少子化やDXによるデジタル教材の拡充など様々な要因が、追い風にも向かい風にもなる塾業界に設立以降一度も撤退校舎がなく、現在も継続して拡大を続ける個別指導塾がある。コロナを経て、変化をした時代、これからの塾に求められることとは一体何なのか?同社代表取締役社長でもある、起業家の豊川氏にお話を伺いました。
プロフィール(株式会社創英コーポレーション 代表取締役社長 豊川忠紀氏)
茅ケ崎市に生まれ高校卒業以降にアルバイトも含めて、約50種もの職業経験を経て「仲間たちと高い目標に挑む」という方向性を見つけ、創英ゼミナールを立ち上げた。その後、1999年神奈川県平塚市に株式会社創英コーポレーションを設立し今年で24年目を迎える。現在では横浜市の横浜ランドマークタワー42階に本社を置き、東京・神奈川を中心に130校を運営する。他にも合格実績日本一の「東進衛星予備校」のFC校舎を神奈川県内に25校舎、FC本部として「個別学習セルモ」を全国に110教室展開しており、更にオールイングリッシュ幼稚舎「Nobile Kids」、43ヵ国語に対応できる「ワールド外語学院」、学童保育や企業主導型保育、最近では、台湾での日本語教室やオーストラリアでの留学事業なども展開している。
株式会社創英コーポレーションについて
ー 事業内容について、教えて下さい。
創英コーポレーションでは、小学生〜高校生までの個別指導塾「創英ゼミナール」をはじめ、幼児から大人まで幅広い教育サービスや福祉関連事業を展開しています。
【学習塾事業部】
・東京・神奈川を中心とした個別指導学習塾「創英ゼミナール」の運営【語学事業部】
・オールイングリッシュ幼稚舎「Nobile Kids」の運営
・43ヵ国語に対応できる「ワールド外語学院」(全年齢対象)の運営【グループ法人】
・「東進衛星予備校」のFC展開
・「個別学習セルモ」(ICTを利用した学習塾)のFC運営
・「創英日語教室」(台湾での日本語教室)
ー 今回は、個別指導塾「創英ゼミナール」について伺っていきたいのですが、どういった塾になっているのでしょうか。
創英ゼミナールは東京・神奈川エリアを中心に現在130の直営教室を運営しており、約1万人の生徒さんに通って頂いている個別指導塾です。1999年の創業から、今年で24年目を迎えます。
ー 学習塾としての特徴や強みについても教えてください。
世の中、一般的な塾では受験をゴールとした勉強・対策の塾がほとんどかと思いますが、私たちは「脱・ONLY受験」を指導コンセプトとしています。これは受験を応援しないのではなく、【受験のためだけの勉強をやめよう】という意図でのコンセプトです。
ー 「受験のためだけの勉強をやめよう」とは、おもしろいコンセプトですね!
ほとんどの生徒は「なぜ勉強しているのか?」「何のために勉強するか?」という問いに答えることが出来ません。これは生徒の親御さんに同じ質問をしても同様だと思います。はたまた、私たちの様な教育現場にいる方でも、それを明確に答えられない人は多いのではないでしょうか。 そんな中、現状では「受験勉強のため」という理由が多いと思います。これは振り切った見方をすれば、それは受験という仕組みによって、ただ勉強をさせられ、本来の目的を見失ったある意味”被害者”ではないか?と私は思います。実際に、今この仕事をしている私自身も、子どもの時にはその意味を理解出来てはいませんでした。 そういった状況下で「何を子どもたちの中に培わせることができるのか?」を、我々は塾という立場を通して、子どもに伝え・向き合っていきたいと思っています。
ー なるほど。それを運営上のカリキュラムでは、どう取り入れているのでしょうか?
正直勉強上のカリキュラムという点では、他の塾と大差はありません。ただ、私たちが大事にしているマインドやコンセプトの部分は、生徒とのコミュニケーションにおける様々な場面で、それに気づきを与えるように心がけています。例えば生徒との面談では、テストの点数を上げていくだけの会話ではなく、やってみた取り組みに対して自身の感想や、これからどうしていきたいか?という意志の傾聴であったり、結果のみではなく過程にも重きをおいた対話を心がけています。勿論、テストの点数を上げることや受験に向けたことを進めていくのは、塾としての成果が問われる部分ですので、その取り組みはしっかりと行います。ただ根本的に違うのは、我々はそれを手段として捉え、本当の目的は、先ほどもお伝えしたように子どもたちに向けた方針だということです。
時代と共に変化をしていく”塾”の在り方について
ー 会話の中で本人に話をさせるとか、気づきを与えるといった意味で塾の先生というか、少しコーチングにも近い内容だなと感じました。
仰る通り。創英ゼミナールの先生たちも教えることや子どもが好きな先生が多いので、本来答えを教えたがるところですが、答えを出す過程やその思考が生み出される「もがき」にこそ、子どもの成長があると思っていて、私たちはそれを生徒との会話の中で作ってあげられるようにコミュニケーションのあり方を大事にしています。
ー なるほど!動画やオンライン教材などの学習コンテンツが多様化している現在において、塾の役割がどう変化をしてきていると感じますか?
これまで塾のメインの役割であった、「ティーチング」の領域はICTを始めとする様々なコンテンツに置き換わってきており、今は「コーチング」の領域がより大きく求められています。生徒一人ひとりのモチベーションアップや、学習管理がこれからの塾の役割になってきています。
ただ、それも学習する主体者の自立度合いによっては、それぞれに最適解が異なるのも事実です。例えば、小学生であればまだティーチングに比重を置いた指導が実際に必要ですが、高校生くらいになると学習管理やコーチングに比重を置いた指導が求められるといったことです。
ー なるほど、それも理解できます。
上手に教えられることや、楽しい授業をすることに対する、旧来の塾講師に求められていた要素の優先順位は下がってきています。これからの塾や講師には、正しく学習のガイドができる・進路のコーディネートができる・生徒一人ひとりの日々のモチベーションコントロールができる、といったマネジメント・コーチングスキルこそ、最も求められていることです。それは世間一般的な職業に例えれば、コーチやプロジェクトマネージャーのような仕事とかなり近しい領域です。
ー 塾にそんな変化が起きているんですね!その視点はかなり面白いですね。業界や職種に対しても、仕事としての汎用性の高さや興味が出てくる内容です。
高校卒業時点の夢は、ダンプカー運転手。豊川氏の起業ストーリー
ー 起業することの意識についてはいつ頃からお持ちだったのでしょうか?
当初から起業を意識していた訳でもなく、高校を卒業したらダンプカーの運転手になろうと思っていました。ただ、それ自体は自分の狭い世界の中で選べた、一つの選択肢にしか過ぎず、その時カッコいいと思っていた先輩の職業でした(笑)。そこから自分も社会との接点を持つようになり、色んな人と出会うことで、ダンプカーの運転免許が取得できる頃には、自分の思考や世界も広がっており、その時には「起業」という新しい選択肢が出来ていたという経緯ですね。
ー そうだったんですね!そこから「創英ゼミナール」はどの様にして生まれたのでしょうか?
実は何度目かに立ち上げた事業で、フランチャイズとしての塾経営をやったことがキッカケになります。その中で得た経験を元に、FCではなく自分たちの力でゼロから作っていけると感じ、実際に始めたのが現在の「創英ゼミナール」になります。
今後について
ー 中長期的な展開についてお教え下さい
会社経営として必要な、売上を伸ばしていくことや、それに伴って、会社を大きくしていくことは必須として、それ以外の部分では、社員のチャレンジや成長を支援していく・活躍してく場を作っていきたいという想いがあります。その為には、新規事業にも積極的に取り組んでいきたいとも考えており、実際に創英ゼミナール以外にも9つの事業部が存在しますが、立場上、私が代表取締役をしていても、ほとんど経営に関与していない事業もあります。今後は、そういった創英コーポレーションに関わる人たちのチャレンジを支援していくフィールド作りも積極的に取り組んでいきたいですね。
ー 最後に記事内でお伝えしたいPR事項があればお教えください。
おかげさまで創英コーポレーションは昨年対比において平均約130%の推移で成長しています。成長することに貪欲にやってきた姿勢がこれまでの結果として出ていますが、これまで多少無理な背伸びはしても無茶はしていません(笑)。事実、24年間で一度も教室を閉鎖してきませんでしたし、これからもそうしていきたいと思っています。もし、このインタビューで少しでも会社に興味を持ってくれたり、私たちと一緒に力を合わせてチャレンジすることに興味ある人がいれば、是非一緒に働きましょう!ご応募を待っています。
ー 学習塾のイメージを変える、とても興味深い職場です!これからの御社の展開も楽しみです。本日はありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございます。