企業が奨学金を肩代わりする!?お金による不安を取り除き、誰もが平等にチャレンジできる環境を。株式会社Crono 高瀛龍(コウ インロン)【起業インタビュー132回目】|起業サプリジャーナル

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企業が奨学金を肩代わりする!?お金による不安を取り除き、誰もが平等にチャレンジできる環境を。株式会社Crono 高瀛龍(コウ インロン)【起業インタビュー132回目】

公開日:2020.02.25

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大学生の2人に1人は借りていると言われる「奨学金」。社会人になっても返済を続けている方は、本記事を読んでいる皆さんの中にも一定数いるのではないでしょうか?借りることで受ける恩恵がある一方で、それによって機会の選択が狭まってしまうことを今回インタビューをした起業家 高さんは指摘します。奨学金の返済を企業が肩代わりをするという新たな発想で機会の平等を実現するCrono(クロノ)について、お話を伺いました。

 

プロフィール(株式会社Crono 代表取締役社長 高瀛龍(コウ インロン)氏)

慶應義塾大学にてマクロ経済学を専攻し、金融緩和を行なった場合の経済効果について国際連結マクロ計量モデルを用いて解析。2014年アクセンチュア株式会社戦略コンサルティング本部へ入社し、金融分野のクライアントを中心に企業の戦略立案や新規事業策定を複数プロジェクト行う。また、在職中にプログラミング言語を学習し、2016年末より本格的にフリーランスとしてシステム開発の受託を開始。自身の経験から、資金不足によって学びたいことややりたいことが出来ないことに問題意識を持ち、「機会の平等」を実現化するため、Cronoプロジェクトの立ち上げを決意する。

 

株式会社Cronoについて

ー 事業内容について、教えて下さい。

 

株式会社Cronoでは、「奨学金」をテーマに現在2つの事業を展開しています。

・企業が奨学金返済を肩代わりする日本初の求人プラットフォーム「Crono Job(クロノジョブ)

・世の中にある奨学金(大学・地方自治体・財団)の中から各人に合った奨学金を抽出・提示する「My奨学金リスト

 

ー 「奨学金」に目をつけた事業展開というのは、とても珍しいですね。

 

現在の奨学金制度には、2つ課題があると思っています。

1.貸与型奨学金によって発生する、長期的な負債が生む課題

2.学生時代の資金調達手段が少な過ぎるという課題

一つ目の【貸与型奨学金によって発生する、長期的な負債が生む課題】についてですが、現在大学生の2人に1人が奨学金を借りていると言われており、社会に出てからそれを返そうと思った時、1人につき約400万円。私の様に多い人では、約800万円もの借金を抱えて社会人生活をスタートさせなければいけないという事実があります。

そうなると、就職先の選択も、やりたいこと軸ではなく、返済を考えた軸で選ぶといった、学生の選択肢を狭める事象を発生させてしまっているんです。

これによって優秀な学生の採用機会を逃す企業も発生しますし、何より就活でやりたいことを優先出来ていない学生を生んでしまっているという問題を起こしています。

二つ目の【学生時代の資金調達手段が少な過ぎるという課題】については、学生時代にお金を得る手段といえば、アルバイトをする・親から援助を貰う・奨学金を得るの大体3つに絞られるかと思いますが、学業以外で何か資金が必要なチャレンジをしたいと思った時に、金銭的にチャレンジしづらい環境になってしまうといった問題もあると考えています。

そういった2つの課題に対して、Cronoでは事業を展開しています。

 

ー なるほど。その中でも、採用企業が奨学金の返済を一部肩代わりしてくれるサービス「Crono Job」について、詳しく教えて下さい。

 

貸与型奨学金を借りている学生や社会人に対して、毎月の教育ローンの返済を肩代わりしてしてくる企業を紹介する求人プラットフォームがCrono Jobです。現在は、奨学金によって生じる課題に賛同を頂いた企業15社の求人を掲載させて頂いています(2020年2月時点)

ー 先ほどの説明にもあった様に、それだけ奨学金の返済が社会人になっても重くのしかかっているんですね。

 

現在の新卒の年収でいえば、スタート時は、ほぼ横並びの状態から始まる中で毎月2-3万円の返済が加わるとなると結構な負担になります。私の場合は、月6万円の返済を就職と同時に行わなければいけなかったので、社会人のスタートからその金額の負担は、とても大きかったです。実際に、奨学金が返せなくて自己破産している人も多いですし、支払いをストップして保留している人数も右肩上がりに増加しているといった事実もあります。

 

ー 実際に採用企業は、いつまで奨学金の返済を負担してくれるのでしょうか?

 

取り決め自体は、内定者と採用企業とCronoで詳細を詰めていますが、大体は入社から1~3年間の負担であったり。一般的に入社して役職が付いたり、給与が上がるタイミングを想定した期間で設定されていることが多いです。

 

ー ビジネスモデルとしては、どこで収益が生まれるのでしょう。

 

仕組み自体は人材ビジネスと一緒なので、採用時のマッチングフィーで採用企業から報酬を頂いています。

 

優秀な人材の奨学金を企業が肩代わりする流れは、海外では既に一般的。

ー 教育ローンの一部返済を企業が肩代わりする、ということ自体はまだ日本ではあまり馴染みのない概念ですよね。

 

確かに、そうですね。ただアメリカでは、徐々にその流れが出来つつあります。

 

ー へえ!そうなんですね。

 

アメリカでは、教育ローンの残高が住宅ローンの残高を上回るなど。社会的な問題として、取り上げられています。企業が奨学金の返済を肩代わりする流れは、優秀な人材を獲得する動きとしても注目されているんです。現在では、アメリカ全体の8%にあたる企業が、教育ローンの肩代わりを始めているというデータも出ています。

有名なところでは、フィデリティ証券やPWCといった企業も若手社員の教育ローン返済の補助を出していますし、IT系企業ではオファー時のタイミングに、ローン残高を確認してオファー金額の提示を組む、ということも始まっています。

国内でも同様な動きは、必ず出てくると感じています。

 

ー 実際に、国内での先行した事例などはあるのでしょうか?

 

そうですね。トヨタが女性エンジニアを育成するという目的で、理系の女子大生に対して奨学金のサポートをする動きを既に始めています。

 

参考:トヨタ女性技術者育成基金

 

ー なるほど。優秀な人材をこの段階から支援することで採用にも繋げていく動きなんですね!

 

やりたい!と思った時、それが出来ないまま終わってしまう環境に少しでも手を差し伸べたい。

ー  起業することの意識は、いつ頃から持っていたのでしょうか?

 

新卒入社をしたタイミングから少しずつ考え始めていました。

決して裕福とはいえない家庭環境で育った私は、小さい頃から父親がたくさん働いている姿を見てきて、「いつもこんなに働いているのに、なぜ稼ぎが少ないんだろう」と思っていました。そして、新卒で入社したコンサル会社では、”目一杯働いて、たくさんお金を稼ぐ人”を見ていたのですが、私の中では、その姿も自分の理想だとは思えなかったんです。

もっと時間的な余裕も持てて、世の中に価値を提供出来、収入も自分自身でコントロール出来るとなると、必然的にフリーになるか、起業するか、という選択肢を考える様になりました。

 

ー  そこから、どういった経緯でCronoは生まれたのでしょう?

 

独立しようと決めて、そこから「じゃあ、何が出来るかな?」と考えたときに、手っ取り早く稼げるエンジニアになろうと決めて、独学でプログラミングを勉強してフリーのエンジニアとして独立しました。そこからしばらくは、受託開発の仕事をもらっていたのですが「もっと自分のやりたいことにもチャレンジしていきたい」と考える様になって、クラウドファンディングを手がけるCAMPFIRE社とも仕事をする様になりました。

そこから、学費や奨学金という”お金”の問題は自分にとって、ずっと悩みのタネであったことに改めて気がつく機会もあり、「学生の頃に、もう少し多様な資金調達の手段や返済方法があれば、選択機会の幅は広がったかもしれない」と考え、奨学金に注目をしたという経緯です。

 

ー  なるほど。

 

私は金銭的な理由もあって、留学することも大学院にいくことも諦めているんですけど。

今、自分がその資金をつくって、自分自身がそれを叶えるというより、仕組みをつくって、そういう想いを持った人たちが”チャレンジしやすい環境”をつくれたらな、と思っています。

私の弟が大学生だったり、まだ小さい娘もいるのですが、自分より下の世代には、

環境によってチャレンジ出来る機会が損なわれてしまったり、やりたい!と思ったときにそれが出来ないまま終わってしまう様な環境に、少しでも手を差し伸べられる世界をつくっていきたいと思っています。

 

ー  機会の平等、とも言えそうですね!

 

そうですね。日本全体でみても、これから人口も減っていく中で、一部の人にしか機会が与えられないという状態は、競争力を欠如させてしまい、結果的に良くない方向に向かうと思っています。やりたい!と思った人に平等な環境を整えていくことも、とても大事なことだと考えています。

 

今後について

ー 中長期的な展開についてお教え下さい。

 

まずは、Cronoが手がけたサービスによって、資金を得た人の(人生の)選択肢が広がったという事例をつくって、それを発信していきたいです。

私自身もそうだったのですが、やりたいことがあってもお金の問題で諦める人は、まだ多く存在します。 弊社で展開するサービスが世の中に浸透することによって、そういった過去の自分の様な人たちに、選択肢を狭めることなく、むしろ選択肢の幅を広げてあげる機会を提供出来たら嬉しく思います。

長期的には、若年層の与信の見える化にも着手したいと考えています。

トヨタに入社をする大学生を例に出せば、内定前の段階では“信用力が無い”と金融機関から判断されたとしても、内定を貰った瞬間、その学生の信用力は上がり、お金も借りやすくなりますよね? それ自体には少々疑問を持っていまして、もっと早い段階でトヨタに入社する学生を見分けられる様になれば、もっと早いタイミングで若年層に資金が渡ることが可能になると考えているんです。

 

ー 最後に、記事内でお伝えしたいPR事項などあれば教えて下さい。

 

Crono Jobに掲載を頂ける企業様を絶賛募集しています。現在キャンペーンも実施中でして、直近半年から1年間の肩代わり資金を弊社で持つといったキャンペーンを展開しています。これまでお話をさせて頂いた奨学金が持つ課題や、それによって起きている問題に賛同を頂ける採用担当の方がいれば、是非お気軽にお問い合わせ下さい。

また直近では、奨学金プラットフォームの「Crono(クロノ)」もリリースする予定です。Cronoでは、働きながら新しいことにチャレンジしたいユーザーの資金的な援助を企業と一緒にサポートするプラットフォームとして、新しい展開をみせていく予定ですので、こちらもリリース時には、皆さんにチェック頂けたらと思います。

 

ー 気になるニュースが盛り沢山ですね!Crono Jobも、今のタイミングは採用企業にとっても始めやすそう。今日は有難うございました!

 

はい、ありがとうございます。

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