こんにちは。司法書士の田中あゆ美です。
今回は会計参与について見ておきましょう。
会計参与とは
会計参与とは、取締役と共同して計算書類等を作成する会社の機関のことです。
会計参与には、公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人のみが就任できます。
そして、株式会社又はその子会社の取締役、監査役、もしくは執行役又は支配人その他の使用人は会計参与になることができません。
会計参与の設置は基本的に任意ですが、監査役を置かない非公開会社の取締役設置会社は、必ず設置する必要があると定められています(機関設計記事2の表、5にあたります)。
会計監査人と会計参与の違い
それでは、会計監査人と会計参与はどのように異なるのでしょうか。会計監査人は、会社の機関の位置付けとしては、会社の外部から計算書類をチェックするということになっていますが、会計参与は内部の機関として、取締役と共同して計算書類を作成するということになっています。従って、会計参与には株主総会で計算書類についての説明義務などがあります。会計参与は、主に中小企業がその計算書類(財務諸表)の外部に対する信頼性を増大させることを目的に設置することが多いようです。
ベンチャー企業における機関設計
さて、それではベンチャー企業においてはどのような機関設計にするのが良いのでしょうか。
「全ての株式会社は、株主総会及び取締役を置かなければならない」という基本的なルールさえ守っていれば、取締役を何名にしても良いですし、自分のニーズに合わせて決めれば良いでしょう。
一般的には自分一人、多くても三人ほどで会社を始めるという場合が多い為、取締役の人数を増やすだけで構わないという場合がほとんどだと思います(その際に創業株主間契約を締結したりする場合もありますが、それはまた別の記事でご紹介したいと思います)。
その場合、取締役が株主である場合がほとんどです。
もしエンジェル投資家からの出資を受けたりする機会があっても、譲渡制限付株式や無議決権株式にしてしまって、経営について心配事を排除することができます。そして、計算書類の正確性と信頼確保のためには、創業から遠くないうちに監査役を設置することも検討して良いでしょう。この時、監査役の代わりに会計参与を設置することも検討して良い思われますが、先に述べたように、会計参与は会社の内部機関であるため、人材を確保することが監査役に比して必ずしも容易ではありません。
次回は上場を見据えた時期の機関設計のお話です。