

この課題を解決すべく、横江氏はスマートフォン専用のオリジナルアプリ「TesTee」を開発。若年層向けの商品やサービスを提供している通信、食品、コスメ業界はじめ、多くの企業から支持を得ている。

 

ユーザー視点からみたTesTee

ユーザー視点からみた場合、その最大の強みはシンプルでわかりやすいUI(ユーザーインターフェイス)だろう。
アンケートに対するユーザーの回答は、「あなたは犬派?それとも猫派?」などの簡単な質問に沿って、2枚の画像のいずれかをタップするだけで完了する。

しかも、この数秒間の行為によってポイントが貯まり、LINEのスタンプやAmazonのギフト券などと交換できるという点も大きな売りだ。
物心ついた時からスマートフォンが存在している若年層が、電車の待ち時間などのスキマ時間を有効活用するのにうってつけというわけである。

 

若年層ターゲットの事業展開に至るまで

横江氏が若年層をターゲットとした事業展開に至る直接の起点は、大学時代のインターンだという。

大学時代、インターンで数社のスタートアップにお世話になりました。
時節柄、IT系の企業が多かったのですが、そこではやはりエンジニアやデザインのスキルを持っている人が重宝されます。そのどちらもスキルも当時持ち合わせていなかった私は、自分が企業に貢献できているという実感を得られず、とても歯がゆい思いをしました。

その次の横江氏の行動が圧巻だ。なんと大学を1年間休学して、マーケティングリサーチ大手「マクロミル」でエンジニアとしてのスキルを取得したのだ。
その後、在学中の2012年に1社目の起業となるスマートフォンアプリ企画・制作会社を設立、2014年に株式会社テスティーを立ち上げて現在に至る。

 

「なぜ若年層をターゲットにした事業にシフトされたのですか?」というこちらの問いに対する返答にもまた、舌を巻いた。

まだプロダクトが形にならない創業前から、ベンチャー・スタートアップはじめ、数多くの上の世代の方々にお世話になり、いろいろなことを教えていただきました。
ですから私も、下の世代・次の世代に役立つようなサービスを提供して、間接的ではありますけれど、上の世代の方々への恩返しをしたいと思ったんです。

心構えに年齢の多寡は関係、ない。

 

運命の歯車

お話はさらに遡り高校時代にまで及び、意外な事実を知った。

高校では理系に進み、漠然と「医学部に行こうかな」と思っていました。今思えば、何も考えていなかったのですが(笑)
ところが、高3のセンター試験受験の直前、交通事故で大怪我を負ってしまい、長期の入院で現役の受験を棒に振ることになってしまいました。

その入院生活中、こう思ったんです。「お医者さんの仕事とは、怪我や病気というマイナスの状態を、元通りの健康なゼロの状態に戻すことなんだな。それよりも自分は、無(ゼロ)から有(プラス)を創り出す仕事がしたいな」と。

もしもその事故がなければ、今存在しているのは横江医師であって、TesTeeは世に生まれていないのかもしれない。

 

メンバーへの想い

そんな数奇な運命の歯車が噛み合って誕生したテスティー。
3人での創業から4年目を迎えた同社は現在、インターン生等も含めて14名ものメンバーが働く大所帯となった。最後に横江氏に、メンバーに対する想いを聞いてみた。

私は社長という立場ではありますが、一緒に働くメンバーの上に立つというより、彼らに寄り添ってサポートするのが務めであると考えています。メンバーはテスティーのために時間を使ってくれているので、そんな彼らの時間の価値を少しでも高めていきたいと考えています。
私は交通事故を含め、人生で3回死にかけています。それもあって、1日1日をしっかり悔いなく生きようと思っています。この想いはメンバーに対しても抱いています。テスティーのメンバーの一員になったからには、人生を悔いなく過ごしてほしい。自分の人生をよくするために会社を使ってほしい。会社の歯車になるのではなく、会社を人生の歯車として使ってほしいとメンバーには伝えています。

「会社のための自分」ではなく、「自分のための会社」であってほしい―
それを自社のメンバーに面と向かって言える経営者がはたしてどれほどいるだろうか。

 

編集後記

これまでの取材では渋谷や五反田にお邪魔することが多かった中、株式会社テスティーのオフィスは、隅田川のほど近くの日本橋蠣殻町という「渋い」下町にあった。

だが、今や渋谷はもちろん、五反田もスタートアップ・ベンチャー企業のオフィスが飽和状態に近づきつつあるという話も聞く。
近時再開発が盛んな日本橋にオフィスを構えたというのもまた、横江氏の先見の明かもしれない。数年後の日本橋とテスティーの成長が楽しみだ。

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