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担当者から探せる新しい不動産選びのカタチを提案する「EGENT」EQON Inc. 澤井慎二氏【起業インタビュー107回目】

公開日:2019.06.11

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これまでは物件が先行して、そこに営業担当者が紐づいてくるといった、ある種、クジ引きの様に「人(担当者)」を選んできた不動産業界。売りたい人も、買いたい人も、借りたい人も、希望は「自分に合った担当者から選びたい!」きっと誰もがそう思っているのではないでしょうか? そんな不動産選びの常識を、【担当者から探せる】新しいカタチで提案していくサービスが今回取材をした「EGENT」です。業界大手にいたからこそ感じたジレンマを、スタートアップで形にした起業家 澤井慎二氏に話を伺いました!

 

プロフィール(EQON Inc. COO and Co-Founder 澤井慎二氏)

新卒でリクルート(株)に入社、6年間SUUMOに従事し、中小から大手不動産会社に向けた広告提案営業を経験。広告出稿をお預かりする間に、企業の課題を見つけ、組織介在・業務介在を行うことで企業の業績貢献も同時に行ってきた。また、リーダーとして営業戦略立案にも携わった。学生時代はたばこの吸い殻から衣服を作るエコビジネスに挑戦し、2011年ビジネスプランコンテスト「ibeliveあなたの夢をかなえるプロジェクト」で「ibelive」賞を受賞。

 

EQON Incについて

> 事業内容について教えて下さい。

 

不動産を売りたい・買いたい・借りたい、と思っているユーザーが直接エージェントを検索・仲介依頼できるサービス「EGENT(イージェント)」の企画・開発を行なっています。

 

> 不動産エージェントを検索・仲介依頼できるサービス「EGENT」とは、どんなサービスなのでしょうか?

 

従来であれば、物件から探して→エージェント(営業担当者)が付くといった不動産選びを、自分の要望をフォームに入力すると、担当者が提案されるサービスです。

EGENTに登録をしているエージェントには、

① 宅建資格を保有

② 不動産業界の経験は5年以上

③ 過去の売買実績の提出と開示

を登録時の必須条件としており、担当者が得意なエリアや過去の売買実績に加えて、ユーザーからの口コミ・レビューなどもサービスの中で確認することが出来る為、その比較検討もした上でユーザーは、自分に合ったエージェントを選ぶことが可能となります。

> 不動産選びをエージェントから直接選べることには、どんなメリットがあるのでしょう?

 

先ほど「(担当者の)過去の売買実績も見れる」と話をしましたが、自分が不動産を買いたいエリアや、特に売りたいエリアになると、担当が(その周辺の相場をどれくらい理解しているか?)が売買価格に影響するので、他の実績がいくらズバ抜けて良い担当者であっても、一概にどんなユーザーでも対応出来るわけではありません。

そこで我々のサービスでは、その担当者が持っている“専門性(※)”に焦点を当てて、ユーザーが「誰に話せば心地良いのか?」といったユーザーの希望に添えるエージェントを定義していき、安心して不動産取引が出来る世界観を目指しています。

※EGENTでは、売りの場合は単純売却や任意売却やリースバック等、購入の場合はリノベーションや高級物件といった、担当者が得意なカテゴリーもサービス上で明記している。

 

> 優秀なエージェントは、どうやって選定しているのでしょうか?

 

創業者である私と三井(代表取締役)の2人が、元々業界に精通したキャリアを持っているので、二人で(優秀なエージェントかどうか?)を選定させて貰っています。

代表取締役である三井は、収益系不動産の担当をしており、私の方では、売買に関して顧客がのぞむ売買を成立させているのか?といった取引の実態まで確認をした上で、エージェントの選定を行なっています。

 

> では仮に、不動産会社から「EGENTに載せたい」と申請があったとしても落とす方もいると?

 

そうですね。そもそも日本の場合は、宅建免許を保有していない営業担当者も多かったりするので、掲載条件の遵守は徹底しています。あと、中には「過去の売買実績を公にしたくない」という担当者もいたりするのですが、それってユーザーにとって不利益な取引をしてきた可能性が高いという表れでもあります。EGENTの掲載条件を満たし、サイトに載っているエージェントたちは【正しいことをして、顧客にベストな提案が出来る優秀なエージェント】という証でもあるんです。

 

>  なるほど!それは納得です。

 

アメリカでは既に一般的な、“人”から選ぶという不動産選び

> EGENTは、先に物件を選んだ後に人がついてくる、従来の不動産選びと真逆の仕組みが斬新ですね!

 

実はアメリカでは、不動産選びを【エージェントから探す】というのは一般的な手法なんです。

もう少し詳しく話をすると、アメリカの方が不動産を取り扱うライセンスの取得が難しいんです。日本で必要になる「宅建」という資格は、主婦や大学生といった経験がない方でも取れる様な資格となっていますが、アメリカでは、“一定数の業界経験”と“専門学校に通う必要がある”であることが資格取得の前提であるなど、取得側のレベルが日本に比べて高く、士業として見なされているので弁護士と同じ様に「人」から探すというのが一般的なんです。

 

> 言われてみれば、信頼出来る“人”から探す方がユーザーにとっても良いのは納得なのですが、なぜこれまでEGENTの様なサービスが出てこなかったのでしょうか?

 

少し前に比べて、現在は「個」のエンパワーメントがとても強くなってきているというのが時代の流れだと思っています。例えば、美容室は美容師で選ぶや、塾も塾講師で選ぶといった、Instagramに代表される様な、組織や団体ではなく、個人でもバリューを持って、外に発信がすることが当たり前になってきたことが不動産業界の中では少し遅れていたということが考えられます。

 

> サービスの構想自体は、いつ頃からお持ちだったのでしょうか?

 

新卒でリクルートに入社をし、SUUMOの営業を担当していたのですが、実は二年目の時の事業プランコンテストに今のEGENTの構想を描いた事業案を提出したんです。

 

> そんな早い段階から考えていたアイデアだったんですね!その時は、何故実現しなかったのでしょう?

 

SUUMOで出来なかった部分でいうと、「個」をフォーカスし過ぎてしまうと、その人だけの売上が上がっていくので、クライアントである『会社全体の売上はどうなるんだ?』という議論があったことと、媒体の特性上、同じ物件が複数載ることがビジネス上、望ましいこともあるので、「個」をフォーカスすることで掲載物件数が減ってしまうのは媒体の売上を下げてしまうことにもなります。

それらの懸念点があって、リクルートでは実現することが難しかったんです。

 

新卒二年目の時に考えた事業アイデアが思わぬタイミングでカタチに。 

> 「起業をしたい」といった志向は、いつ頃からお持ちだったのでしょうか?

 

大学生の時です。その時に、少しだけ起業に近いようなことをしていました。

私が通っていた立命館大学では、アントレプレナーを創出するようなことをしており、一番有名な方ですと株式会社ミライロの創業者でもある垣内俊哉さんがいるのですが、その垣内さんの下で(起業とは何か?)を学びながら、自分自身でも事業をつくっていたんです。

 

> (株)ミライロの垣内さんは2018年の「Japan Venture Awards 2018」で経済産業大臣賞を受賞されていた方ですね!当時は、どの様な事業をしていたのでしょう?

 

そうです!当時、私がやっていたのは【タバコの吸殻で衣服をつくる】といった事業を立ち上げたのですが、最終的に、その事業はJTさんに事業アイデアをお渡しする形で終わりました。そこから、

そのまま起業をするか悩んだ結果、(ビジネスとは何か?)をちゃんと学ぼうと思って、新卒でリクルートに入社をします。

 

> 元々、現在のビジネスアイデアは二年目からお持ちだったと伺いましたが、それが実現に向かって動き出したキッカケは何だったのでしょうか?

 

共同創業者である三井との出会いが、とても大きかったです。前職に在籍中、事業プランコンテストに何度か応募をしているのですが、起業をする前に三井と出した事業プランが役員提案まで通ったんです。それも結局事業化までは至らなかったものの、そこから三井と一緒に不動産に絡んだ副業をする仲になったんです。

その副業をキッカケに業界の悪しき慣習について、よく2人で議論をする様な機会が増えたのですが、ある時、元々投資側であるオーナーサイドのことをよく知る三井が、仲介業者側に持っていた嫌悪感と疑問を吐露したんです。元々、仲介業者側を担当する立場にいた私は、「いや、業界の中にも優秀な担当者は沢山いるんだ!」という話をした後日、三井が「これ、やらない?」と持ってきた事業プランが、正に私が二年目の時にリクルートに出したEGENTの事業アイデアだったんです(笑)

 

> それは、すごい偶然!(笑)

 

今後について

> 中長期的な展開についてお教え下さい

 

「売却」にサービスを寄せたいとは考えています。理由は、不動産を「売る」ということのソリューションがオンライン上では乏しいという現状があるからです。現在、家を「売りたい」となった時に出てくるソリューションとしては、オンラインの一括査定やAI査定といったものがメインで、それ以外に家を売るといったソリューションが中々出てきません。

私自身も合計1億円の不動産を保有しており、現在それを売却しようとしている立場として、その過程をブログ(※)にも綴っているのですが、ここにもまだ改善の余地が沢山あると考えています。結論として、その最適解は、やはり優秀な「人」に巡り合うことだと思っています。

※ 参考リンク:元SUUMO営業マンの物件売却奮闘記

 

日本は「グローバル不動産透明度インデックス」という指標の“成約データ”という項目で先進国中、最下位の水準を記録しており、今後は透明性を持った不動産取引の開示が重要視されてくるかと思います。EGENTでは、その取引の透明性をこれまで開示されることの少なかったエージェントの個人の情報の開示によって、透明性を担保し、不動産取引において、ユーザーが安心して・ベストな取引が出来る世界をつくっていきます。

 

> 最後に、記事内でお伝えしたいPR事項などもあれば教えてください。

 

不動産を、売りたい・買いたい・借りたいと思っていらっしゃる方がいれば、是非EGENTを使ってみて下さい!6月にデザインリニューアルを行いまして、これまで以上に使いやすいサイトとなりました。合わせて、先日のテッククランチにも掲載頂きました、今回サイバーエージェント・キャピタル社から資金調達を行い、より一層事業の拡大にドライブをかけていきます。EGENTの今後の展開にも是非ご注目下さい!

 

> これからの展開が楽しみですね!今日は有難うございました。

 

ありがとうございます!

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