【起業インタビュー第18回】「たまに発明する主婦」が起業家に。発明コンクール7年連続受賞のシンデレラストーリー|起業サプリジャーナル

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【起業インタビュー第18回】「たまに発明する主婦」が起業家に。発明コンクール7年連続受賞のシンデレラストーリー

公開日:2017.03.16

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取材日にはめずらしく、氷雨の降る寒い午後だった。
武蔵小山駅から歩くこと1分。暖かいインキュベーションオフィスで、その女性起業家は私たちを温かく迎えてくれた。

 

鈴木 未夏子(すずき みかこ)氏
ママのアイディア工房株式会社代表取締役、主婦発明家。
2010年~2016年一般社団法人発明学会主催コンクールにて連続受賞記録を更新中。
子育て・家事・介護を便利に楽しくするアイディアグッズの企画・製造・卸・販売をしている。主力商品「お弁当袋になっちゃう!!ランチクロス☆」は東急ハンズ・ロフト等の小売りチェーン店にて絶賛発売中。

 

きっかけは「祖母のため」

最初から事業化、起業家を目指していたわけではないという鈴木氏。きっかけはおばあ様のために作ったグッズだった。

ベッドにいる時間が多い祖母が「リモコンがない」「メガネが消えた」と困っているのを目にしていました。布団の中とかに入りこんじゃうんですよね。
そこで、リモコン、メガネ、ティッシュなどを格納できる「枕元ポケット」を作ってみました。祖母が喜んでくれたのが嬉しくて。
これをきっかけに、「世の中の便利グッズはどういうものがあるんだろう、誰が作っているんだろう」と興味が湧きました。
調べてみると、いろいろコンテストやコンクールもあるんですね。その中で、一般社団法人発明学会が主催するコンクールが、協賛企業も多く、商品化されているアイディアもあるようでしたので、面白そうだと思って、「枕元ポケット」で応募してみました。

この応募が鈴木氏の運命を変えることとなる。

思いがけず、「枕元ポケット」で努力賞(上位約10%)をいただいたんです。賞なんてもらえるんだ、とびっくりしました。
私はもともと外で働いていた(会社員)のですが、小さな子供たちのお世話や家事、祖母の介護のお手伝いと家の中での生活となり、どこかエネルギーが発散され切っていない部分があったのかもしれません。
便利グッズを考案する=不便さを解決する、というのがなんだか仕事みたいで楽しくなってきて、ここから発明にハマり始めました(笑)

なお、この初受賞から7年連続受賞という記録を更新中である。

 

「たまに発明する主婦」から「起業家」へ

当初は「年に1、2回発明する主婦」にすぎなかった、と笑う鈴木氏。しかし、ある発明を機に、起業家への流れに乗ることとなる。

 

TV出演

お弁当袋になっちゃう!!ランチクロス☆が、2014年の第18回「身近なヒント発明展」で特別賞をいただきました。
その結果、TVでこれを紹介いただくことになり、放映後に反響もあったんです。ですので、商品化しようかな、という気持ちが芽生えました。

 

女性起業塾

現在、起業支援をする自治体は非常に多いと言っても過言ではないだろう。
例えば、平成28年12月時点で、「産業競争力強化法に基づく認定を受けた市区町村別の創業支援事業計画」は、全国で1,133件(1,275市区町村)に及ぶ。(中小企業庁サイト「産業競争力強化法に基づく認定を受けた市区町村別の創業支援事業計画の概要」より。

そのような中、品川区立武蔵小山創業支援センターは、特に女性の起業に力を入れている。鈴木氏はここの女性起業塾の6期生として入塾した。

ここで事業計画書の作成方法を学びました。最初に書いたものを、他者との差別化、マーケティング等あらゆる要素からブラッシュアップしてオリジナル化するのです。
事業計画書を作成することはとても大事だと思っています。私は、それによって道が拓けたと感じています。最近は、頭の整理とスケジュール感の把握のために事業計画書を作成することが習慣になったぐらいです。
起業塾自体、とても充実していました。プレゼン、文章のコーチングなどいろんなジャンルのプロフェッショナルの方々が講師として来て下さり、刺激を受けました。同期との横のつながり、上下との縦のつながりもあり、皆さん年齢もバックボーンもさまざまですから、とてもおもしろかったです。

その後、
品川区に事業計画書を提出、面接を経て、品川区立武蔵小山創業支援センターインキュベーションオフィスに入居。
株式会社ちふれ化粧品のちふれ女性起業家支援制度に採択。
小規模事業者持続化補助金(経済産業省)に採択。
と、着々と事業化の準備を整えた。

 

7年連続受賞のアイディア

発明学会「身近なヒント展」7年連続受賞作の中から、2点紹介させていただきたい。

お弁当袋になっちゃう!!ランチクロス☆

ママのアイディア工房株式会社のサイトのトップを飾る、同社の主力商品。第18回「身近なヒント発明展」特別賞受賞。
弁当袋の結びと解きに四苦八苦する4才のお子さんを見て、「子どもでも楽にできる工夫はできないだろうか」との発想から生まれたアイディアだそうだ。
百聞は一見にしかず、ということで、同社公式のyoutube動画も併せてご紹介する。

 

おんぶ紐つきジャンプスーツ

発明学会主催東日本大震災被災者支援コンクール優勝作品。
一見普通の防寒着だが、左右のファスナーを開けるとおんぶ紐が内蔵されており、有事の際にはすぐにおんぶして避難できるというすぐれものである。難燃素材を使っているため、防炎機能も備わっている。
こちらも公式のyoutube動画をご紹介しておく。

そもそも、どうして湧水の如く次々と、有力なアイディアを思いつくことができるのか。

例えば「近所に郵便ポストがあったっけ?」と思っても、とっさには思い浮かばなかったりします。なのに翌日外に出ると「こんなにあったっけ?」というぐらいポストが見つかるんです(笑)
つまり、頭に何らかの「お題」を入れていると、頭の奥底に向かって話しかけておくと、ふとした時に思いつくんじゃないかと考えています。ですから、「不便なことがありそう」とインプットしておくことにしています。

 

周囲のサポート

「またバイトできる?」

ママのアイディア工房株式会社は、鈴木氏の一人会社だ。それゆえ、基本的には鈴木氏が全ての業務を行うことになる。
しかし、ママさんならではのネットワークで、お手伝いを頼むこともあるそうだ。

ママ友つながりで、LINEグループ名「またバイトできる?」を持っていまして、出荷前の検品やパッケージ等、その時々に応じてママ友たちにお手伝いいただいています。今後は、エクセルのデータ入力等の事務作業も頼んでいきたいと考えています。
ご自分が手伝えなくなった時に代わりの方をご提案下さるなど、皆さんとても協力的で助かっています。

 

家族

ママのアイディア工房株式会社のサイトでは、鈴木氏のお子さんたちがモデルとして活躍されている。
お子さんたちのように表には出ないものの、ご主人も陰で鈴木氏を支えていらっしゃるようだ。

夫はのんびりと穏やかで大きな岩のようなおおらかな人です。徐々に事業化してきた私の仕事を冷静に見守ってくれています。
「○円の借金(事業借入金)をしたよ」と言っても、「そうだね、高い授業料だね」と笑ってくれました。大変感謝しています。

 

編集後記

「楽しいから」「嬉しいから」を原点に仕事をしている人は強い。
これまで取材をしてきた多くの起業家の方々と同様、鈴木氏もとても楽しそうだった。

折りしも、やがて花見のシーズンが始まる。
お弁当袋になっちゃう!!ランチクロス☆が全国の花見スポットで咲く光景が見れるかもしれない。

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