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独立時の資金計画で知っておきたい退職金と雇用保険の知識

公開日:2016.11.10

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こんにちは。社会保険労務士の榊です。

会社を辞めて独立するにあたっては、少しでも手元の現金は多いほうが心強いものです。貯蓄以外に、退職金や雇用保険などを当てにしている方もいると思いますが、「こんなはずではなかった」とか「勘違いしていた」ということが無いよう、独立時のキャッシュフローについての注意点を説明します。

1.退職金について

独立時の資金に退職金を組み込もうと考えている場合に、注意する点は次の2点です。

 

第1は、退職金規程をよく読み込んで下さいということです。多くの会社で、勤続年数が一定年数以下の場合は退職金を支給しなかったり、会社都合退職と自己都合退職では計算式に差を設けている場合もあります。ですから、退職する前に、退職金規程を読んで自分で退職金の額を試算してみて、間違いがないか人事部などに確認しておくと良いでしょう。

人事部に相談する際、理由を聞かれて「独立する可能性があるから退職金を計算している」と答えると角が立ってしまうのが心配な場合は、「生命保険を契約することを検討していて、いくらの保険に入るか決めるのの参考にしたいので」というような、無難な回答を用意しておくと良いと思います。

 

第2は、自分の会社の退職金が「確定拠出年金(401k)」では無いかということです。退職金は、通常は退職時にもらえるものですが、確定拠出年金の場合は、税メリットやポータビリティ性があるかわり、一定の場合(個人別管理試算が50万円以下等)を除き60歳まで現金化することができません。

ですから、自分の会社の退職金が確定拠出年金の場合は、原則としては退職時に現金化できないという認識の上、独立後の資金計画を立てるべきでしょう。

 

2.雇用保険について

失業手当

独立直後にすぐ売上が立つわけではないので、雇用保険の基本手当(俗に言う「失業手当」)を収入源として考えている方もいらっしゃいます。

起業家の方が基本手当を受け取れるかどうかの分かれ目になるのは、「起業準備中なら基本手当を受け取れるが、起業をしてしまうと基本手当は受け取ることができない」ということです。

より具体的に言えば、「事業計画を検討する」「物件を探す」「飲食店や古物商などの許可がいるので役所から許可を取る」というような、実際に営業を始める前の「準備段階」においては、基本手当を受給する資格があるということです。ただし、一般の失業者の方と同様、求職活動も並行して行うことが受給の要件になっていることにもお気を付け下さい。

一方、「名刺を配って営業活動をする」とか「実際に物品の販売を行う」というようなことを始めますと「起業をした」という扱いになり、そこから先は基本手当を受け取ることはできません。

起業をしたかどうかは、デリケートな判断が必要になる場合もありますので、不正受給にならないよう、迷ったら管轄のハローワークに相談するようにして下さい。

再就職手当

もう1つ、雇用保険絡みで覚えておきたいのは、起業家も「再就職手当」を受け取ることができるということです。

再就職手当とは、「基本手当をもらい切ってから就職しないと損だ」ということで、就職できるのに早期に再就職しない人を減らすため、基本手当の残日数が一定以上残っているうちに再就職を決めた人に対して雇用保険から支払われる手当です。

この「再就職」には実は「自ら起業すること」も含まれているので、仮に1日も基本手当をもらわずに起業に踏み切った場合は、本来基本手当としてもらえるはずだった額の約60%を一括で受給することができます。

ただし、この再就職手当を受給するためには、起業するタイミングや、起業内容(ちゃんと自活できるレベルの起業か)などの条件がありますので、実際に再就職手当の受給を目指す場合は、必ずハローワークや社会保険労務士に詳細を確認して下さい。

 

3.まとめ

退職金と雇用保険は、独立当初の資金繰りに役立つものであることは間違いありませんが、もらえるとおもっていたはずのものが手違いや勘違いでもらえなかった場合はショックも大きいですので、あらかじめ受給できる要件などを慎重に確認をしておきたいものです。

 

 

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榊裕葵

東京都立大学法学部卒業後、上場企業の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務。独立後、ポライト社会保険労務士法人を設立し、マネージング・パートナーに就任。「社員から信頼される会社作りをサポートする」を経営理念として、顧問先の支援に当たっている。

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