【起業インタビュー第27回】“OFF TOKYO” 東京だけがシビレる場所じゃない!~東京にこだわらず働くエンジニアを増やす~|起業サプリジャーナル

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【起業インタビュー第27回】“OFF TOKYO” 東京だけがシビレる場所じゃない!~東京にこだわらず働くエンジニアを増やす~

公開日:2017.06.16

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(写真左から、鈴木翠さん、豊田昌代さん)

 

日本では首都圏への人口集中の割合が高くなっており、これは諸外国と比較しても群を抜いています。また2050年には、およそ6割以上の地域で現在の半分以下の人口になると予想もされている現状です。これは国の事業である地方創生においても課題とされています。

詳細は、「まち・ひと・しごと創生『長期ビジョン』『総合戦略』」のパンフレットをお読みください。

そんななか、エンジニアの「東京にこだわらない働き方」をサポートする移住・転職の支援サービス「sibire(シビレ)」を運営されているシビレ株式会社のCEO豊田昌代さんとCOO鈴木翠さんにお話を伺いました。

 

県のIT人材誘致事業がキッカケ。移住を後押しする難しさ

 

―起業を決意したきっかけを教えてください。―

 

鈴木氏

「地方」や「エンジニア」にフォーカスしたサービスを立ち上げようと決めたのは、2014年から携わった島根県のIT人材誘致事業に参画したことがきっかけです。

私たちは前職でリクルートに勤めていて、そのときからよく「いつか自分たちでサービスをつくりたいね」と話していました。お互い別の道に進んでからも定期的に会っていて、そんなとき私が当時所属していた会社で島根県のIT人材誘致事業を受託、プロジェクトを一緒に成功させるメンバーとして豊田を誘いました。

島根県は人口減少が深刻で、県を挙げてIT企業を誘致し、そこで働くエンジニアを都市部から獲得していく。そうすることで、Uターン、Iターンのエンジニアが増え、県内のIT産業も活性化していく、そんな島根県のプロジェクトにジョインしたのです。

 

―行政と一緒にやることで上手くいったのですか。―

 

豊田氏

この事業で難しかったところは、いかに「移住しそうな人を見つけるか」そしてその人たちに「転職先を見つけ」「移住決定してもらう」というフローの長さとハードルの高さにあります。しかし島根県の事業では、さまざまなバックアップもあり、当初想定した以上の結果を残すことができました。

 

―すごいですね!移住決定って難しいですよね。―

 

豊田氏

はい。「移住決定」だけを切り取ると難しいですね。

 

この事業を通じ、多くの「地方で働きたい」(東京じゃないエリアで働きたい)エンジニアに会いました。そこで感じたのは、エリアを限定せずエンジニアが主体になって「自分が働きたい場所」で働けるようなスキームが組めれば、より多くの人が地方で働けるようになる、ということです。そこで、対象を全国に広げたサービスを行政予算に頼らずつくろうと考え、シビレを設立しました。

 

ただ全国を対象に広げると、どうしても「移住決定」のハードルが高くなってしまいます。私たちは「地域情報や企業情報の提供」、「個人にあった転職先の情報提供」、「移住決定までの支援」という一貫したサポート体制を採っていくことにしたのです。

 

 

地方のエンジニア不足は社会課題

 

―シビレの利用者はどういった方が多いのでしょうか。―

 

鈴木氏

東京でエンジニア経験を積み、身につけたスキルを地方で試してみたいと思っている方が多くいらっしゃいます。

一方で東京での生活や仕事にストレスを感じている方も一定数いらっしゃいます。

例えば、東京の満員電車に疲弊された方がそのストレスから開放されたくて、近郊エリアへの転職や地方への移住を考えていたりします。地方へ行けば身近に自然やレジャーも多くあり、生活コストや出費を抑えられるというメリットもあります。また、子育て環境に不満をもち、地方への移住を決断された方もいますね。

 

―そういった社会的なニーズがあるんですね。―

 

鈴木氏

そうですね、社会課題を解決するために、地方自治体にも協力してもらっています。

東京でエンジニア向けの転職イベントを開催した実績もありますが、自治体から企業に声をかけてくれたりもし、多くの企業とのつながりができました。

 

地方には良い企業がたくさんあります。しかし、大手の求人サイトや人材紹介サイトでは東京の企業や大企業が中心となっているため、地方の良質な中小企業が隠れてしまっています。

シビレは、そのような地方のシビレる企業にも焦点を当てています。

 

―企業とのマッチングイベントを開催したこともありますが、もっと潜在的な移住ニーズをもつ方と出会う場として「シビレバー」というイベントも開催。東京を離れて働くことなんて、周囲に相談もできない。少人数で開催するシビレバーは、そんな方たちと一緒に飲みながらコミュニケーションをとる企画です。毎回好評で定期開催しています!―

 

 

OFF TOKYOを時代の流行にする!

 

―社名の由来を教えてください。―

 

豊田氏

東京にエンジニアは集中しています。でも、正直ストレスも多い東京で“一生働き続けるのか?”と疑問に感じる瞬間は、誰にでもあると思います。

東京だけがシビレる場所じゃない。シビレる場所を各地に作りたい」そういった想いが名前に込められています。

「地方移住」というと、決断のハードルが大きく、実現性が低くなってきます。私たちは“OFF TOKYO”と銘打って、東京に固執せずシビレる働き方をする人たちを増やしたいです。

 

※HPに使用されている画像。浮世絵という古いものに最新のテクノロジーが加わわり、動き出す世界を表現

 

豊田氏

Webサイトで利用している「動く浮世絵」は、止まっている世界(浮世絵)にエンジニアの力が加わることで動き出す世界を表現しています。相反するものが融合することで発生する化学反応にシビレるという感覚の意味も込められています。

 

―面白いですね!OFF TOKYOの波が来るといいですね。―

 

鈴木氏

近い将来、東京にこだわらない働き方を一般的にしていきたいです。

 

日本各地のエリアを盛り上げようというのが私たちの事業の目的です。そのために私たちにできることは地方とエンジニアを結ぶことにあります。この事業には多くの行政や企業が賛同してくれています。これからもっと多くの方たちを巻き込んでいきたいと思います。

 

“地方移住”というと、どこか「リタイアして地元に戻る、都落ち、左遷」のようなネガティブな印象を受けがちです。だからこそ私たちは、そういった風潮を吹き飛ばす「OFF TOKYO」 を掲げて、自分がシビレると思えるエリアを自分で選べる環境、社会になるよう情報発信していきたいですね。

 

編集後記

「地方×エンジニア×移住」という難しい事業に取り組む二人。そこには社会的な課題があり、同じような取り組みをしていく企業が少ないにもかかわらず積極的に支援していく二人には強い意志があり、絆の強さを感じられるインタビューでした。

 

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投稿者について
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竹澤 駿

2017年に行政書士登録と同時に、行政書士法人jinjerの立ち上げに参画し、現在に至る。 外国籍の方の就労ビザの取得支援に特化し、サービス業を中心に一部上場企業から中小企業までの幅広い顧客を持つ。年間約300件の申請を手がけ、昨今は法改正のあった「特定技能」へも対応し、人材会社の新規事業の立ち上げ支援も実施。

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