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「3時間の小さな旅」を通して、日常に出会いと変化の物語を提供する。株式会社ストーリーアンドカンパニー細川拓氏【起業インタビュー93回目】

公開日:2019.01.29

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「旅」という言葉を聞くと、此処ではないどこか遠くに行く様なイメージを持っていないでしょうか?編集部もそんな風に思っていました。しかし、『移動距離を問わず、未知なる“人”や“場所に出会うこと”もまた「旅」なんです』と話す細川氏の言葉には思わず、納得。今回は、【3時間の小さな旅】を通して、私たちの日常に出会いと変化の物語を提供してくれる株式会社ストーリーアンドカンパニー細川拓氏にお話を伺いました。

 

プロフィール(株式会社ストーリーアンドカンパニー 代表取締役 細川拓氏)

NY州立大学在学中に、アパレルブランドを立ち上げ、代表取締役社長に就任。海外・国内40店舗で取り扱いの経験を経たのち、早稲田大学に編入。卒業後、株式会社リクルートに入社、進学・ブライダル領域の営業・事業企画を担当し、9年間在籍。その後、2016年に同社を創業。

 

株式会社ストーリーアンドカンパニーについて

> 会社と事業内容について教えて下さい。

 

「出会いと変化の物語を提供する」というビジョンの元、【旅】領域に特化をして、現在は2つのサービスを提供しています。

・3時間の小さな旅と出会う「AND STORY

伝えたい人とやってみたい人をつなぐ体験シェアリングサイト。

・大学内の交流するカフェ「U-CAFE

大学キャンパス内に展開する交流をテーマにしたカフェ。学生が各大学の特色を活かした場所作りを行い、地域・旅行者を招き入れることで、学生には社会と接続した学びを、旅人にはローカルとの出会いを提供する場所。

弊社では、【旅】を距離を離れた遠い場所に行くことではなく、『未知なる人との出会いや、未知なる場所との出会い』と定義をしています。そういった新しい“出会いのデザイン”をしている会社です。

 

> 今までになかった体験や人との出会いを提供する体験シェアリングサイト「AND STORY」とは、どんなサービスなのでしょうか?

 

 

AND STORYは、伝えたい人とやってみたい人をつなぐ体験シェアリングサイトです。

サービスには、提供したい体験を持つ人=伝えたい人を【ホスト】と呼び、それを実際に体験する人=【ゲスト】の2つのユーザーがいます。ホストが企画した体験に、ゲストが予約・参加が出来るといったシンプルな仕組みですが、体験は全て3時間以内の気軽なものになっています。

ホストは、自分が提供したい体験と、

・(そもそも)何故それをやり始めたのか?

・どういった想いを持って、この体験を提供したいと考えているか?

といった内容をそれぞれ体験プログラムの中に記載しており、それを持って出来上がったコンテンツをAND STORYでは【ストーリー】と呼んでいます。

 

 

> なるほど。サービスとしては、どのような方を対象にしているのでしょうか?

 

市場としては、「体験市場」を狙っています。なのでユーザーとしては、

・趣味や習いごとをしている方 

・旅行時に、現地ならではの体験や思い出づくりを求めている方

を対象にしていて、実際にそういった方々に利用を頂いています。

 

【AND STORYが出来るまで①】「これ家帰って作るんですか?」→『作るわけないじゃない』と言われ、参加者がスキルの体得だけを求めていないことに気づかされる

 

> 類似しているサービスでは「スキルシェア」の領域が挙げられそうですが、その辺りとの違いをどんな風に考えているのでしょうか?

 

まず、自分自身がスキルシェアという呼び方に違和感を持っています。

例えば“料理を学ぶ”とした場合、もし本当に技術を体得したいのであれば、書籍やクックパッド・レシピ動画を見ながら、スキルを学べると思うんです。ただ実際、お金と時間をつかって、何故ユーザーが足を運んでいるのか?と言うと、「一緒に食べる」といった行為や、そこに集まる人との「交流」を目的に来ていることが、ほとんどだと感じます。

実際、自分も一ユーザーとして色々な体験を試した内の一つで、和菓子づくりの体験をしたんです。

その中で体験をされていた女性に「これ家帰って作るんですか?」と聞いたら『作るわけないじゃない。こんな面倒くさいの作れないわよ!』って返されたんです(笑)

 

> (笑)

 

その体験自体も、価格としては8,000円と結構したのですが、「なぜ来ているんですか?」と聞けば、ただ作って→食べるだけじゃなくて、その行為や、作っている様といった工程自体の楽しみを得にきていたり、新しい出会いを求めに来ていたり、と。技術の体得自体を求めていなかったんです。

 

> あー・・なるほど。

 

一方で教える側のスタンスとしては、「技術を教えなければ!」という認識を持っている方が多いんです。教える側とそれを受ける側の意識の違いにギャップを生じてしまい、実際に現場でもそれを感じることが多々ありました。

それはスキルシェア自体の構造として、技術レベルの優劣がサービス内での価値に影響する為、技術が下の人の存在価値ってほとんど無いんです。なので、教える側としても自分が「どれだけすごい技術を持っているか」をアピールしがちになってしまう。でもそれって、初心者やこれから学びたいという人を、突き放していることにもなり兼ねません。

一方AND STORYでは、ホスト(体験提供者)がその技術を体得した背景や、体験を通じて(どうなって欲しいか)と言った想いを事前に書いているので、そこに共感を持つ参加者だけが集まる為、そのギャップの“ズレ”がないんです。そこがスキルシェアサービスとの大きな違いだと思っています。

AND STORYの体験においては、技術の高低ではなく、「共感」の高低が大事だと思っています。

 

【AND STORYが出来るまで②】「現地のお金の無い学生に現地の案内をして欲しかったし、自分はそこにお金を払いと思ったんです」

> 元々、学生時代にも一度起業をされていたとのことですが、二度目の起業に至った経緯なども、是非伺いたいです。

 

はい、初めての起業は大学生の時でした。

当時、私はアメリカで学生生活を過ごしていましたが、お金が無く、そのお金を稼ぐ手段として、現地で買ったブランドのTシャツなどを日本に向けて販売していました。

そこから夏休みの期間は日本に戻り、関西にある服屋でアルバイトをしながら、仕入れやデザインについても勉強をし、現地に戻ってからは日本のブランドの代理店や、現地のアーティストとコラボしたオリジナルブランドを立ち上げたんです。

ただ、それも最初はアルバイトをしていた服屋に自分で「お店やブランドとして、こうした方が良い」と提案をしていた立場だったのですが、社内でそれを実行できる人がいなかった為、その会社の社長に【出資をして貰って→僕自身が起業をする】という、結果的に起業となったという形でした。

一社目は3年間の運営で最終600万円の赤字を抱え、アーティストとの契約の関係もあり、ブランドを廃止し会社を畳むことを決意しました。 

出資をして頂いた会社の社長には「働いて返済します」と言ったのですが、『貸したわけではないので返済はいらない。それより、もう一度同じ金額を出資をするから、また一から始めろ』と言ってくれたのです。

 

> なんだか、とても漢気あるタイプの方ですね。

 

はい。ただ、当時はもう一度やれる自信が持てなくて「今の自分には自信がないので、修行に出させて下さい」と伝えて就職する選択をしました。そこで選んだのが前職のリクルートです。

前職は、仕事内容的も働くメンバーにも恵まれ、とても環境が良く、9年間在籍していました。そんな中で二度目の起業に踏み切るキッカケになったのは、プライベートで行った「旅行」でした。

 

> 差支えなければ、どんな旅行だったか教えて下さい。

 

その旅行自体、きっかけはポジティブなものではなく、どちらかと言えば「嫌なことを忘れたい」といった目的で出かけた旅行でした。その旅先での出会いや、人の優しさに触れた体験は、打ちひしがれていた自分の気持ちをとても前向きにさせてくれました。

 

>  そこから「旅」というテーマになったんでしょうか?「体験シェアリング」に事業ドメインが定まった背景についても教えて下さい。

 

はい。キッカケとなった旅行を機に、【旅や体験を通じた人との出会いによって、人は前向きになれる】ということに気付き、旅を通じて人との出会いを生み出すことを、もっと多くの人に届けることが出来たら良いんじゃないか?と考え始めました。

私自身も昔からよく旅をしていて、大学からはアメリカに行ったのですが、そこでも色々な旅をしました。振り返れば、お金こそ無かったですが、時間があったことによって、旅先で得られた出会いが沢山ありました。例えば、ゲストハウスに泊まって、そこに集まる人と交流をコミュニケーションを取るとか。

そこから働く様になって、ある程度の収入を得てお金を持つのですが、今度は旅先での「時間」を失ったんです。旅行に行っても買い物くらいしかすることが無くて、気づけばそれで旅が終わってるんです。

 

> ああ、すごく理解出来ます。

 

この感覚は、もしかして自分だけなのかもしれませんが、あんまり旅先での目的を“場所”に持っていなくて・・。勿論、(コレが見たい!)と思って旅先を設定するのですが、写真を振り返っても全然感動しないんですよ。

 

> なるほど(笑)

 

それより、旅先で絡まれた名前も知らない兄ちゃんとか、道で優しくしてくれたおばちゃんとか、出会った人の“顔”がすごい思い出に残るんです。それに気づいた時、(自分は旅の中で“人との出会い”を求めているんだな)と感じたと同時に、(お金があるだけではそのニーズは満たせない)とも思ったんです。

それを決定づける体験が新婚旅行でイタリアに行った時なのですが、

服が好きだったので「現地のイケてる服屋を地元で服飾を学んでいる大学生に案内して欲しい」と思っていたのですが、そういう人と出会うことは難しく、結果日本の代理店のツアーに参加しても、、“役者を目指している若者”や“60代のおばちゃん”といった、自分が求めている人と全然違う人がアテンドされたことがあったんです。

自分としては、日本語はもちろん英語なんてできなくても、イタリアで服飾を学ぶ学生に案内してもらえたらきっともっと楽しかっただろうと思うし、彼らもそれでお金を稼げたらいいのにと思いました。その時に(どうしてこんなことが出来ないのか?)とジレンマに感じたことからスタートしている気がします。

 

>  「出来なかったことを→出来るにするには?」からスタートしたんですね。

 

と言うより、『そんなサービスがあるなら、自分はお金を払いたい』と思ったところが起源ですかね。

 

>  なるほど。学生が「東京のイケてる服屋を案内する!」とか、今のAND STORYの中でありそうな体験コンテンツですね!

 

今後について

> 事業の中長期的な展開についてお教え下さい。

 

まずは、AND STORYを国内で伸ばす為に、地域のプラットフォーマーとアライアンスを組んでいきます。現在、都内では東京メトロと業務提携し北海道では北海道ガス、四国は四国電力といった地域のプラットフォーマーたちと協業の機会をいただいており、その地域のプラットフォーマーが持つリーチ力を活かして、サービスの認知拡大に注力しています。まだまだ行き届いていない場所の方が多い為、引き続きアライアンスの強化をしていきます。

その間にもう一つの事業であるU-CAFEでも、各都道府県の大学との連携をしていき、そこを窓口に国内のみならず海外からの観光客にも日本での出会いを楽しんでもらえる場所にしていきたいと考えています。

究極的には、SNSになっていきたいとも考えています。特に情報がストック出来るSNSを考えていて、今のSNSは、フローとして流れていくのがほとんどですが、流れていく日常を投稿する既存のSNSとは違った、旅行やレアな体験、そして人生の転換期といった節目をストック出来る様なSNSになると面白いな、と考えています。

 

> 最後に記事内でお伝えしたいPR事項などもあれば教えてください。

 

この記事を読んでくれて「ストーリーアンドカンパニーと一緒にやりたい!」と思ってくださる方を、一緒に働けるメンバー・地域のプラットフォーマーを問わずに募集しています。もしそんな方がいたら、是非お気軽にご連絡ください。

 

> 地域のプラットフォーマーの皆様、是非ご連絡をお待ちしております!本日はありがとうございました。

 

ありがとうございます。

 

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