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令和3年4月からのキャリアアップ助成金の変更点

公開日:2021.03.09

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スタートアップ企業を含め、多くの企業がキャリアアップ助成金を活用しています。

 

キャリアアップ助成金とは

最初に、キャリアアップ助成金について確認しておきますと、この助成金は、有期契約で雇入れた従業員を、6か月以上継続勤務したのちに、正社員に転換すると、57万円(生産性要件を満たすと72万円)が支給される助成金です(本稿では「正社員化コース」に絞って解説します)。

 

解雇規制の厳しいわが国では、契約社員として雇用をスタートさせ、実際に働いてみて問題が無ければ正社員に昇格させるという企業も多いため、正社員化に向けて企業の背中を押し、国全体としても正社員比率を高めていこうというのがキャリアアップ助成金の目的です。

 

キャリアアップ助成金を受給するための段取り

キャリアアップ助成金を受給するためには、

 

①キャリアアップ計画書を所轄労働局にあらかじめ提出していること

②正社員への昇格の手続を就業規則等で定めていること

③その他、国が定める基準を満たすこと

 

が必要です。

 

①および②については、キャリアアップ助成金の創設当初から変わらない根本的な要件なのですが、③については、毎年見直しがあるので注意が必要です。

 

令和3年度ののキャリアアップ助成金の要件

上記③に関し、細かい要件は本稿で述べる以外にもあるのですが、令和2年度は、正社員転換前後の6か月の賃金を比較し、基本給などの固定的賃金ベースで5%以上の昇給をしていることが必要でした。固定的賃金ベースで5%の昇給が達成されていなくても、賞与を加算して5%昇給が達成できていれば、助成金の支給対象となっていました。

 

これに対し、令和3年4月1日以降に正社員への昇格が行われた方については、昇給率は3%に緩和されたのですが、賞与を加算することはできなくなりました。

 

賞与で昇給要件を満たそうとしていた会社様は、是非ご注意ください。

 

なお、昇給要件以外の要件については、現時点で判明している限りにおいては、令和2年度から大きな変更点は無さそうです。

 

キャリアアップ助成金の受給には適正な労務管理が必要

キャリアアップ助成金の支給申請時には、対象者の雇用契約書、および、1年分の出勤簿・賃金台帳などの提出が必要となります。

 

これらの書類が整備されていなければ、そもそも助成金の申請自体が受理されませんし、出勤簿と賃金台帳を審査官が精査しますので、残業代の払い漏れ等が発見された場合は、未払い残業代を追加支給して精算をしなければ助成金は支給決定されません。

 

ですから、キャリアアップ助成金の受給を成功させるためには、日々の正しい労務管理が重要ということになります。

 

不正受給は厳罰

最後に補足となりますが、助成金申請のために、雇用契約書や出勤簿、賃金台帳などを偽造することは絶対にやめてください。

 

助成金の審査時に不正が発見された場合は、未遂であっても処分を受けることがあります。

 

また、実際に助成金を受給したあとも、調査がある場合があり、二重帳簿を作っていたことなどが発見されると、助成金の返還はもちろんのこと、返還額に追徴金が加算されたり、悪質な場合は、詐欺罪などで刑事責任を問われることもあります。

 

キャリアアップ助成金に限らずですが、ルールをしっかりと守って、助成金を活用してください。

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投稿者について
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榊裕葵

東京都立大学法学部卒業後、上場企業の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務。独立後、ポライト社会保険労務士法人を設立し、マネージング・パートナーに就任。「社員から信頼される会社作りをサポートする」を経営理念として、顧問先の支援に当たっている。

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