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【起業インタビュー第15回】名刺のアップデートが止まらない?変幻自在、実験型フリーランスの快進撃に迫る

公開日:2017.02.28

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いただいた名刺の肩書をみてみた。新規事業ディスカッションパートナー、アイディエーション講師、キャリアシナリオコンサルタント・・・失礼ながら、ひとつも聞いたことがない。

「次にお会いした時は肩書がまったく異なるかもしれません」
トレードマークの帽子とメガネを身に着けた青年は、戸惑う私たちを前に、屈託なくそう笑った。

 

黒田 悠介(くろだ ゆうすけ)氏
日本のキャリアの多様性を高めるために自分自身を実験台にしている文系フリーランス。新しい『事業』『働き方』を生み出すことが生業。
帽子とメガネがトレードマーク。東京大学文学部心理学→ベンチャー社員×2→起業→キャリアカウンセラー→フリーランス(ポートフォリオワーカー)→兼業COOというキャリアを有する。

 

謎の肩書

名刺の肩書を解きほぐさないと話は進まない。特に興味深いと感じた2種につき、詳しく伺った。

 

ディスカッションパートナー

簡単に申し上げると、「ベンチャー企業やスタートアップの創業者の方々と、新規事業についての議論の壁打ち相手をする仕事」です。
アイディア・コンセプト・ビジョンの生成、各種戦略・ビジネスモデル・マネタイズプランの構築など、初めて起業する方のご相談全般に乗って、事業・創業をスムーズに進めるお手伝いをしています。

具体的には、隔週1回でクライアント様にセッションの場(2時間)を設定していただき、私がそこに赴きます。
基本的に事前も事後もなく、その場でディスカッションを行い、ホワイトボードでそれを整理して各回が完了する形です。
私がディスカッションパートナーを務める期間はご要望によってさまざまで、2ヶ月程度で終了する場合もあれば、半年・1年に及ぶこともあります。

 

初代yentaエバンジェリストの名に相応しい豊富な人脈もフル活用し、スタートアップを後押しする。

ディスカッションの中で、私以外の専門家、例えばデザイナーやエンジニアが必要になった場合には、私の知り合いに声を掛け、幻影旅団やアベンジャーズのような最強チームを組んでお手伝いすることもあります。
自分一人でできることなんて限られています。私は、プロフェッショナルを束ねて指揮する役割にすぎません。

 

キャリアシナリオコンサルタント

キャリアコンサルタントと何が違うのだろうか、と伺う前に、黒田氏から明快な解説をいただいた。

一般的なキャリアコンサルトとの違いは2つあります。
まず1つ目は、「点」と「線」の違いです。
一般的なキャリアコンサルタントは、就職や転職の場面、すなわち「点」で役に立つ存在です。
一方、キャリアシナリオコンサルタントは、100年ライフという「線」を前提として、その人の人生や価値観にフィットするキャリアの歩み方を一緒に考えていくものです。

2つ目は、コンサルティングが無料か有料かという違いです。
一般的なキャリアコンサルタンティングそのものは無料です。コンサルティングは手段であり、目的は企業に人材を紹介することによって得られる紹介料だからです。
一方、私のキャリアシナリオコンサルティングは、それ自体が有料です。紹介料を目当てに企業の要望に傾くことなく、目の前の方のことを真に考えたいので、コンサルティングそのものの価値に相応の報酬をご相談者からいただくことにしています。

 

フリーランスを選んだ動機

フリーランス=不安定、という固定観念が皆無とは言えない私は、やはりその道を選んだ動機を訊かずにはいられなかった。

動機は大きく2つあります。
1つは、学生向けのキャリアコンサルティングを年間1000人ほどやっていた頃、自分に経験がないがために、学生にフリーランスという選択肢を提案できなかったんですね。じゃあ自分でフリーランスを経験してみよう、と。
そこで文系フリーランスって食べていけるの?を立ち上げて、実験と称していろんな活動を試しつつ、その成果をイベント・メディア・カンファレンスで発信しているところです。

もう1つの動機は、新しい職業をいろいろと創りたかったからです。
個々人にベストな働き方というのがきっとあるはずで、1人でも多くの人がそれに巡り合うために、私は働き方の多様化を推進したいのです。
私が提案する新しい職業が1つでも多く、5年後、10年後、次世代に定着すればいいなと思っています。

 

多様化の時代に思うこと

終身雇用はとうの昔に崩壊し、大企業でさえ永続が保証されるとは限らない時代。
いきおい、働き方は確実に多様化している。フリーランスという立場にいる黒田氏は、これからの時代をどのようにみているのか。

副業・複業はこれから増えていくと思います。企業の側からみても、優秀な人材を囲い続けるのはコストがかかりますし、個人の側からみても、多種の報酬を1つの仕事で充足させるのは難しいからです。
つまり、私は、報酬を、金銭、技術、精神、貢献、信頼・評判・機会獲得の連鎖、自己理解というように6つに分類しているのですが、1つの仕事でその全てを充たすのは難しいのではないか、という意味です。
その多様な報酬を得るためには、自分のアイデンティティを1つに置かず、時間の使い方を多様化させる必要があり、その選択肢の1つが副業・複業になるのではないかと思うのです。

このように、時間の使い方や選択肢が多様化する場合、自分にとって有意義な時間の使い方や最適な選択肢を選ぶために、自分は何者なのかという自己理解が大事になってくるのではないでしょうか。
いずれにせよ、これから「働き方革命」が起きた時に、その波に流されるのではなく、その波に乗れるような準備が必要だと考えています。

 

熱意の源

黒田氏に、定型的ではあるが私が最も好む問いを投げ掛けてみた。あなたの熱意の源は何ですか、と。

人が幸せになればいいな、という想いです。
私自身、いろんな働き方をしてみて、自分にあった働き方が見つかったときに幸福度や納得感が高まるんです。ですから、日本全体で、そういう働き方を実践できる人が増えればいいな、と思うのです。
私としては、自身が見えたことや感じたことを伝える場があればうれしいですし、それが人の幸福につながれるのであれば、なおうれしいです。

 

フリーランスをやってみて

フリーランスをやってみる、という実験に今のところどういう感触をお持ちなのだろう。

フリーランスという働き方は悪くない、と今は思っています。
社会保障が弱いこと、交渉などの面倒を自分で処理する必要があることを引き換えにしても、自分ですべての舵取りをできるというのが性に合っています。
やったことがそのまま自分の実績になりますし、フリーランスならではの信頼残高も貯まっていると感じています。それに、満員電車に乗らなくてもいいですし、睡眠時間もきちんと確保できますし(笑)
ただ、フリーランスとして何をやるかはまだこれからですね。もっといい働き方があるかもしれませんから。

 

編集後記

何の記事だったか忘れてしまったが。
「ワークライフバランスという、ワークとライフをオルタナティブと捉える考え方はナンセンスだ」という趣旨の記事を最近目にした。
そして私は、黒田氏の話も同じような解釈をした。「人生=生活の中に仕事があるのであって、その仕事をどうしていくか=どういう働き方をするかを突き詰めるのが幸せ探しだ」という風に。

仕事と生活(プライベート?)をきっちり区切ることを望む人もいると思うし、そうでなければならない職業もあると思う。
ただ、ワークとライフが融合する生活も悪くない。少なくとも今の私はそう実感している。

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