「キャンピングカーを購入し、そこで生活する」
「キリマンジャロ登頂に挑戦する」
「マサイ族族長に会いに行く」
「世界を元気にする冒険家チームを結成する」
「離島で学校を作る」
「大人の遊び場、世田谷ベースに負けない秘密基地を作る」
「観光大使になる」
「グランピング施設を作る」
自分の夢を叶え続けることを仕事にしている、という起業家にお会いした。
「そんな贅沢な仕事があるのだろうか」と半信半疑の念を抱きつつ。
渡辺 亮介(わたなべ りょうすけ)氏(写真右)
元JTBコーポレートセールス株式会社にて東京を拠点に法人営業を行い、営業賞受賞、最年少JTBホールディングス主催1200人の新人研修講師などを経験し3年間従事。
退職後は4社会社を起業し様々な事業を展開。事業の傍ら、世界を元気にする最狂の若者冒険家集団「CRAZY Islanders」の総隊長として、世界を舞台に冒険活動を精力的に行っている。
夢を集める
BUCKET LIST(バケット リスト)というものをご存じだろうか。自分が死ぬまでにやり遂げたいことをリスト化する行為、またはリストそのものがそう呼ばれる。
渡辺氏のSynchronicity株式会社が運営するサイトBUCKET LISTでは、各々が作成したBUCKET LISTが公開・シェアされる。
夢のサイズはそれぞれで、「常に背筋を伸ばす」「毎月旦那と記念日を祝う」「自転車で通勤する」という日常的なものから、冒頭で紹介した渡辺氏のような壮大なものまで多岐に渡る。
タンデムでスカイダイビングをする渡辺氏
子どもに「夢はなに?」って訊くと、即答で夢が返ってきますよね。しかも大きなものが。
ところが大人に同じ質問をしても「うーん・・・」と答えに窮する方が多い。幼い頃ははっきりと見えていたのに、年が経つにつれどんどん薄れゆくんですね。大人でも夢はあるはずなんです。ただそれが埋もれているだけで。
本来は大人が子どもに夢を、楽しんでる背中を見せるべきじゃないですか。「大人になってもこんなに楽しいことがあるんだよ」「大人になると今よりもっと楽しい生活が待ってるよ」って。ですから、大人が夢に挑戦できる仕組みを構築し、夢が循環する世界にしたいんです。そうは言っても、金銭的にも時間的にもそのような行動が積極的にとれてる人って、身近には少ないです。なので遠い世界の人の話のように聞こえてしまう。「なれるならなりたいけど、自分とは無縁の話だな」となりがちです。夢に挑戦し続けているロールモデルが身近にいないとなかなかイメージが湧きませんし、最初の一歩を踏み出しにくいかもしれません。
そこで、まず僕自身がロールモデルとなるべく、自分の自分のBUCKET LISTを作成し、自分の夢を実現し続けているというわけです。現在、すぐにでも叶えたいという本気の夢がある方々を支援・応援するプラットフォームを構築中です。わかりやすく言うなら、ライザップさんの夢バージョンですかね。「夢にコミット」です。
「夢=仕事」に至るまで
社会人初日に起業を決意
大学卒業後、東京の大手旅行代理店に就職した渡辺氏。不機嫌が蔓延する朝の通勤電車、列をなして歩く勤め人の群れに埋もれる自分に強烈な違和感を抱いたという。
「え?みんなちゃんと生きてる?」って驚きました。と同時に、この生活を続けるうちに感覚が麻痺してしまうかもしれないことに恐怖を覚えました。
とはいえ、せっかくご縁あって大手の会社に就職できたわけですから、その中で自分がどれだけやれるか試してみたいという強い気持ちもありました。
そこで、「3年目までに納得のいく成績を残して起業する」と決意し、実際に社会人4年目の夏に会社を辞め、起業しました。
「起業ありき」で突っ走った1社目
「直感的に起業するタイミングが来たと感じたので起業した」という渡辺氏。起業時点では、事業は全くの未定だったそうだ。
僕はとにかく起業がしたかったので、何をするのか決めないまま起業しました。これから起業を考えておられる方々にはお勧めできませんが(笑)
自分が実際にその環境に身を置かないとわからないことがたくさんあると思います。ですから、1秒でも早く、起業家・事業主と呼ばれる立場に身を置きたかったんです。あれこれ思案した挙句、旅行業界に在籍していた経歴を活かし、その会社では地方活性化のコンサルティング・地域ブランディングを事業ドメインにしました。具体的には、静岡県にある伊豆半島の自治体と連携して地域商社活動をしたり、旅行情報発信・ネット販売、ハワイイベントの集客業務などを主導したり、です。
楽しくはあったのですが、自分の夢をよりダイレクトに叶えられるような事業にシフトしたい、という思いが強くなり、当時運営していたメディアを活かす形で、現在のBUCKET LISTへとピボットしました。
圧倒的行動力のルーツ
一見無鉄砲に思える行動であっても、そこに結果が伴えば「行動力がある」と評価を受ける。
圧倒的行動力をもって夢を仕事にして会社を回している渡辺氏のルーツを探った。
高校2年まで勉強もろくにせず、山口の田舎(山口県美弥市)でやんちゃばかりしていました。
ある時、無期停学処分を受けたのですが、「その時間を有効に使え。広い世界を見て来い」という恩師の助言で、美弥市の姉妹都市であるシドニーへホームステイすることになりました。初めての都会、初めての海外で、目にするもの・体験すること全てにすごく刺激を受けました。その時、自分は「知らないことを知る」のが好きなのだと初めてわかったんです。
1ヶ月の滞在を終えて帰国した渡辺氏の世界観は一変していた。
僕が通っていたのは地元の工業高校です。工業系でない一般大学への進学実績なんて皆無でしたし、高校卒業後はほぼ全員が就職を選択します。
でも、高校OBの先輩たちと接してても仕事が楽しそうにはみえません。仕事後のプライベートを楽しみにすることはもちろんいいことですけど、それだけじゃないんじゃないか、仕事自体を楽しむべきなんじゃないかと僕は思いました。
だったら自分は、地元で就職するという道は辿らずに、未知の土地へ行って自分の視野を広げようと。その時はまだ自分が何をやりたいかわかっていなかったので、それを探すために。そこで初めて「大学に行こう」と思い、受験について必死で調べ、名古屋商科大学への進学が決まりました。
これから叶える夢
種子島に学校を
「無人島に学校を作りたい。バリのグリーンスクールのように、生きる力を自然の中で培うような場所を作りたい。」と語る渡辺氏。
まずは鹿児島県種子島での学校設立に向けて、本格的に活動を始めている。今後は種子島にもオフィスや住居を構え、東京と現地とを行き来するようになるそうだ。
夢の循環
1人で完結させない、自分だけで終わらせない世界観を作りたいですね。
夢が自分のためだけのもの=「俗物」で終わってしまうのは非常にもったいないです。そこに公がつくと、「俗物」は「志」へと昇華します。そうすると仲間が自然と増えてきます。
例えば、僕たちがどなたかの夢の実現を有償でお手伝いする場合、いただく料金の一部を発展途上国への寄付に配分する仕組みを作ったりすることを考えています。
そうすれば、実質的に夢を叶えれば叶えるほど社会貢献をすることになりますし、大げさに言えば世界を救うことになります。心理的にも、夢を叶えることへのモチベーションが上がると思うんです。「夢の循環」とでもいいましょうか。
誰かが描いた夢の実現が他の誰かに伝播し、巡る。そして、その道筋にいる誰もが幸せになる
――渡辺氏は、そんな世界の実現を本気で目指している。
僕たちのビジョン・想いは、広める意味と意義があると信じています。広めることに対して、迷いなき使命感があります。
「自分の仕事は夢を叶えることだ」ともっと胸を張って言えるようにしていきたいですね。