若年層が持つファーストカードを狙う!次世代型クレジットカード「Nudge(ナッジ)」がつくる、未来の金融体験。ナッジ株式会社 沖田貴史【起業インタビュー185回目】|起業サプリジャーナル

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若年層が持つファーストカードを狙う!次世代型クレジットカード「Nudge(ナッジ)」がつくる、未来の金融体験。ナッジ株式会社 沖田貴史【起業インタビュー185回目】

公開日:2022.05.31

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今や世界消費の約40%を占めると言われるZ世代。単なる物欲を満たすだけの購買から、自らの消費にも社会的な意義や意味を見出していく、新しい世代の消費が市場のスタンダードに変化しつつある。一方で、それらを支える金融インフラについてはどうか?「色々なモノが劇的に変わっているのに、金融だけあまり変わっていない」と今回取材をした起業家 沖田氏は語る。彼がつくりたい「未来の金融体験」とは何なのか?その入口となる、次世代型クレジットカード「Nudge(ナッジ)」についてお話を伺いました。

 

 プロフィール(ナッジ株式会社 代表取締役社長 沖田貴史氏)

一橋大学商学部経営学科在学中に、米国CyberCash社の日本法人であるサイバーキャッシュ株式会社(後のベリトランス 、現DGフィナンシャルテクノロジー)の立ち上げに参加し2004年に株式上場。2015年まで代表取締役CEO。2012年デジタルガレージ傘下としてecontext ASIA社を共同創業し、翌2013年香港証券取引所に上場。 2016年に、SBI Ripple Asia株式会社代表取締役に就任し、ブロックチェーン技術の日本・アジアでの実用化に貢献。その間、米国Ripple社、インドネシアtokopedia社などのユニコーン企業の役員も歴任。 主な公職に、金融審議会専門委員、SBI大学院大学経営管理研究科教授、一般社団法人Fintech協会 代表理事会長(現任)など。日経ビジネス 2014年日本の主役100人に選出。

 

 ナッジ株式会社について

ー 事業内容について、教えて下さい。

次世代型クレジットカード決済サービス「Nudge(ナッジ)」の企画・開発をしています。

 

ー 次世代型クレジットカード「Nudge(以下、ナッジ)」とは、どんなカードなのでしょうか?

ナッジは、少額利用に特化したクレジットカードです。利用限度額を10万円とし、加入者は最短で決済翌日以降の好きなタイミングでATMを通じて柔軟に返済が出来ることを可能にしています。その他、Visaのタッチ決済機能を搭載しているので、カードをかざすだけですぐに決済を終えられます。暗証番号の入力やサインの必要がないので、少額決済や急いでいるときでも、気兼ねなくご利用いただけます。また従来面倒だったカードの申し込み手続き・審査も、アプリ上で数分で申請〜登録までが完了するUXを実現し、若年層などの需要を取り込むことを意識したクレジットカードです。

 

ー その他、カードの特徴としてはどんな点が挙げられますか?

ナッジでは、カードを登録する際ユーザーが「応援したいクラブ」に入会する仕様になっています。これはカフェやコンビニ、スーパー等の普段使いの決済でも、支払い方法をナッジのカードに変えるだけでユーザーが好きなアーティストや団体、作品の応援に繋がるという機能になっています。今現在、アーティストやプロスポーツチーム、アスリート、地方自治体をはじめとした約50のクラブから選べる様になっております。(2022年3月時点)

 

また、そのクラブ会員になることで受けられる限定特典などをアプリと連動して提供しており、毎月の利用額に応じて、メッセージ動画やリアルで受けられる特典などのインセンティブが受けられる様になっております。

 

ー 普段何気なく使う決済から、自分の応援している人や活動の支援に繋がるのは、ファンとしてはとても嬉しいですね。

ファンコミュニティ経済の中でも、投げ銭や課金と違い、ナッジの仕組みはファンの懐を痛ませることをしません。ユーザーのスマートな生活がそのまま応援になっているという点は、従来にはあまり無かった点です。それによって、アーティストや団体自身も、「(ファンに対して)ナッジはお勧めしやすい」という声もよく聞きます。

 

ー 今、実際に利用しているユーザー層については、やはり若い方が多いのでしょうか?

若年層が多いものの、幅広い層のユーザーに利用を頂いております。提供するUXもそうですが、地域のプロスポーツなど幅広いファン層を抱えるコミュニティの属性にも紐づき、利用ユーザーも拡がりを見せています。

 

 若年層のファーストカードを狙うナッジがつくる、「未来の金融体験」について

ー 話題をサービスから組織の話に変えたいのですが、ミッションに「ひとりひとりのアクションで未来の金融体験を創る」と書かれています。ここにはどんな想いが込められているのでしょうか?

テクノロジーの進化と普及によって、色々なものが劇的に変わってきています。例えば、映像を通じて発信するには、昔はテレビしか無かったものが、今やYouTubeやTiktokによって、年齢・性別・立場を問わず、誰でも発信することが可能になっています。ですが、金融体験については、正直あまり変わっていません。金融機関から提供されるBat UXに対して、私たちの多くは利用者として文句を言うことくらいしか出来ないのも現状です。

 

ナッジが変えたいのは、そのスタンスそのものであり、「文句を言うだけじゃなくて、一緒につくりましょう」というのが我々の込めているメッセージです。

 

ー なるほど。サービスを使うこともまた未来に対する投票なワケですね。素朴な疑問なのですが、どうしてクレジットカードだったのでしょうか?

同じカードという意味では、プリペイドカードなどの選択肢もありますが、プリペイドはUX面での課題が多く、ユーザーが都度入金しなければいけない手間や、サブスクの引き落としに使えないといった課題がありました。若年層が持つ、ファーストカードを狙っていきたいと考えている中では、多少参入障壁が高くても(クレジットカードに)挑戦するという意思は変わりませんでした。

 

ー そこから「Nudge(ナッジ)」が生まれた経緯についても伺っていいでしょうか?

先ほども話した様に、私はインターネットの本質を「パワーシフト」であると考えています。商店からEコマースへ、紙からWebへと進化を遂げたことで様々なことが変わりました。一方で、金融業界はどうでしょうか?実際、そこまで大きなインパクトを起こせていないというのが現状です。そして、ここにインターネットが起こした同様なインパクトが起きるべきだと考えています。

 

現在の金融における日本の課題は2つあると思っていて、それは【キャッシュレスが進んでいないこと】と、【若年層の利用が意外に伸びていないこと】です。中国の例外はあれど、グローバル全体で見れば、キャッシュレスのメインストリームはクレジットカードが主流です。なので、若年層に向けた使いやすいクレジットカードをつくろうと思いました。それに加えて、グローバルで見たときには我々の様なチャレンジャーバンクは数多く出てきています。この流れは、多かれ少なかれ日本にも必ず来ると感じています。

 

 「多様性については積極的に肯定していく」沖田氏の自身の世代意識について

金融サービスの多くが、年齢層の高い組織の中から生まれてくる組織的な風土や、技術者の発想からテクノロジードリブンに寄りがちなサービスに偏ってしまう現状から、「本当にユーザーが求めているものが生まれにくい構図にある」と語ってくれた沖田氏。サービスのターゲットを若年層に設定するなかで彼自身は、どんなマインドを心がけているのか聞いてみた。

 

ー 若年層に向けた金融サービスが、ユーザーの気持ちを掴まない業界の構図や傾向については、なるほど!と思いましたが、沖田さん自身もユーザーとの世代が異なる中、どうやってその感性や価値観を磨いているのでしょうか?

結論から先に言うと、僕は自分の感性を信じていません(笑)

 

ー え!

おっさんが若い世代を理解するのは無理ですし、自分が若い時だって上の人をみて「何言っているんだ」と思っていたので、今の20代が我々のことを理解できないのは当然だと感じます。なので、「自分はユーザーのことを理解している、理解できるんだ」といったおこがましい気持ちは一切持っていません。

 

ー あーなるほど。

例えば、ナッジのデザイン一つを取っても、自分の感性で「こうしてください」なんて言うべきじゃないんですよ。勿論最終チェックはするものの、基本は信頼出来る人に任せる、そして、その責任は自分が取るというスタンスにしています。世代やユーザーペルソナを語る上では、「若者は・・」なんて言葉をついつい口に出してしまいがちですが、若者といっても色々な価値観を持った人がいます。そういった多様性は積極的に肯定していき、カテゴライズしない様、心がけています。

 

ずっとFintechにいた人間から言わせて頂くと、金融機関がつくる「若者向けサービス」って、やっぱり「若者」で括られてしまうんですよ。そうじゃなくて、スポーツが好きな人もいれば、アニメやゲームに没頭する人もいる、社会貢献に意識を向けている人もいる、そういった多様な感性を無理矢理に一つにまとめることはしない様に心がけています。

 

ー とても学びになるスタンスです。何歳になってもその考えを持っていたいです!

 

 今後について

ー 中長期的な展開について、お教え下さい。

まずは、サービスの拡大を通じて、私たちが目指している「未来の金融体験」を創り出していきます。それ以外にも、今後はNFTを絡めた取り組みなどもスタートする計画をしています。また将来的には、金融をうまく活用した仕掛けづくりにも挑戦していきたいと考えています。

 

ー 最後に、記事内でお伝えしたいPR事項などあれば教えて下さい。

ナッジで働いてくれるメンバーを募集しています!今後も含め、新しい金融機関の立ち上げに関与できる機会自体、早々にないことだと思います。そんな機会に挑戦したい方の応募をお待ちしています。大きいコトをやっている様に見えると思いますが、まだ社内は10名程度の組織です。私をはじめとするボードメンバーとも近い距離ですので、将来的に「起業をしたい」と思っている方の修行の場として、弊社を選んで頂くでも結構です。弊社に興味を持って頂ける方の応募をお待ちしています。

 

ー チャレンジャーバンクの立ち上げに参加できる、正に貴重なフェーズですね!今日は有難うございました。

こちらこそ、ありがとうございます。

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