オンラインクリニック黎明期をリードする、医療相談・診療の総合プラットフォーム「おうち病院」株式会社アナムネ 菅原康之【起業インタビュー201回目】|起業サプリジャーナル

  1. 起業サプリジャーナル TOP
  2. オンラインクリニック黎明期をリードする、医療相談・診療の総合プラットフォーム「おうち病院」株式会社アナムネ 菅原康之【起業インタビュー201回目】

オンラインクリニック黎明期をリードする、医療相談・診療の総合プラットフォーム「おうち病院」株式会社アナムネ 菅原康之【起業インタビュー201回目】

公開日:2022.10.24

̃Gg[͂ĂȃubN}[Nɒlj

高齢化社会に伴う医療費増加や現場の医師不足など、医療を受ける側・提供する側、それぞれが深刻な未来を抱えている医療現場。加えて、進まぬ医師の働き方が拍車をかけ、女性医師の多くは30代をピークに現場を離れざるを得ない状況にあると今回取材をした起業家 菅原氏は話してくれた。医療を受ける側・提供する側、それぞれの課題をオンライン医療にて解決するプラットフォーム「おうち病院」。未来の新しい病院の在り方を提示するサービスと同氏の起業ストーリーについてお話を伺いました。

 

 プロフィール(株式会社アナムネ 代表取締役 菅原康之氏)

1979年北海道生まれ。2010年8月、大手インターネットマーケティング会社にて、社内新規事業の仕組み作りおよび自身もビジネスオーナーとして社内新規事業の立ち上げ・運営から売却までを経験。2013年1月よりコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)事業を担当し、投資先の取締役・オブザーバーとして担当企業の事業開発、マーケティング、資金調達を支援。2015年3月、ベンチャーキャピタル子会社の設立より参画。パートナーに就任。2014年9月、株式会社アナムネを創業。慶應義塾経営大学院経営管理研究科卒業(MBA)

 

 株式会社アナムネについて

ー 事業内容について、教えて下さい。

弊社を一言でご説明すると、オンライン病院事業の開発・運営をメインに、リアルなクリニック・病院のオンライン化をやっている会社です。自宅にいながら医師とつながり、相談も診療も健康管理もできる「おうち病院」の開発・運営と併せて、疾患別オンライン患者会プラットフォーム「clila(クリラ)」などの医療・ヘルスケア領域のサービスも開発・運営しています。

 

ー 今回は「おうち病院」について詳しく伺って行けたらと思っているのですが、どんなサービスなのでしょうか?

おうち病院では、24時間365日女性医師が対応するチャット型のオンライン医療相談〜大手薬局と連携したオンライン診療、健康管理サービスを提供しています。約3年前のコロナ禍を受けた特例措置から、提携クリニック・提携医師・提携薬局と一緒にオンライン診療のサービスを提供していまして、これらがシームレスに繋がっている形になっているのが我々のサービスの特徴です。ですので、患者さんが(なんとなく調子が悪いなぁ)という状態から→症状の発症→回復期の不安まで、をサポートするオンライン病院が我々がやっていることです。

 

また、私たちは【常に医師とつながり、病気にならないような人生を送る世界】を本気でつくりたいと思っているのですが、このビジョンをさらに実現するためのスタートラインが、実は今年度末に出来上がります。現在、健康管理のサービスも開発しており、今後は運動・睡眠のデータが常にアプリ上に蓄積されていて、そこからいろいろな健康をサポートする通知が飛び、いざというときは医師に繋がり相談・診療ができる様なサービスに拡張します。これによりワンストップで見守りができ、いざとなった時には医療としてのケアが受けられるというサービスに、今後はなっていきます。

 

ー 現在どれくらいの医師が、おうち病院に登録してくれているのでしょうか?

現在は112名ほどの医師が登録をしてくれており、医師の数だけでいえば札幌市立病院と同等な規模になっています。また診療範囲も、一般内科、婦人科、産婦人科、乳腺外科、皮膚科、小児科、精神科、と一通りの診療が揃っているので、規模感としても地方都市の中核総合病院に近しいぐらいの規模感まで成長しています。

 

ー 想像以上に大きい規模です!提携医師の方というのは、副業やフリーランス的な方なのでしょうか?

どちらもいます。特徴的な点としては、契約している医師の約8割が海外在住の方になっていることと、【女性医師に特化した組織】を作っており、現在登録医師の全員が女性となっています。また、通常、病院にはそれぞれの診療科ごとに医局というものが存在し、医局が業務管理や新しい知識の収集、それからキャリア形成みたいなのをサポートしていますが、それのオンライン版を「おうち病院」でも作っていて、業務の推進やキャリアの相談・エリアごとの医師の交流等ができるようになっております。加えて、定例の全体医師ミーティングや医局の運営をよりよくしていくための医局運営委員会ミーティングというのをしながら、先生との関係性を強化しています。まさにサービス共々にやっていることは、病院のオンライン化という訳です。

 

ー なるほど!

 

 本質的に「オンライン診療を受けたい」というニーズはない!?オンラインクリニックの現状・黎明期を語る。

ー オンラインクリニックの現状もお聞きしたいんですが、オンライン診療自体、普及しているんでしょうか?

普及はしつつあると思うんですが、まだまだ黎明期です。知っている割合は結構高まってると思うんですが、そこから(実際に)利用をしたことがあるか?と聞いたら、おそらくその内の数%じゃないかと思います。

 

ー 確かに。言葉としては知ってますが、使ったことがあるかと言えば、今もまだリアルな病院に行ってますね・・

実際、これはリリースしてから分かったことですが、医療相談はそもそも女性以外使ってくれなかったんですよ。私は、男性にもこういうニーズがあるよねって想定してリリースをしたのですが、ローンチした時から、利用者は9割以上女性で、現在も変わらずです。なので、実は女性にしかニーズがないんじゃないかって逆に思ってるぐらいです(笑)男性があんまり使わないところがそれを物語っているんですが、男性はあまり体調悪くならないですよねっていう話と、男性は忙しくないですよね、暇ですよねって。半分冗談で、半分本気です(笑)

 

ー 一同:(笑)

でも実際に女性の方が忙しくて、時間が自由にならないです。イメージしていただくと分かりやすいのが、子育て中の女性。子供の機嫌をとって着替えさせて、時間通りに病院にいくっていうのがものすごく大変。でも、オンライン診療であれば、自宅でそのタイミングだけあやしながら受診をするっていうのができますので、今までできなかった自分の診療行為ができるようになるみたいなイメージですね。

 

ー いや、でも納得です。(男性は)時間に融通が効くからこそ、結局病院に直接行けちゃうっていうのが現状ってことですよね。

後は、そもそも身体が丈夫なんですよ。女性は、女性ホルモンに影響を受けている度合いが大きく、日々色々な身体的・メンタル的影響を受けます。体調の変化が男性に比べ起きやすい状況にある中で、男性は年に数回行くか、行かない場所を、わざわざオンラインにする意味を現状感じにくい状況にあると考えています。

 

ー 診療のオンライン化が広がっていかない原因は、黎明期だからでしょうか?

大きくは黎明期だっていうのがありますが、それ以外にも提供者側の医師・クリニックの問題と、利用者側ユーザーの問題と大きく理由があるなと思っています。まず提供者側の医師目線でいうと、オンライン診療ってめんどくさいし儲からないんですよね。医療ビジネスってみなさんが思っている以上に儲からなくて、1時間に初診の患者さんを何人回せるかで売上が決まってきます。診療報酬というもので、売り上げのキャップが決められていまして、結局のところ数をこなさないといけない。一方、利用者側の目線でいえば、本質的には誰も「オンライン診療を受けたい」というニーズはないんですよ。たまたま自分の抱えている医療的課題を解決するのに、オンライン診療が合っているから、オンライン診療を利用するのであって、オンライン診療をやりたいと思う人は実際いないんですよ。これが僕らが3年間やってきての一つの結論で、それがあったので「オンライン緊急避妊外来」とか「オンライン花粉症外来」という、課題・症状に合わせた診療科の切り出しっていうのを進めている流れになっています。

 

ー (オンライン診療は)あくまで課題解決の手段としてニーズを生む、ということですね。これもまた深い考察です。

 

 38歳でクビになる。菅原さんの起業ストーリー

ー 起業することの意識は、いつ頃から持っていたのでしょう?

振り返ると、大学生のころからですね。これは何ですかね、、もう30年も前になるので、あまり覚えてないですね(笑)最初に思ったのは大学生のころでしたし、その後も起業のチャンスは3回ぐらいありましたけど、その時には踏み切れなくて、結果的に踏み切ったのは38歳だったっていう、ただそれだけでした。

 

38歳で、起業に踏み切った理由はなんだったのでしょう?

クビになったからですね。

 

ー (笑)その辺り深掘りして聞いてよければ、教えてください。

全然いいです。元々、株式会社オプトという会社(現:株式会社デジタルホールディングス)で新規事業開発の担当をやっていたんですが、その時に作った新規事業は会社の色々な流れの中で閉じざるを得なくて、某小売大手に事業譲渡したんですよ。その時に「菅原、失敗したもんな〜」みたいなこと言われたのが本当にシャクで。やっぱ自分でやらないとダメだなと思ったっていうのがあって。そこから、会社に勤めながら「おうち病院」の前身となる事業をスタートしています。オプトの中で、担当した事業も自分の身の回り、目に見える人の課題を解決したいなという想いがあって、アーティストのマーケットサイトを作りましたけど、自分で会社を作る時は、妻の課題をベースにして、これを解決する事業を作ろうと思ってスタートしました。そして、実際に作ったのは2014年。そこから、夜中や週末の時間を色々絞りだして事業立ち上げを進めていました。ただ、オプトの中では事業を譲渡した後にベンチャーキャピタル事業の立ち上げをしてたので、私自身はVCの活動をしていまして、同時並行で会社もやっていて、「投資家と起業家を同時にやるのはリスクだよね」と社長からずっと言われていました。最終的に「もう厳しい」と言われたのが2018年ですかね。そこで、わかりましたということで2018年12月に退職することになりました。なので、円満退社ではありますが、半分はそのままクビになった感じです(笑)

 

ー そんなことがあったんですね。キャピタリストとして、自ら事業をグロースする経験などはVCとしても箔が付きそうですが・・

政府も副業を推進するような現在だったら受け入れられるのかもしれないですが、この事業を始めたのが2014年なので、当時でいうと異端も異端だったのかもしれないです。最初は、経営会議に6ヶ月ぐらい「菅原問題」というのが取り上げられて、菅原の副業をどうする?みたいなのを議論されてたらしいんですけど、オプトベンチャーズというVC子会社を作った時に、当時の社長に副業を全面OKにするっていうルールに変えてもらったんです。それで、アナムネ(会社)の代表をやりながらキャピタリストをやるっていうスタイルを許容してもらったんですが。当時の社長は、おままごとみたいなもんだと思ってたと思うのですが、私自身は、本気だったので資金調達はしちゃうわ、毎月プレスリリースは出すわ、さすがにもう庇いきれんみたいな感じになってしまったのが実態です。

 

ー めちゃくちゃ面白い話です(笑)会社員時代から、すごく自由に動かれていたんですね。

僕の中では、「サラリーマン、もっとみんなやりたい放題やったほうがいいのに」って思っています。僕はやりたい放題やって、最後は「もう庇いきれん」って言われるところまでやり切ったので何も不満もないんですけど(笑)みんな、クビになるとか色んな不安を持って、全力でやり切れないんですよね、要はリスクを取らないですよね。起業家でやるよりも、サラリーマンの方がリスクを取れるのになって思いながら、僕は常にリスク取りまくってきました。

 

ー その辺りの考えも、是非詳しく聞きたいです。

実際、損害賠償請求をされるわけでもないじゃないですか。会社の看板を使えば、色んなところにアポが取れるし、経験も積めます。実際、事業に対しても、(これ自分の会社だったら絶対こんな大胆にはできないな)ってくらい広告費を注ぎ込んでみたり、様々な経験をしました。だって、使ってみた方が学習になるじゃないですか(笑)なので、サラリーマン時代にリスク取りまくった方がいいんじゃないかなって思ってるんですけど、世の中の大半の人はサラリーマン時代にリスクを取らなくてもったいないなって思います。

 

ー 今回のインタビューはこれまでのインタビューの中でも、かなりパンチラインの多い回になりそうです・・

もう好き勝手喋っているので、これは編集でうまくまとめてください(笑)

 

 今後について

ー 中長期的な展開についてお教え下さい。

今回「おうち病院」というサービス名に新たにリニューアルをしましたが、【オンライン医療といえばアナムネ】と第一想起される会社とサービスになっていきます。

 

もう少し掘り下げるとすると、我々は女性医師を一番抱えているオンライン病院になっていきたいとも思っていますし、色々なデータをつなぎ合わせて健康をサポートする病院、“新しい病院の解釈”を、これから作り上げられたらいいなと思います。

 

ー 最後に、記事内でお伝えしたいPR事項などもあれば教えて下さい。

現在、絶賛採用を強化中です!直近では、営業本部長を任せられる人材が欲しいと思っているのに加え、CSスーパーバイザー、あとはCOOも採用したいなと思います。「病気にならない世界」を僕らは本気で作れると思っているので、そこに興味のある方っていうのはぜひ経営メンバーとして一緒にやりたいなと思います。起業をやめてアナムネに入社する、なんて人が出たら最高にいいですね。

 

ー 本気のボードメンバークラスの採用ですね!とても魅力的なポジションばかりです。御社の今後の展開も楽しみです。引き続きメディアでも応援させてください、本日はありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございます!

 

̃Gg[͂ĂȃubN}[Nɒlj

人気の記事

最新記事

カテゴリー

タグ