警察署での許可が必要な社交飲食店とは?
社交飲食店とは、飲食の提供に加えて、「接待行為」を伴うサービスを提供することができる飲食店のことで、いわゆるスナック、キャバクラ、ラウンジ、クラブなどが該当します。
社交飲食店を開業するには、通常の飲食店開業のための保健所からの飲食店営業許可に加えて、営業所を管轄する警察署からの社交飲食店営業許可を取得することが必要です。
社交飲食店の営業許可申請の流れ
社交飲食店の営業許可までの流れはおおよそ次のとおりです。
物件の選定 ↓ 周辺の調査 ↓ 営業所の測量と必要書類の作成 ↓ 管轄警察署への許可申請 ↓ 風俗環境浄化協会の立入り検査 ↓ 許可証の発行 |
社交飲食店の許可を取得するにあたり、まず重要なのが、営業所がそもそも社交飲食店の営業許可を取得できる場所かどうかの確認です。
具体的には、営業所から100mの範囲内に学校や病院、図書館がある場合、許可が取得できないのが原則です。
一方で、地方公共団体の条例により、これらの距離制限にかかわらず、営業許可を取得できる地域を指定している場合があります。いわゆる歓楽街がこれに該当します。
したがって、営業できそうな物件が見つかった場合でも、許可が取得できない物件では意味がありませんので、契約前の調査は非常に重要です。
また、ぜひ押さえておきたいのが、管轄警察署での事前打合せです。
許可に必要な前提調査は、起業する皆さま自身か、もしくは許可申請手続きを代行する行政書士等にて行うことになりますが、具体的な許可申請の実務に入る前に、担当窓口になる警察署の生活安全課の担当者にご挨拶、今後の許可申請に向けた打合せを行うことが大切です。
この事前打合せにより、該当の場所が実は許可にならない場所であることが判明したり、あるいは該当の物件で以前許可を受けていた事業者が廃業届を出していないことが判明したりすることもあります。以前の事業者が廃業届を提出していないと、同一の場所での新規許可はできないのが原則であるため、これらの調査を事前に行う必要があります。
このように許可申請前の事前打合せはその後の手続きをスムーズに行う上でもぜひ行うとよいでしょう。
営業所の測量と必要書類の作成
社交飲食店の許可申請にあたって最も厄介なのが、営業所についての詳細な図面を作成、提出する必要があることです。
具体的には、次のような図面作成が必要です。
・平面図:実際に営業する際に備え置くイスや机、ソファーといった備品についてもこの図面上に落とし込む必要があります。 ・求積図:平面図をもとに客室とそれ以外のスペースとを区別して各部屋の面積のわかる求積図を作成する必要があります。 そのほか、音響設備、照明設備、防音設備についても図面を作成して提出する必要があります。 |
許可申請のための必要書類の作成としては、上記の図面に加えて、個人か法人かの別により次のような書類が必要になります。
個人の場合 |
法人(株式会社)の場合 |
① 営業方法を記載した書類 ② 営業所の使用権原を証する書類 ③ 住民票の写し ④ 人的欠格事由に該当しないことの誓約書 ⑤ 登記されていないことの証明書 ⑥ 本籍地市区町村の発行する身分証明書
※ ③~⑥は、事業主及び管理者の分が必要 |
① 営業方法を記載した書類 ② 営業所の使用権原を証する書類 ③ 住民票の写し ④ 人的欠格事由に該当しないことの誓約書 ⑤ 登記されていないことの証明書 ⑥ 本籍地市区町村の発行する身分証明書 ⑦ 履歴事項全部証明書 ⑧ 定款 ※ ③~⑥は、法人役員及び管理者のものが必要 |
- 必要書類は、各都道府県により若干異なります。
管轄警察署への許可申請
必要書類が揃ったら、許可を取得した管轄警察署の生活安全課担当係に書類の事前確認をしてもらい、書類が整っていることの内諾を得たうえで許可を申請します。
このとき、特に図面については、厳しくチェックを受けることになり、正確な書面として取り揃うまで何度も窓口に通わなければなりませんのでご注意ください。
必要書類の事前確認がすべて完了し、担当係から申請受理の内諾を得て、ようやく許可申請書類の提出及び受付となります。
この許可申請手続きは、行政書士が代行することが可能ですが、多くの警察窓口では、申請後に許可申請者本人の面談が実施されます。
風俗環境浄化協会の立入り検査
許可申請後、2~3週間程度で、風俗環境浄化協会の立入り検査が実施されます。
これは、許可申請に際して提出された図面が、実際のものと一致しているかの確認のために行われるもので、担当係員が実際に計測を実施するなどかなり細かい現場チェックが入ることになります、ここで提出された図面の寸法が実際と合わないと、再検査となり、許可取得が遅れてしまいますので注意が必要です。
許可証の発行
環境浄化協会の立ち入り検査を無事クリアすると、ようやく念願の許可証発行となります。
許可になると担当の警察署の担当係から電話等で許可になった旨と許可証の受取りに出向くように連絡がありますので、原則として許可を受ける責任者本人が警察署に直接出向いて許可証を受け取ることになります。
なお、許可申請から許可までの標準処理期間が定められており、許可になるまでの目安を公表することとなっていますので、事前に確認しておくとよいでしょう。こちらも地域により異なりますが、おおよそ2カ月前後となることが多いようです。
まとめ
飲食店の中でも、接待行為を伴う社交飲食店を開業する場合には、許可取得の可否や、許可までの期間なども考慮して、より綿密な事業計画を立てることが必要です。