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「試用期間」で気を付けたい3つのポイント

公開日:2017.03.24

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起業をして事業が軌道に乗ってくると、社員を雇うことを考えるのが自然な流れだと思います。
ハローワークや民間の求人誌などに求人情報を出すことになると思いますが、求人の条件として「試用期間」を設ける場合が多いでしょう。
今回は、「試用期間」について気を付けたいポイントを3点ご紹介したいと思います。

 

「試用期間」は「有期契約」ではない

第1は、試用期間は有期契約ではないということです。

しばしば、「新しく社員を採用したのだが、思っていたのと違うので、試用期間が終わったら本採用するのを控えたいのですが。」という相談を受けることがあります。
この時、誤解されていることが多いので、気を付けていただきたいのは、たとえば「3か月の試用期間付の正社員採用」というのは、「3か月以内ならば自由に本採用を拒否(=解雇)できる」ということではなく、「入社初日から無期契約がスタートするが、当初3か月は解雇基準が若干緩やかになる」という意味に過ぎないということです。
すなわち、遅刻や欠勤が多いとか、勤務態度が明らかに悪いという場合は、本採用拒否が可能ですが、「何となく気が合わなそう」とか「期待していたほど積極性がないなぁ」というくらいでは、本採用拒否は不当解雇になってしまう恐れが高いということです。

したがって、もし最初の3か月とかで相性を見極めたいということであれば、「試用期間」ではなく、3か月の「有期契約」、すなわち、最初は契約社員でスタートするような形で求人を出したり、雇用契約を結ぶようにして下さい。

 

試用期間も社会保険に加入する必要がある

第2は、試用期間中の社会保険についてです。

新入社員が定着するか分からないので、試用期間が終わってから社会保険に加入させたいという相談を受けることがあります。
確かに、社会保険の手続には書類作成などの手間がかかり、また、会社が負担する社会保険料も決して少額ではありませんので、定着するか分からない試用期間中の社員に手間やコストをかけたくないという気持ちは分かります。

しかしながら、「2か月以上の継続雇用の可能性がある」場合は、試用期間中であれ契約社員であれ、社会保険に加入をさせなければなりません。
年金事務所の社会保険の適正加入に対する指導も厳しくなっておりますので、正しいタイミングでの社会保険加入を心がけましょう。

 

試用期間中も最低賃金法が適用される

第3は、試用期間中の賃金です。

試用期間中は、本採用後の賃金とは異なる条件が適用されることがあります。
たとえば、「時給1000円とする(ただし試用期間中は900円とする)」というような条件提示です。
この時、たとえば埼玉県の会社であれば、最低賃金は845円ですので、法的には問題ありません。しかし、東京都の会社の場合は、最低賃金は932円まで上昇しておりますので、たとえ試用期間であっても、上記のケースですと、最低賃金を下回り、違法ということになってしまいます。
自分の会社の所在する県の最低賃金をチェックして、試用期間であってもこれを下回らないように気を付けて下さい。

なお、月給制の場合であっても、最低賃金法は適用されます。月給を月平均労働時間数で割って、時給換算した場合に最低賃金を下回ってはなりませんのでご注意ください。

 

まとめ

以上の3点が、試用期間に関して特に気を付けたいポイントです。

法律を守らなければならないのは当然のことですが、加えて、違法な条件を提示してしまいますと、逆に社員のほうから「この会社で働いて大丈夫かな」と不信感を与えてしまい、入社辞退や、試用期間の途中で退職されてしまうことにもつながりかねません。
正しい労働条件を示して、安心して入社してもらえるような会社にしたいものですね。

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投稿者について
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榊裕葵

東京都立大学法学部卒業後、上場企業の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務。独立後、ポライト社会保険労務士法人を設立し、マネージング・パートナーに就任。「社員から信頼される会社作りをサポートする」を経営理念として、顧問先の支援に当たっている。

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