2022年1月の訪日外客数はコロナ前の55%まで回復を遂げ、今後益々盛り上がりを見せるインバウンド需要。中でも近圏に位置する東南アジア諸国からの来日は、インバウンドに期待をする業界にとっては見逃せないエリアにもなっている。ただ、「これまでの国内企業の施策は、具体的にどこの国からの観光客を呼ぶか?の解像度が低く、インフルエンサーを活用した施策がうまくいっていないケースも多々ある」と今回取材をした嶋氏は語る。現地でインフルエンサーを起用し、東南アジアと国内企業のインバウンド集客を支援するBiz Asia(ビズアジア)にお話を伺いました。
プロフィール(Biz Asia Co.,Ltd.(ビズアジア) 代表 嶋航氏)
1978年生まれ。愛知県出身。タイ在住。
2006年、 (株)東京コンサルティングファーム入社。 クライアントの会計・税務コンサルティングに従事
2011年 同法人ベトナム法人立上げ。 支店長として、ベトナムに進出する日系企業の進出コンサルティグ、会計税務・法務サポートに従事
2014年、(株)ネオキャリアに入社。フィリピン・ベトナム法人を立ち上げ、フィリピン・ベトナム・ タイの現地法人代表を歴任。各国でクライアントの人材採用の支援及び子会社経営に従事。最大、3カ国(5法人)・7拠点の経営、200名の従業員をマネジメント
2021年、アジアンブリッジ(株)に執行役員として参画。ASEAN責任者兼タイ法人代表として、クライアントの越境EC支援およびインフルエンサーマーケティングに従事
2022年、Biz Asia Co.,Ltd.をタイで創業。タイでアジアンブリッジタイ法人とBiz Asiaの2法人を経営
Biz Asia Co.,Ltd.について
ー 事業内容について、教えて下さい。
Biz Asia Co.,Ltd.(以下、ビズアジア)は、東南アジア・台湾からの訪日インバウンド集客支援に特化した会社となります。主な集客支援のサービスとしては、
・インフルエンサーマーケティング
・SNSマーケティング
・現地ウェブ施策
の3つを通じて、国内企業のインバウンド集客に関するサポートをさせて頂きます。
ー 街中や観光地でも海外からの観光客を見かけるシーンは徐々に復活している様に感じていますが、実際のところ戻ってきてはいるのでしょうか?
コロナ前の2019年と比較したデータでは、実際に56%まで戻ってきています。更に、まだ規制の厳しい中国を除くとその数字は76%まで上がり、コロナ前の水準に戻るのも時間の問題だと感じています。
ー そうなんですね!実際、御社が集客支援をする顧客は、どういった業界や会社になるのでしょう。
イメージしやすいところでいうと、遊園地やアウトレットモール、スキー場といったレジャー施設やホテル、観光客を増やしたい地方自治体まで様々です。人が訪れることで消費や賑わいを生みたいと思われている企業様であれば、インバウンド集客の側面から様々な支援が出来ます。
ー 改めて、訪日インバウンド集客における御社の強みについても教えて下さい。
はい、大きくは3つございます。
1.現地のトップインフルエンサーをアサイン
弊社ではフォロワー数が100万人を超えるトップインフルエンサーと直接コンタクトが取れる体制を取っており、現地で発信力の高い方を起用した施策の提案が可能です。
2.YouTubeを主軸とした情報発信
情報発信の媒体では、YouTubeを主軸としております。動画媒体にすることで、より多くの情報を届け、そこからFacebookやInstagramで拡散させるという手法を取っております。
3.代理店を介さない直接契約
タイ在住の私をはじめ各国にメンバーがおり、インフルエンサーとの直接契約を結んでいます。これにより、コミュニケーションコストの大幅な削減や、品質管理の担保を可能にしています。また代理店を介さないことで中間マージンも削減できます。
ー それらの特徴を実現できているのは、どうしてなのでしょうか?
2つあって、1つはインフルエンサーマーケティングのビジネスと、元々私が長く在籍していた人材業界のビジネスとの親和性が非常に高く、ノウハウが転用しやすい点にあります。企業が求めるニーズに対して、適切なインフルエンサーをアサインする流れは、人材のスキルマッチングと非常に近しく、そこで培ったノウハウがそのまま活用されています。そして2つ目は、東南アジア諸国で活動しているメンバーは、私の元部下なので意思疎通の取れたメンバーが各国に在籍して、現地の情報をタイムリーに抑えている為、トレンドから外れないインフルエンサーのマッチングが可能になっています。
訪日インバウンドは、その国の解像度を上げてターゲティングしないと失敗する。
ー 近年、東南アジアを中心とした国から日本にくる方々は、どの様にして情報を集めているのでしょうか。現状のトレンドなどあれば、教えて下さい。
基本的には、SNSをメインにした情報が主流となっており、特に情報源として活用されているのはYouTubeです。また、それ以外には既にそこに行っている他者からのレビューもとても重要となっており、Googleの口コミやTripAdvisorなどのレビュー・評価も来日の際にチェックされる傾向にあります。
ー なるほど。国内企業のインバウンド集客における課題感などもあれば教えて下さい。
各社から「アジアからお客さんを呼びたい」というオーダーはあれど、その解像度が低いが故に、結果としてあまり上手くいかなかったというケースが存在します。東南アジアといえど、実際に英語を主言語としている国は少なく、英語でSNS動画をつくって展開する、といった安易な施策では上手くいきません。各国の状況を把握して、その国とそこに住む人々の解像度を上げて、ターゲティングしないと、これからの訪日インフルエンサーマーケは失敗するでしょう。現時点では、事業者側にその理解がなく、情報がきちんと届けられていない状況がまだまだ存在します。
高まる訪日インバウンドの需要と、東南アジアで起きるインフルエンサーマーケティングの流れ。“良い市場”との巡り合わせをきっかけに起業
ー 起業することの意識についてはいつ頃からお持ちだったのでしょうか?
前職にあたる(株)ネオキャリアに在籍していた時からです。フィリピン・ベトナム法人の立ち上げを行う中で、会社経営と近しい仕事をそのまま行っていたので「もう自分一人でも起業出来るのでは?」と感じたことがキッカケでした。
ー そこから起業された経緯についても教えて下さい。
これまで雇われ社長として、計3カ国での現地子会社を経営する経験を通じた、起業前のいい準備が出来たことに加え、私自身今年で45歳になるのですが、60歳まで現役でバリバリ働くとしたら残り15年なので、今が起業をする最後のチャンスだと思いました。それに加え、確実に伸びる訪日インバウンドの需要と、東南アジアでも起きるインフルエンサーマーケティングの流れの良い市場との巡り合わせもあり、全てが整った今、この領域で起業をする決心をしました。
ー 事業ドメインを想いついた経緯についても教えて下さい。
ネオキャリア退職後にタイで越境ECの会社に在籍していました。そこで経験したインフルエンサーマーケティングの業務と、その業務内容が人材紹介ビジネスと非常に親和性の高い仕事だと感じ、コロナ以降のインバウンド需要も見込した、この領域に事業ドメインを定めました。
今後について
ー 中長期的な展開についてお教え下さい。
現在タイに法人を置いていますが、ある程度の規模まで成長したタイミングで日本にも支社を置きたいと考えています。インバウンドにおける外国人観光客の集客は、地方自治体で非常にニーズが高まってくる話かと思いますが、そういった案件にも我々が対応出来る様な体制を整えていきます。また長期的には、人材紹介 × インフルエンサーといった元々私が得意とする領域と、ビズアジアで培った領域を組み合わせた新しいビジネスの展開も考えています。
ー いいですね!最後に、記事内でお伝えしたい事項もあればお願いします。
復活しつつある訪日需要で集客にお困りの企業様がいれば、是非お気軽に弊社にお問い合わせください。
ー これからの御社の展開も楽しみです!本日はありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございます。