【起業インタビュー 第3回】ユーザーファーストでもっとWAKUWAKUを。業界No.1メディアのさらなる挑戦。|起業サプリジャーナル

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【起業インタビュー 第3回】ユーザーファーストでもっとWAKUWAKUを。業界No.1メディアのさらなる挑戦。

公開日:2016.12.09

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「お邪魔します。本日はよろしくお願いします」
玄関先での挨拶から顔を上げた私の目の前に、その社長さんの姿はあった。

これまでに私が仕事上でお会いした誰よりもパシッと決めた正装。
私の内に微かな緊張が走った。

 

亀川 弘晃(かめかわ ひろあき)氏


株式会社WAKUWAKU代表取締役社長。前職はディップ株式会社で、バイト情報サイトの営業職として新卒入社。派遣サイト「はたらこねっと」「バイトル」の企画・編集・調査・プロモーション業務の他、新規事業等も経験。「考える」「作る」から「売る」まで、ポータルサイト事業に関わる様々なプロセスを学び、2013年5月に独立。

 

人生は1度きり

―起業のきっかけを聞かせていただけますか?

亀川氏
人生って1度きりじゃないですか?それを目一杯楽しみたい、楽しいことじゃないと続かない、と思っていました。

そしてちょうど30才を過ぎた頃、教習所検索サイト 「教習所サーチ」をオープンしました。プライベートでは、1人目の子供が生まれた直後でした。

一般的に、35才を越えると転職は厳しいと言われています。
周りからは「子供も生まれたばかりなのに冒険するなぁ」と言われました。でも今なら年齢的にも、失敗してもリカバリーできる。子供もお金がかかり始めるまでもう少し時間がある。
逆に言うとリスクを賭けられるのはこのタイミングしかないと思い、後悔したくなかったので踏み切りました。

 

No.1戦略の策定

―教習所という目の付け所がおもしろいですね。どうしてそこに着目されたのですか?

亀川氏
起業をして、最初の事業を選ぶときに決めていたポイントは2つでした。

1つ目は「若年層をネットでマッチングさせる」という、前職での経験を発揮できる市場を選ぶということ。
2つ目は、起業するにあたって、最初は「誰からもお金を借りない、誰の出資も受けない」と決めていましたので、その中で、自分たちの資本力で1番になれるサイズの市場を選ぼう、ということです。

同じ売上でも、大きな市場の10番手ではその市場を変えられませんが、小さな市場であっても1番になれば、その市場を大きく変えることができます。
せっかく起業するので誰かの生活を変えられる仕事がしたいと思い、1番になれる市場にはこだわりがありました。

 

ご存知のように、教習所の利用者については若者の比率が極めて高いです。そして、若者の主な情報取集手段はスマホです。にもかかわらず、自動車教習所では、その宣伝を、昔ながらの駅看板などの交通広告や紙媒体に依存しているケースが少なくありませんでした。
うちはネット集客に力を入れている、という教習所の担当者にもお会いしましたが、広告の効果測定さえできていない教習所がほとんどでした。

また、この市場は規模もそこまで大きくなく、18才人口の減少などでどちらかというとシュリンクする市場です。現状の競合企業や、直近の競合企業の参入の可能性などを考えると、「自分たちが戦える、負けない市場はここだ」という結論に達したのです。

 

業界No.1メディアへ

―横断的に教習所を検索できる「教習所サーチ」、反響は大きかったでしょうね。

亀川氏
教習所からの反響、という観点で言うと、売上を高めようという積極的な姿勢のある教習所には「教習所サーチ」は刺さりました。ただ、「サイトで比較されたりすると価格競争が起こって迷惑だ」、「隣の教習所にお客を取られてしまう」とおっしゃる教習所も少なくなかったです。

しかし、我々の考え方の前提として、ユーザーファーストでいたいという想いがあり、とにかく教習生に支持されるメディアを作ることができれば成功できると信じていました。ユーザーがどこよりも集まるサイトを作ることができれば、最終的には教習所の支持も得られるし、利用してもらうことができると信念を持っていたのです。

3年かかりましたが、現在日本で最も多く教習所が掲載されているNo.1メディアに成長することができました。

 

―業界が特殊だった、ということですね?

亀川氏
お客さまは「うちの業界は特殊だ」とおっしゃいますね。
でも、特殊な業界なんてないと私は思っています。教習所にしても、ユーザーは普通の大学生や高校生じゃないですか。

変化を恐れて、自分達の業界は特殊だと考えることは簡単ですが、提供側(教習所)の都合ではなく、利用者(教習生)目線でより良いサービスを提供すべきなのはどこの業界も同じだと思います。

教習生目線でいうと、気持ちよく教習を受けられて、リーズナブルに免許が取れるのが一番良いに決まっています。教習所検索サイトの運営を通じて、そういう風に業界の考え方を変えていきたいと思っています。

―なるほど、確かに言われてみればそうですね。

 

「この3人」がよかった

株式会社WAKUWAKU経営陣の3ショット。左から中平雅也氏、亀川氏、久我崇氏。

 

―事業が成長していった過程をお聞かせいただけますか?

亀川氏
「教習所サーチ」をオープンした時は、まだ会社形態ではなく、私は個人事業主でした。
正直、会社を設立するのはもっと後になると思っていたのですが、予想以上に早く売り上げが立ち、起業して4ヶ月後には法人化(株式会社)することにしました。

そして、一緒に組んで事業をやることを決めていた2人(中平雅也氏、久我崇氏)を事業の拡大に応じて順に呼び寄せ、今に至ります。
現在は私たち3名以外に4名の社員を抱え、総勢7名で仕事をしています。

 

―中平さん、久我さんとはどういうご関係だったのですか?

亀川氏
中平は、前職での同期で入社時からの付き合いです。出会った時から彼は、「オレいつか起業したるねん」と言ってました。入社直後に、ですよ?(笑)

エンジニアの久我さんは、中平の中学校時代からの友人です。私と中平とで起業しようとしていた頃、サイト制作に強い人材を探していて、中平が久我さんを紹介してくれました。

初めは久我さんに外注する形で仕事を依頼するつもりだったのですが、「カネなんかええよ。おもしろそうやから仲間に入れてや」と久我さんが言ってくれて、じゃあ中に入ってもらって一緒にやろうか、という話になったのです。

そんなノリで合流した久我さんでしたが、別途フルタイムで働きつつ、土日と夜中の時間だけの3ヶ月ぐらいで、一人でポータルサイトを作り上げるモンスターエンジニアでした。今思うと奇跡的な出会いだったと思っています(笑)

 

―いいご縁がおありだったのですね。とはいえ、3人で会社を経営するというのはご苦労もあるかと思うのですが?

亀川氏
いえ、自分にとってはこの3人がよかったと思ってます。

私は感情の起伏が激しく落ち込むこともあるタイプなのですが、相方(中平)はけっこう重いピンチが来ても「ええやん。成長できるチャンスやん」と、あくまでもポジティブなんです。
メンバーが相談するときもいつもそんな感じなので、社内ではポジティブモンスターと言われています(笑)

一方、久我さんは先ほどご紹介した通り、私と中平にはないスキルを持ちつつ、人間的には3人の中で一番常識人で、いろいろと先回りして助けてくれます。
この3人だからこそ、今のWAKUWAKUがあるのだと確信しています。

 

「それええやん」と言いたい

―これからの目標、ビジョンなどを伺えますか?

亀川氏
社員数を何人にする、どんな規模の会社にする、といったような目標にあまり意味を感じていません。手段それ自体を目的にはしたくありませんから。

それよりも私が経営者として何よりも大事にしたいと思っているのは、「お客様第一主義」の信条とかではなく、中で働く人です。社員がモチベーション高く仕事できることが結果的にお客様への貢献につながると考えているからです。

その一環として、自由に意見交換ができる会社でありたい、ということを大切にしています。
現状、経営陣3人と従業員4人とで立場は分かれてはいますが、フラットに意見交換をし、自由に提案をしてほしいです。誰が言ったかではなく、何を言ったかを大切にして、誰かが出す企画に「それええやん。おもろそうやん」と言いたいですね(笑)

株式会社WAKUWAKUの皆さん勢揃い。和気あいあいとした雰囲気でした。

 

こだわるべき、信じるべきもの

―では最後に、これから起業される方へアドバイスをいただけますか?

亀川氏
まず、起業そのものは、誰にでもできると思っています。向いてる、向いてないとかはない、というのが私の感覚です。

重要なのは、立ち上げの形にこだわることです。
先ほども申し上げたように、私にとっては「この3人」で始めるのがベストでした。しかし、何がベストかは人によって違います。
「自分はどういうタイプなのか」「パートナーとして誰を選ぶのか」「1人がいいのか、2人、3人がいいのか」は徹底的に考え抜くべきです。そこを間違えるとすぐに頓挫してしまうでしょう。

そして、誰がどう言おうとも、自分の直感を信じることが大事です。自分にしっくりこないことは、たとえ先人が言っていても、本に書いてあったとしても、やるべきではありません。

 

―本日のお話は、私も仕事をする上でいろいろと参考にさせていただきます。お忙しいところありがとうございました。

 

編集部後記

特殊な業界なんてない――今回最も印象的だった亀川氏の言葉だ。
先入観を持たず、無用な構えや壁を作らずに自然に対峙すること。フロンティアである起業家に大切な要素なのかもしれない。

お話に熱が入り始めた中盤から、亀川氏の言葉に関西のイントネーションが徐々に混じってきた。

方言や訛りでは、標準語では出ることのない話し手の人柄や感情が垣間見えることがある。
関西びいきの私としては、途中から急速に親近感が強まった、そんなインタビューだった。

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