「新商品を完成させたのだけれど、どのようにしたら真似されないで済むのだろうか」
「新デザインが完成したので、デザインを保護したい。また、真似されたくないので商品化するまで誰にも見せたくないな…。」
など、商品やデザインの保護についての悩みはよくある話です。
そこで、今回は商品やデザインの保護に関する基本的な事項についてお話したいと思います。
知的財産権って何?
特許庁によると、知的財産権は「知的創造活動によって生み出されたものを、創作した人の『財産』として保護するための制度」と定義されています。
『財産』ですから、基本的には所有者が独占排他的に使用できるということになります。つまり、技術やデザイン等を独占する権利と真似する他社を排除する権利を法律上持てることになるという意味で、たいへん強い効力を持っていると言い換えることができます。
知的財産権には、特許権、実用新案権、意匠権、商標権などがありますが、今回は身近な実用新案権と便利な活用ができる意匠権について説明します。
実用新案権を検討しよう!
実用新案権は、「発明家への登竜門」とも言われており、比較的登録が容易な権利です。
「物品」に限定されますが、書類が整っているかどうかという形式審査のみで登録が可能となっており、出願から10年間有効となります。イメージとしては、「より便利になる工夫」があれば登録される権利です。
また、実用新案登録出願後、3年以内なら特許出願に変更可能ですので、特許の厳しい登録要件に該当するかどうかは分からないが、まずは権利として押さえたい場合などに活用したら良いかと思います。
注意点としては、登録要件*を審理する実体審査を行っていない状態で登録されているため、特許庁が作成した「実用新案技術評価書」が実用新案権の行使時には必要になることです。この書面が実質的な実体審査となります。
*登録要件:新規性、進歩性、先願であること等、登録するための条件
意匠権を活用しよう!
意匠権で保護されるデザインで代表的なものは、自動車や衣服のデザインです。意匠権を設定登録されたデザインは、意匠権者によって独占的に生産する権利が与えられます。
意匠権の最大の特徴は、意匠登録されたデザインに「類似」したデザインまでをも意匠侵害として排除する権利が認められるということです。
さらに、秘密意匠という制度もあります。これは、出願人の希望により、意匠登録になった後も3年以内の期間について登録された意匠の内容を公開せずに秘密の状態を保つことができるというものです。
この制度を利用すれば、意匠権者は、登録を受けた意匠に関する新製品を発表又は発売するまで意匠を秘密にしておくことが可能です。
まとめ
会社の重要な財産である知的創造活動の成果の保護については、経営の重要事項です。
また、商品発売後に知的財産権として登録するのは、新規性の観点から大変難しくなりますから、商品開発などの際には、前もって知的財産権の活用を視野に入れておくことが必要です。