チャットを介し、旅行者のあらゆる行動消費をサポートする「たびらく」。スタートアップだけは絶対やりたくなかった、と語る起業家の真意とは? 株式会社たびらく鬼石真裕【起業インタビュー130回目】|起業サプリジャーナル

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チャットを介し、旅行者のあらゆる行動消費をサポートする「たびらく」。スタートアップだけは絶対やりたくなかった、と語る起業家の真意とは? 株式会社たびらく鬼石真裕【起業インタビュー130回目】

公開日:2020.02.04

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チャットを起点に、旅行に関するあらゆる手配をサポートする「たびらく」。創業者の鬼石氏は、リクルート、ビズリーチ、グリー、Kaizen Platformを経て、同社の起業に至った。名だたる企業でのキャリアを経験しつつも「スタートアップだけは、絶対やりたくないと思っていた」と語る、同氏。その素直な胸の内を聞いてみた。

 

プロフィール(株式会社たびらく 代表取締役社長 鬼石真裕氏)

NTTデータでエンジニアを経験後、リクルート、ビズリーチ、グリーで戦略、プロダクト、営業、事業責任者などを歴任。Kaizen Platformでは、福岡市との戦略提携、クリエイターネットワークの構築、カスタマーサクセス立上げを経て、EC・人材・金融などを中心とした累計300社のエンタープライズ顧客の営業・B2Bマーケティングの責任者を務め、2018年7月よりKaizen Platform フェローに就任。2017年9月、たびらくを設立。

 

株式会社たびらくについて

ー 事業内容について、教えて下さい。

 

株式会社たびらくは、チャット専業の旅行代理店として、大きくは2つの事業を展開しています。

・チャットを媒介とした旅行代理店業(個人/出張旅行手配、レストランの予約等)

・チャット専業のWebマーケティング

現在は沖縄とバンコクにチャットセンターを設けており、各種サービスを提供しています。

 

ー 「チャット専業の旅行代理店」という響きが新しいですね。

 

ひと昔前は集団旅行が主だった海外旅行ですが、現在は個人旅行化が進み、さらにパッケージツアーでなく個々人が検索・予約を行う「アラカルト」の旅が増えています。検索の仕方も検索エンジンに頼るのではなく、OTA(※1)から自分で検索して探すのが主流となりました。それによって、旅行者は、航空券・ホテル・観光スポット・食事、などといったカテゴリー毎に検索、会員登録、予約をすることになり、手間が増え、旅行者目線の体験としてはどんどん面倒になっているのが現状です。

そういった海外旅行における現状を踏まえ、私たちの会社では【旅行から検索をなくす】をミッションに、検索に代わるUXやソリューションを、まずは“チャット”に設定して事業を展開しています。

 

※1.Online Travel Agent。ネット上だけで取引を行う旅行会社のこと(例:Expediaなど)

 

ー チャットで提供されるサービスの範囲は、どこまでなのでしょう?

 

先行して始めたのは、海外レストランの予約サービス「たびらく」で、現在は旅行券の手配なども行っています。ここから更にパッケージツアーや移動といった旅行者の“旅ナカ”コンテンツにも提供する領域を拡げていく予定です。

 

ー なるほど。その中でも、現在展開されている海外レストラン予約サービス「たびらく」とは、どんなサービスなのでしょうか?

 

世界35都市に住んでいる日本人の駐在者や長期滞在者など数百人から情報を集め、一都市あたり最大100件までに厳選したレストランのリストを作成。ユーザーはLINEで「たびらく」を友だちに追加し、会話形式で条件を入力していただくことで、オペレーターからおすすめの飲食店を提示してもらえます。(2019年12月時点)

ユーザーが自ら検索できる機能も備えていますが、私たちとしてはLINEなどのチャットを通して、とにかく簡単に理想のレストランに出会い、予約できるという体験をすすめています。先程話をした様に、自身で膨大な量の検索結果から目的の何かを探すことは、膨大なエネルギーが必要となります。「たびらく」は現地に長期滞在している日本人のフィルターを介すことで情報を厳選し、さらに検索そのものの手間をも削減します。レストラン予約というジャンルからスタートしたのは、旅行者の旅ナカの接点として一番多い「食事」というコンテンツを、まずは押さえにいくという狙いがありました。

 

ー 予約は、ユーザーである旅行者自身が取るのでしょうか?

 

ユーザーは気に入ったレストランがあれば、チャットで依頼するだけでOKです。その後は、弊社のバンコクにあるコールセンターで現地のレストランに予約を取ります。コールセンターには英語、中国語、韓国語、タイ語、ベトナム語等ほとんどの言語に対応できるスタッフが待機しており、レストランへ電話で連絡をするため、細かなリクエストなども相談することが可能です。

 

世界中で増える旅行者と旅行回数。旅中の体験やコンテンツの課題は絶対に無くならない。

ー キャリアの中で「起業しよう」と考え始めたのは、いつ頃だったのでしょうか?

 

前職ではKaizen Platformという会社に勤めており、それまでのキャリアで色々なことを経験させて頂いたのですが、「何をやろうかな」と考え始めたのは、Kaizen Platform時代でした。最終的には、【不動産・旅行・教育】の3つにまで絞ったんです。

 

ー そこから旅行に事業ドメインを選定されたのには、どんな経緯があったのでしょうか?

 

不動産に関しては、建築や街づくりが好きという文脈から、個人で不動産投資を5年ほど続けていて、実は本まで出しています。3年前に、その延長線上で民泊もスタートさせようと考え、そのスタートにあたり「自分でも使ってみよう」と沖縄でAirbnbで海の目の前のリゾートマンションを借りて、家族で旅行に行ったんです。

今は民泊新法も整備され、また状況は少し違うかもしれませんが、1万円程度/1泊で家族4人が泊まれ、移動のレンタカーも格安で借りられたり、宿泊・移動費込みで滞在費が5万円くらいで収まったんです。

 

ー 家族4人で、その値段は安いですね!

 

その時に、「あれ、これ熱海にいくより安いんじゃない?」と思ったんです(笑)。実際にサービスを使ったことで民泊が旅行業界に与えるインパクトの大きさを体感したんですよね。

それと同時に、LCC普及と民泊の出現で、「世界中で、旅行のハードルが劇的に下がってるんじゃないか?」となんとなく考え始めたんです。

 

ー なるほど。

 

今、訪日する外国人が増えていますよね。単にオリンピックの影響で増えていると思っていたのですが、その時から「旅行のハードルが劇的に下がっていることで、世界中で旅行者と旅行回数が増えているのでは?」と考える様になり、調べてみたら本当にその通りだったんです。

 

ー その背景に、先ほどのLCCや民泊の台頭があって、という繋がりですね。

 

旅行者と旅行回数が増えていくという事実がある中で、その中の体験やコンテンツの課題は絶対に無くならないと考えたのと、そこに業界としての魅力を感じて、事業ドメインを「旅行」に選定しながら、何が出来るか?を考え始めました。

 

スタートアップだけは、絶対やりたくないと思っていた。

ー 鬼石さんのこれまでのキャリアを拝見していて、どの時点でも起業出来そうだなと思ってしまったのですが、もっと以前から起業を意識したりはしなかったのでしょうか?

 

いや、全く意識していなかったですね。実際、Kaizen Platformにいた時もそうだったのですが「スタートアップだけは絶対やりたくないな」と思っていたくらい(笑)

 

ー ええ!それはまた何でですか?

 

プライベートを削って、それを両立出来ずにいる先輩起業家の方も沢山みてきたので(笑)

 

ー いや、でも鬼石さんも立場的にはプライベートを削ってきた立場なんじゃないんですか?

 

僕も働きすぎで家族に迷惑をかけて、何度か危機はありましたが、それを守ってここまで来ました!

 

ー 一同:(笑)

ビズリーチ時代から色んな起業家の方を見てきて、その大変さを近くでずっと感じていたのと、出来る・出来ないは別として、自分自身が人のマネジメントがそんなに得意じゃないこともあって、(起業をすることで)そこから逃れられなくなる状況が、「自分が自分らしく在れなくなるのでは?」ということを危惧していました。自分がやりたくないこともやるのが嫌だったんです。

 

ー なるほど!その点は、どうクリアして起業に踏みきれたんでしょう?

 

実は、たびらくは共同創業しており、今はパートナーが自分の苦手な部分を補完してくれています。なので、自分自身は事業づくりに集中出来ていますし、会社を経営しているというより、2人で役割分担をしながらやっているという感覚です。

会社を経営する上で絶対に出てくる資金の話も、共同創業者がいるので、気持ち的にも半減して、それは自分でも精神衛生上、とても気持ちが楽なんですよね。

タイミングとしては、もっと以前から起業は出来たかもしれないですが、自分の起業の仕方としては、これが正しかったと思っています。

 

今後について

ー 中長期的な展開についてお教え下さい。

 

・旅行者が検索をしなくても済む世界

・チャットを介して旅行者と人(コンシェルジュや日本人駐在員)が繋がり、旅行の体験が変わる世界

この2つを実現し旅行者・出張者の旅中の行動消費を抑えていくことを軸に事業を展開していきます。最終的には、旅行者のことを誰よりも理解している状態を、どの会社よりも早くつくっていきたいと考えています。

そこから先のマネタイズはいくつか見えているので、組織としては、その状態に辿り着くまでにいかに生き延びていくか?そして、それをどう愚直にやり続けていくか?だと思っています。

 

ー 最後に、記事内でお伝えしたいPR事項などあれば教えて下さい。

 

今年前半に、旅ナカ(旅行中)のレコメンドや予約対応などを常にLINE上で対応するサービスをスタートさせる予定です。出発前や到着時、旅行中に起きる言葉の対応、トラブル対応といった旅行に関わる対応を全て日本語で完結出来るサービスです。海外にいかれる方がは、ぜひ一度サービスを使ってみてください!

 

ー LINE上で旅行に関する全てのサポートをしてくれるのは本当に有難いですね!今日は有難うございました。

 

こちらこそ、ありがとうございます。

 

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