「出来れば昼からビールを飲みたい」健康に興味のない起業家のつくる健康管理アプリ「SIRU+」シルタス株式会社 小原一樹氏【起業家インタビュー101回目】|起業サプリジャーナル

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「出来れば昼からビールを飲みたい」健康に興味のない起業家のつくる健康管理アプリ「SIRU+」シルタス株式会社 小原一樹氏【起業家インタビュー101回目】

公開日:2019.04.08

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普段買い物をするスーパーやコンビニのポイントカードの購入履歴から、栄養素を概算して、足りている栄養素と足りてない栄養素を可視化してくれる栄養管理アプリ「SIRU+(シルタス)」。そのサービスの丁度良さは、小原さんの『健康にそれほど興味はないけど、何かやっておいた方が良い気がしている』の一言に集約されている気がした。現代の「健康意識」に対してアンチテーゼを唱えながらも、誰でも簡単に自分の健康を意識出来る仕組みをつくり上げる起業家 小原一樹さんの話を伺いました。

 

プロフィール(シルタス株式会社 代表取締役 小原一樹氏)

ID-POSデータをヘルスケアに活用することをテーマとして、大手流通との概念検証をきっかけに2016年11月にシルタス株式会社(旧アドウェル)を設立。購買データから消費者の“食の嗜好性”と“健康志向性”を導き出す「嗜好学習性AI」を開発。健康行動を人のモチベーションに委ねるのではなく、意識せずに自然と健康行動が習慣化される仕組みづくりを目指す。経済産業省所管のNEDOの「IoTを活用した新産業モデル創出基盤整備事業」にも参加。

 

シルタス株式会社について

> 事業内容について教えて下さい。

 

買い物するだけで健康になることを目指す、まったく新しい栄養管理アプリ「SIRU+」の開発と運営をしています。

 

> 「SIRU+(シルタス)」とは、どんなアプリなのでしょうか?

 

SIRU+は、日頃の食生活の中で、健康ということを意識せず、健康になっていくことをサポートする栄養管理アプリです。普段買い物をするスーパーのポイントカードを登録するだけで、買ったものの栄養と、普段の栄養の偏りがひと目で分かり、買い物ベースでおすすめの食材やレシピを提案といった機能を備えたアプリです。

【一般消費者(toC)向け】と、そのデータを活用する【事業者(toB)向け】の2つの展開を考えていますが、現在は一般消費者向けの栄養管理アプリをメインに手がけています。

 

> 既に出ている栄養管理・健康管理系のアプリとの違いはどんなとこにあるのでしょう?

 

既に世の中には、食に関する栄養管理や健康管理のアプリって沢山ありますよね。

そして、その多くが、毎日自分が(何を食べたのか?)を入力するなり、写真を撮るなりして、記録をしていく前提で作られていると思います。それらのアプリでは記録することによって、AIなり、テクノロジーが不足栄養素を出して、改善に繋がる提案を出してくれるのですが・・正直それって、クソめんどくさい

 

> のっけから強烈なパンチラインですね(笑)確かに、日々の記録って忘れちゃう時が結構ありますね!

 

特に20代や30代といった若い世代にとっては、今、健康で困っている訳ではないので、(将来、困るかもしれない)という、未来の困り事に対しては中々時間や労力を割きたくないというのが本音だと思うんです。

それは、私も同感で。普段の食生活で、よくお酒も飲むし、お酒と一緒に脂っこいものも食べてしまうので、(このまま行くと、20-30年後に後悔するんだろうな)という漠然とした不安はありつつ、既存のアプリを使っても、結局日々の入力の手間がめんどくさいし、一生懸命入力しても結局「お酒減らしましょう」「油分控えましょう」って正しいことだけ言われてお終いになってしまう。

SIRU+は、その【めんどくささ】と【健康の為に食生活を直さなければいけない】という、両方を解決しようと思ってつくり始めたアプリです。

 

> なるほど。

 

何が出来るか?という話になるのですが、普段食べているものの殆どはお金を介して得ているものだと思うので、その「お金の履歴」をアプリに自動連携することで【普段の自分の買い物の傾向を知れる】というのがサービスのポイントになります。

SIRU+では、ユーザーが登録をするポイントカードの購買情報を自動的に同期して、それを全て栄養素に変換することを可能にしています。そうすることによって、買い物をするだけで「カルシウムのある食べ物よく買ってるな」とか「鉄分のある食べ物は全然買えてないな」といった現状を知ることが出来ます。ここでのポイントは、初期登録の段階で普段行っているスーパー・コンビニのポイントカードを登録さえすれば、購入したものの入力や、レシートを撮影するといった手間などが今後一切発生しない、という点です。

普段の自分の買い物の癖や傾向が分かるようになれば、例えば、“鉄分が足りてない”普段の食生活において、よく行くスーパーやコンビニで「何を買ったら良いのか?」というレコメンドがアプリ上でされる。その繰り返しをしていく内に、普段の買い物における栄養バランスが整っていき、気がついたら健康な食生活を送っている、というのがSIRU+で出来ることなんです。

> 買い物から健康に近づいていくって発想が良いですね。連動をするのは【ポイントカード】なんですね!

 

スタート時は、そうです。普段の買い物で使っているコンビニやスーパーのポイントカードを初期設定で登録するだけです。今後は、クレジットカードやQRコード決済への対応も拡げていきます。

 

> 素朴な疑問なんですけど【購入履歴を栄養素に変換する】って、どうやって実現出来ることなのでしょう?

 

色々なデータを使っているのですが、購買履歴から食材名と重量を判別し、弊社の栄養データベースに紐づけて変換しています。我々のサービスでは、買い物の履歴を通じた栄養素の偏りや傾向を知ることが目的なので、摂取カロリーなど精度の細かさはそこまで必要ないと考えています。

逆に、そこを求めるのであれば、既存に出ている他の栄養管理アプリを使う方が良いですね!

 

> 初期のユーザーとしては、どんな方々を想定としているのでしょう?

 

メインターゲットとしては、子育て中の女性や、一人暮らしで自炊を始めたばかりの若い世代を想定としています。SIRU+では、クックパッド社 連携したレシピの提案もサービス内で行なっているので、彼らの知りたい「何を食べれば良いのか?」「何を作れば良いのか?」といったニーズにも応えられるような機能も実装しています(2019年3月現在)。

 

  「出来れば昼からビールを飲みたい」健康に全然興味のない起業家のつくる健康管理アプリ

> SIRU+をつくろうと思ったきっかけは、小原さん自身の健康意識の高まりからなんでしょうか?

 

いや、ぼく全然健康に興味ないんですよ。

 

> ええ!!(笑)

 

本当に興味がなくてですね。出来ることなら、昼からビールを飲みたいし。今の生活で不健康なことをしちゃっているからこそ、(何かやらなければ・・)とは思うんですけど、今あるヘルスケアのアプリは、面倒だからやりたくない。そもそも、今の世の中において、健康って【正しい】じゃないですか?

 

> 正しい・・ですか?

 

世の中が健康になることは、誰がどう見ても正義なので「正義だからやろう!」というのが今の流れだと思うんですが、国や社会にとって正義でも(自分にとって必要か?)と言われたら、必要じゃないモノもあると思うんです。正に「健康」がそうだと思っているんです。

そんな人でも、無理せず出来るアプリをつくりたいと思いました。

 

> 確かに、健康であることを「悪」とする風潮って無いですね。言われてみれば、それって「正義」なのかも。じゃあ、ユーザーのペルソナは小原さん自身なんですね!

 

そうですね!元々、自分が欲しいと思って作り始めたので。

ただ、ユーザーテストやヒアリングを重ねていく中では、子どもの健康を意識し始めたお母さんたちからの需要が高く、忙しい中でも健康を考える立場にいる人からのニーズがとても高いことが分かりました。男性には、遊び心も半分で純粋に「知りたい」と思ってくれる方や、栄養バランスまで考えてスポーツに打ち込んでいた方からの需要が高いですね。

 

 皆んな健康になりたいと思っているけど、自分に何が足りていないのか誰も分かっていない。

> そこからサービスを思いついた経緯についても教えて下さい。

 

元々、新卒で入った会社では特殊な冷凍庫を売る仕事をしていました。

2-3年前に作った料理でも、今作ったものと変わらないくらい再現性の高い冷凍技術を持つ冷凍庫だったんですが、それを売るために「ウチの冷凍庫で凍結したら、こんなに味が変わらないんです」っていうデータを、味や栄養素を定量化して出すんですね。

それをやりながら、(そもそも自分の足りていない栄養素も認識していない人ばかりなのに、これに意味はあるのか?)と思っていたんです。

そんな中、市場ではスーパーフードや栄養価の高い食品が売れているのは、単純にメーカーのマーケティングと広告が上手なだけで、消費者の行動を見ていても、一瞬だけ棚に陳列されている商品が無くなるだけで、結局は直ぐに飽きている。皆んな、「健康になりたい」という根本的な欲求はあっても、何をしたら良いのか分からないから、とりあえずやってみて→飽きたら辞める、いつまでそんな非生産的なことを続けるんだ?って思い始めた時、【今の自分の状態を直ぐに知って、何をすべきか分かる環境をつくれたら良い】と考えたんです。

そこから一通りサービスを使ってみたんですが、どれもめんどくさい。じゃあ、(記録をしたり、入力をしたりするインプットをもっと楽にしたら良いのでは?)と考え始めたのと、当時一人暮らしをしている自分の買い物の偏りから(この時点で既に栄養が偏っているだろうな)といった点からSIRU+の元になるサービスをつくってみようと動きました。

 

> 「起業をしたい!」といった志向は、それ以前から持っていたんですか?

 

はい。大学の時、(日本という恵まれた国に生まれて、そこに居続けることが、これからの自分にとって最適解なのか?)を確かめる為に、一年間休学をしてバックパッカーをしていたんです。

そこでの体験を通して、自分の働きたい国で働ける様になりたいと思ったことが起業を意識し始めたきっかけになったのと、もう一度世界一周をしたいって本気で思っているんですね、しかも今度は三年くらい。

 

> なるほど。

 

次に行った先で気に入った国があれば、本気でそこで暮らしたいとも思っています。

ただ、その為には、どこの国でも「仕事をつくることが出来る」という実績と、ある程度、お金と時間に余裕を持った立場にならないといけないと考えた時の手段として、会社員ではそれを実現することが難しいと思ったので、将来的に「起業をしよう」と決意しました。

 

今後について

> 中長期的な展開についてお教えて下さい。

 

サービスの中で、最終的な商材となるのは「データ」になります。このデータを【どこに繋いでいくか?】の提供先や提携先を拡充していきたいと考えています。

例えば、個人が病気にかかった時、かかった時の状態ではなく、かかる前の状態を把握するためにSIRU+に蓄積されている、その人個人の食生活のデータが役に立つ、といった医療現場との連携は考えやすいですし、そうなった時に食生活の情報だけではなく、運動情報や睡眠情報といった他にデータを抱えている企業と連携することによって、その情報精度は格段に上がっていくことが考えられます。

一方で、サービスをそこに振り過ぎてしまうと、コテコテのヘルスケアサービスになってしまうので、そこは求められていないのかな?とも思っています。自分たちの食生活を、いかに「楽しく・豊かに」するかを考えれば、スマートキッチンやIoT家電側との連携だって、一つの手段として考えていけるとも思っています。

ここで大事にしていきたいのは、SIRU+は私自身がユーザーとして始めたサービスなので、常に『売る側の論理になってはいけない』という意識を大事にしていて、会社の収益が高く見込める先と連携をするのではなく、【食べたいものを食べて健康に】という我々のビジョンを体現する為に適切な連携を、しっかりと見極めてやっていきたいと考えています。

後は、自分自身の興味という点においては、海外での展開も考えていますね。

 

> 出来ることが無数に考えられる分、その舵取りが大事になってきそうですね!最後に、記事内でお伝えしたいPR事項などもあれば教えてください。

 

先日の日経新聞にも取り上げられましたが、3/29から神戸市と、市内にあるダイエー13店舗と連携した実証実験がスタートします。そこから最終的な改修を経て、正式なローンチに向けて動いていきます。

SIRU+は“頑張らないで健康”を目指すアプリですので、「食べること、飲むことが好き」だけど「将来不健康にはなりたくない」という方は、ぜひ使ってみてください!

※アプリのダウンロードはコチラから。

また、これからの事業拡大に伴い、採用にも力を入れていきます。ご興味を持って頂いた方は、お気軽にご連絡ください!

 

> 早く都内でも使えるようになって欲しいです!今日は有難うございました。

 

ありがとうございます。

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