収益を拡大するのも利益を最大化するのも、商品の販売分析が重要です。しっかりデータを取っている人こそができる“技”です。
コツコツと蓄積したデータを分析することで、経験とか勘とかでは図ることのできない結論が導けます。これはどの業種でも同じです。飲食店でもサービス業でも小売店でもメーカでも。
そんな商品の販売分析についてお伝えさせていただきます。
売れ筋商品分析は弱い!?
一般的な商品の販売分析でもっともポピュラーなのが、売れ筋商品分析とか死に筋商品分析とかって言われるものですね。
売れ筋商品分析 |
自社及び他社での商品ごとの売上金額の大きいものを特定する分析。 |
死に筋商品分析 |
自社及び他社での商品ごとの売上金額の小さいものを特定する分析。 |
売れ筋がわかれば、小売店の場合は売れ筋商品の品揃えを拡大・充実させることで収益が伸びますし、その分、死に筋商品を縮小すればいいのです。
全国小売店のPOSデータを利用すれば外部の動向も見ることができますので、顧客ニーズに合わせた商品戦略が組めます。
しかも、売れ筋商品分析は簡単です。エクセルでも容易にできます。単純に商品別の売上高の一覧を売上金額の高い順に並び替えればいいのです。
それをランク付けして、上位20%圏内に入っている商品をAランクの売れ筋、下位20%に入っているものをCランクの死に筋、それ以外の中間のものをBランクの現状維持品と分けることができます。
このように、売れ筋商品分析は簡単で、かつ有効なデータが得られます。
それは間違いないのですが、危険なのは、“売れ筋商品分析だけしかやっていない”っていう状態です。売れ筋商品分析は万能ではありません。
【懸念①】売上高でしかみていないため利益の最適化にはならない可能性がある。
【懸念②】たまたま大口の売上があがったに過ぎない商品が売れ筋に判定されるリスクがある。
こういった懸念があるので、複数の基準で分析を進めるのが理想です。
利益の最適化(最適セールスミックス)
売上は大きくとも、利益が少ない商材であれば利益は最適化されません。その販売のためにかかるコストや、別の利益の高い商品が売れていないという機会損失まで発生しています。
どの商品に集中して売上を伸ばせば一番利益が高くなるのかを考えるのが最適セールスミックスです。
この分析をするために必須となるのが、“コスト”の明確化です。特に商品ごとにかかっている原価を把握しないといけません。小売店でももちろんですが、製造業でもできれば商品ごとの原価計算を行いましょう。
さらに理想は、そのコストを“変動費”と“固定費”に分解することです。変動費は、売上の増減すると変化するコスト、固定費は売上の増減に関係なく固定で発生するコストです。ざっくりと勘定科目ごとに分けてもいいです。例えば、材料費はすべて変動費、人件費と電気代などはすべて固定費としてしまいます。
以下のような表を完成させて分析してみると良いでしょう。
|
商品A |
商品B |
商品C |
1個当たり売上高 |
10,000 |
20,000 |
30,000 |
1個当たり変動費 |
2,000 |
8,000 |
21,000 |
1個当たり限界利益 |
8,000 |
12,000 |
9,000 |
1個当たり個別固定費 |
3,000 |
5,000 |
6,000 |
1個当たり貢献利益 |
5,000 |
7,000 |
3,000 |
共通固定費 |
10,000 |
||
1個当たり営業利益 |
5,000 |
こう見ると、商品Cは一番売上高が大きいですが、貢献利益が小さいですので、あまり集中しない方がいいです。それよりは、商品Bを伸ばしていく方が利益の観点からは優れています。
たまたまの大口販売を排除するRFM分析
RFM分析というものがあります。これは、直近の購買金額・購買頻度・購買日3つの軸で分析します。通常は優良顧客を見つけるための顧客分析で使いますが、商品分析でも使えます。
良い商品は、リピート需要があり頻度高く売れ、過去だけでなく直近でも継続的に売れており、金額も高いものです。単なる売上高だけでなく、頻度や日付を加えることで重要品目かどうかの判断が可能となります。是非ご活用ください。
まとめ
商品分析は単純にしてしまうとデータが偏ります。判断も正しくならない可能性もでてきます。そのため、複数の視点からデータ分析をすることをオススメします。それができるITソフトウェアを導入することもご検討ください。