「Sustainable Development Goals」持続可能な開発目標の略称として言葉の市民権を得たSDGsは、2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193カ国が2016年〜2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。近年では、企業にもSDGsを意識した事業活動が求められ、「未来の消費と労働の中心となるZ世代の就職活動においては、シビアに企業のSDGsに対する取り組みを見ている」と今回取材をした起業家 神田氏は話す。地球の未来を考えた目標と企業の事業活動に意識と関連性を持たせる経営支援サービスを提供する日本ノハム協会について詳しくお話を伺いました。
プロフィール(一般社団法人日本ノハム協会 代表理事 神田尚子氏)
大阪成蹊短期大学観光学科卒業後、1987年に大手ホテル の開業準備室に就職。宿泊予約やフロント業務を担当しマネージャー職へ。1998年に退職し、株式会社タガヤに入社。 営業本部長、専務取締役を経て、2012年に代表取締役社長に就任。2020年2月には一般社団法人日本ノハム協会を 設立し、代表理事に就任した。
著書:最先端のSDGs 「ノハム」こそが中小企業の苦境を救う
講演:全国経営者セミナー(夏季142回)2021年7月13日-15日/ パレス東京ホテル
「中小企業× SDGs」コロナで売上99%減から救った新事業成功のすすめ方
一般社団法人 日本ノハム協会について
ー 「日本ノハム協会」について、教えて下さい。
日本ノハム協会は、「中堅・中小企業の経営課題をSDGsでソリューション」をテーマに、「サステナブル成長診断」を通じSDGs経営の実践をサポートするとともに、昨今課題となっている実態の伴わないSDGsに対する取り組みに対する「SDGsウォッシュ」リスクから企業を守ることで、未来に持続可能な「経済・環境・社会」の発展を目指しています。
協会名の由来は英語の「no harm(ノーハーム)」、直訳すると「害をなくす」という意味になっておりますが、同時に【誰も傷つけない・誰も取り残さない】という思いを込めて命名しました。
ー 「サステナブル成長診断」とは、どんなサービスなのでしょうか?
「サステナブル成長診断」は、年に一度、企業のSDGs取り組みが適切に機能しているかを診断するサービスです。日本ノハム協会の監査チームが企業の情報を照合、SDGsとの親和性を本業・社内・社外の3つのカテゴリーに分けて確認し、 企業へヒアリング監査を行います。 SDGs 取り組み内容の確認と整理を行った後、現状を分析し、改善策を提案します。 その後、SDGs取り組み報告書が発行されて、企業に合わせたコンサルティングサポートへと移行していきます。
※.SDGs取り組み報告書の一例
ー 実際に診断した内容は、企業はどの様に活用しているのでしょうか?
企業の活用事例としては、自社のHPに診断の結果を掲載し、組織としてのSDGsへの取り組みをアピールしたり、その内容を持って社内外向けの広報素材として活用頂いています。特に、現在の新卒採用においては就活生の約9割が企業のSDGsに対する取り組みについて質問をするというデータがある中で、我々の様な第三者の専門家を介した診断結果は高い信憑性になりうる様です。
ー なるほど。企業がSDGsを経営に取り入れる・意識する様になっている背景については、どんなことが考えられるのでしょうか?
一つは、「事業活動にSDGsの意識を取り入れて、もっといい会社になっていくんだという姿勢を示したい」という企業が増えていることが考えられると思います。企業の内情までもSNSなどで簡単に拡散されてしまう時代です。SDGsを表面的には謳っていても、実態が伴っていないことが知れると、顧客や消費者は不信感を持って離れてしまうこともありますので、誤った解釈や曖昧な取り組みを表明することが企業にとって大きなリスクとなります。そのような背景から、本腰を入れてSDGsを取り入れた事業活動を考える会社が増えてきていることを実感しています。
「月100万円欲しい!」と転職した会社で時給850円からスタートし、社長になるまで。
ー 起業することの意識についてはいつ頃からお持ちだったのでしょうか?
私は現在、日本ノハム協会と並行してウエディング事業を中心とする株式会社タガヤの代表取締役も務めていますが、創業社長ではなく一社員からスタートをし、ここまできている叩き上げ社員です。元々は起業をしたかったというより、30歳の時に「自分で自分のお給料を決めたい」と考えたときの選択肢が「起業しかない」という理由からでした。
ー なるほど。
当時の私は、経営者セミナーに通いながら「自分でお給料を決めたい、月最低100万円は稼ぎたい」とひたすら口に出している様なタイプの人間でした。それがその時にセミナーにいたタガヤの創業者の目にとまり「ウチにきたら、月100万円やるで」と言われたので転職したんです。
ー すごい!やっぱり、口に出すものですね。
そしたら、なんと時給850円からのスタートだったんです。
ー 一同:(笑)
当然、創業者からは「お前は甘い、そんなん成果出してからや」と言われ、そこから「おっしゃ、やったるか」と気持ちを切り替えて、そこからは一日も休まずにひたすら営業にいきました。丁度、ウェディングの黎明期のタイミングだったことも功を奏して、すぐに努力が成果になって結びついてきました。
そこから会社も自社の式場を持ち、体制を内製化にシフトし利益率の向上を図り、入社時2億円だった会社は、30億円の規模にまで拡大しました。その組織の成長の過程で、私のポジションも少しずつ上がっていき、2012年に事業承継をする形で代表取締役となりました。
ー すごいストーリーですね!その中で、日本ノハム協会や協会の活動源となっているSDGsとの出会いは、どこで出てくるのでしょう?
きっかけになったのは、創業者の「死」です。
2016年国連でSDGsが発表されたタイミング、創業者の散骨でニューヨークにいた私は、現地での異様な盛り上がりに「これは一体なんだろう?」と思っていました。そして、日本でもSDGsバッジをつける企業が出てきた2019年、元国連大使の吉川さんの講演を聞いた時に「これからの時代はこれだ!」と感じたんです。そこから、自分でもSDGsについて学ぶ様になっていく中で、企業活動とSDGsの取り組みがうまく連携していない事例が世の中に数多くあることを知り、協会の構想を思いつきました。
元々、創業者は「儲からないことは絶対にやらない」といったタイプの人間でしたが、(創業者が)亡くなったのを機に私は『これからは儲からなくても、人に喜んでもらえることもやろう』と意識を変えました。
今後について
ー 中長期的な展開について、お教え下さい。
現在、日本ノハム協会では約150社の企業様のSDGs経営を支援させて頂いておりますが、これを2025年には1万社まで拡大して、日本の中小企業にもっとSDGsを意識・取り入れた事業活動を啓蒙していきたいと考えています。そして、2030年のSDGs達成目標の年までには、その数を5万社まで増やすつもりです。その頃には、今度は「やっていない方が格好悪い」という意識にかわり、経済活動と社会活動の両軸を考えた中小企業が世の中に増える世界観を構築していきたいです。
ー 最後に、記事内でお伝えしたいPR事項などあれば教えて下さい。
この記事を読んで「自分の会社は、どれくらいSDGsを意識しているんだろう?」と思ってくださった方がいれば、協会のホームページから無料で診断が可能ですので、まずは無料の診断からお試しください。
ご興味を持ってくださった方には、SDGs経営の支援を行うコンサルティングプランも用意しておりますので、是非お気軽にお問い合わせ下さい。私たち協会の姿勢としても、協会活動では「利益を求めない」と決めており、最終的にでた利益はSDGs17項目のいずれかに該当する団体や活動に寄付をして、日本のSDGs推進に寄与していきたいと思っています。
ー 素敵な活動です!これからの協会の活動もとても楽しみです。本日はありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございます。