会社は設立しやすくなった
平成18年5月1日から施行された「会社法」によって、最低資本金制度が廃止され、取締役会の設置も原則任意となりました。これらに伴って、株主も役員も自分だけという「ひとり会社」や個人事業主の「法人成り」など、小規模会社の設立がしやすくなりました。
このような小規模会社の設立では、費用をできる限り削減したいと思われる方も多く、お金がかからない場所で設立したい=自宅で設立したい、と考える方も多くいらっしゃいます。
さて、会社の場所は自宅でOKなのでしょうか?
自宅で登記するメリットとデメリット
会社の場所を自宅にすると、どんなメリットやデメリットがあるのか、見ていきましょう。
メリット
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- 会社の場所にかかる費用が節約できる
現在住んでいる自宅を会社の住所として使用するため、会社の場所についてプラスでかかる費用がありません。
- 昨今はシェアオフィスやバーチャルオフィスなど安く登記できる(=会社の住所として使用できる)場所を提供するサービスも多くありますが、自宅登記のゼロ円にはかないません。
- 郵便物などの受け取りが便利
- 家賃や光熱費の一部を経費計上できる
オフィスに毎日行く必要のない仕事である場合、自宅とオフィスが離れていると郵便物をとりに行くのが案外と面倒になりますが、自宅と会社の住所が同じであればそのような面倒はなくなります。
自宅(賃貸の場合)をオフィスとして仕事に使用している場合、家賃や光熱費のうち仕事で使用している割合については按分して、経費に計上することができます。
デメリット
- 小規模な会社であることが一目瞭然
- 自宅の住所が公表される
- トラブルになる場合もある
会社の住所は、登記されて、誰でも見ることができる登記簿謄本というものに載ります。このとき、代表者の住所も登記されていますので、代表者の住所と会社の住所が全く同じであることはすぐに分かり、小規模な会社だな、という印象を与えることになります。
事業をする際、会社の住所を公表する機会は多くあります。自宅の住所と会社の住所がイコールである場合、自宅の住所をどんどん公表してしまうことになりますので、女性で一人暮らしの場合などは慎重に考える必要もあるかもしれません。
デメリットというより注意点ですが、自宅が賃貸で、その物件が住居専用であるような場合には登記はできません。黙って登記をしてしまうと、契約違反になりトラブルになる場合もありますのでやめましょう。またオフィスとして使用できる物件であった場合でも、居住用と事務所用で家賃が変わる可能性もあります。まずは大家さんに確認をするようにしましょう。
会社の住所は自宅でOKか否か
結論はずばり、人によります。あなたが、デメリットやリスクを理解した上でメリットの方が大きいと感じるのならば、それは即ちOKということになります。特に、費用をできる限り節約することが何よりも優先であると思っている場合にはおススメです。
なお、自宅の住所を登記するにあたっては、マンションなどである場合、マンション名や部屋番号などを載せずに登記することも可能です。登記に必要なのは建物の番地までですので、個人会社であることを強調しないためには、登記する住所を番地までに留めておくのもひとつの手です。