【起業インタビュー 第1回】静と動、対照的な2人の共同起業物語|起業サプリジャーナル

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【起業インタビュー 第1回】静と動、対照的な2人の共同起業物語

公開日:2016.12.01

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立ち上げた企業が5年存続する確率は、一説には2~3割と言われます。
少なくとも5年と持たない企業が圧倒的多数派であることは事実でしょう。

最初からつぶすつもりで起業する人はいないはずです。誰もがそれぞれの夢や目標を持ち、しかし、ある者はその夢を叶える一方、ある者は夢破れ、違う道を進むことになります。

両者の差はどこにあるのでしょう。そして、夢を叶え、またはその実現の途中にいる人々に、何か共通点はあるのでしょうか。
その答えやヒントを、これから連載する「起業インタビュー」を通じて、読者の皆様それぞれが見つけていただければと願っています。

 

第1回は、大学時代の同級生同士で起業、映像・ITを中心に活躍され、創業6周年を迎えたお2人にインタビューさせていただきました。

下山 遼祐(しもやま りょうすけ)氏
合同会社フロントビジョンコンサルティング代表。1983年生まれ。
2006年に東海大学卒業後、映像制作会社に就職。5年間テレビ番組の編集に携わる。2011年に合同会社フロントビジョンコンサルティングを黒川貴弘氏と設立、映像制作に経営コンサルティングの要素を取り入れた企業PRを提案している。
「仕事を楽しみ、美味いもんを食い、仲間と笑い合う」がモットー。

 

黒川 貴弘(くろかわ たかひろ)氏
合同会社フロントビジョンコンサルティング業務執行役員。中小企業診断士。
中小企業向けのクラウド業務管理を中心にITコンサルタントとして活動する傍ら、LEC東京リーガルマインド、千葉商科大学、神奈川大学などの非常勤講師も担当し、自身の経験則も含め熱弁をふるっている。

 

創業5年以内につぶれる企業が8割。
そんな時代に同級生と起業し、6周年を迎えた。

―「友人と起業する」、一見スムーズにいけそうですが、喧嘩して結局うまくいかないケースもあるとも聞きます。起業して6年続いているお2人が考える、長続きの秘訣は何ですか?

下山氏
「ただの友人」を超えて、完全に腹を割って話し合える関係になれないとダメです。「ただの友人」という位置づけだと、どうしても遠慮してしまう部分がありますから。私たちは、誰にも言えないような秘密まで共有しちゃってます。

黒川氏
お互いを尊重し合うことも大事ですね。2015年の年末に開いた納会では、お互いに感謝することをちゃんと言葉にして伝え合いました。実際やってみるとかなり気持ち悪かったですけど(笑)

 

夫婦のような関係性

―他に、お2人がうまく続いている要因は?

下山氏
2人の性格が真逆であることです。私は直感派の楽天家、黒川は理論派で慎重派です。
私が「これいいんじゃない!!」って突如思いついたアイデアを黒川に聞いてもらうと、具体的に筋道立てて綿密に計画を作ってくれるんです。

黒川氏
私も、自分で考えているとどうしても考えすぎて息が詰まっちゃうときがあるんです。そんなときに下山に相談すると、シンプルに結論もらえるんです。心強いですよ。

下山氏
あとは、営業活動なんかでもクライアントに合わせてアプローチを変えることができるのがいいですね。クライアントが数字や理論を重視している場合は、私はスッと後ろに下がります(笑)

―なんだか夫婦のような関係性ですね(笑)

下山氏黒川氏
ある意味そうかもしれません(笑)。お互いに無いものを補完し合うのが大事ですね。

 

起業ストーリー

「人生を考える会」

―お2人の出会いは?

下山氏
大学の同級生で、同じバンドサークルでした。僕はベースで、黒川がギターです。3年生のときにはお互い副会長になりました。
卒業後もよく飲みに行っていたんですが、その中でこれからの人生を真面目に考えようという話になり、「人生を考える会」を月例でやることにしました。

―「人生を考える会」ですか。なかなか壮大なテーマですね(笑)

下山氏
卒業後の進路は私と黒川とで異なりましたが、お互いに将来に対する漠然とした不安がありました。それで、毎回テーマを決めて、飲みながら将来について語り合う機会を設けていたんです。
当初、会のメンバーは4人いたんですが、すぐに私と黒川だけになってしまいました(笑)

―2人だけになっても続けられたのですか?

下山氏
2人で続けましたね。とにかく何か具体的に動きたいなという話になり、そこから色々と模索し始めます。

 

初めての商品

―初めて形になったのはどういうものだったのですか?

下山氏
パチスロの収支管理システム、「パチッと収支王」です。黒川と「お互いの強みはなんだろう。それを活かして何か作ろう」という話になったからです。
私は映像制作会社に就職するまでパチスロで生計を立てていた時期がありまして(笑)。ギャンブルで安定した収入を得るためにはしっかりとした収支管理が必須だったので、自分で使いやすい収支ソフトがあれば最高だなと考えていました。
一方、黒川はシステム開発が得意です。じゃあ、それを掛け合わせてクラウド型の管理システムを作っちゃおう、と。

―まだクラウドだとか、スマホやアプリが世に出る前の時代ですね。そのシステムの売上はどうでしたか?

下山氏
全然ダメでした(笑)

黒川氏
広告費がないので、知り合いに登録してもらってそこから広めようと思ったのですが、知り合いにさえ不評でした(笑)
どうやってマネタイズするのか方針も行き当たりばったりで、うまくいきませんでした。で、下山と「これじゃないな」と(笑)

 

模索と決断

下山氏
そこでもう一度2人で「強み」について考え直しました。
黒川は、システム開発の他に、コンサルティングに強みがあります。一方、私は番組制作会社で編集マンをやっていたので、映像制作に強みがありました。そこで、「コンサル」と「映像」を掛け合わせた事業をやろうと。
まだお互いサラリーマンという身分ではありましたが、2011年1月11日に会社(合同会社フロントビジョンコンサルティング)を設立(登記)しました。

―1並びの日、ですね。

下山氏
そこにはこだわりました。もう1つのタイミングがあるとすれば2011年11月11日ですが、それは遠すぎる、ということで黒川と意見が一致し、とりあえず今のサラリーマンを続けながら会社を興すことにしました。

 

冬の時代

―事業のコンセプトが決まり、会社も立ちました。創業当初はいかがでしたか?

下山氏
創業後ほどなく、たまたま同じタイミングで2人とも勤め先を退職し、フロントビジョンコンサルティングの経営に専念することにしました。でも、黒川のコンサル案件がバンバン入ってくるかと思ったら、全然入らない(笑)
創業時、会社の住所は黒川の自宅だったので、私は黒川の家に出勤するんですが、やることがない。一方、黒川はほとんど外出で不在。「オレ何やってんだろ」って自問自答していました(笑)

黒川氏
そうですね。最初は大変でしたね。「コンサル」って目に見えない商材じゃないですか。実績でもあればアピールできるんでしょうけど、当時の私にはそれがなかったので、どうしたものかと途方に暮れていました。

 

発想の転換

―そういう閉塞期をどのように打開されたのですか?

下山氏
それまでは、コンサルを前面に出していました。「御社のコンサルティングをさせていただきます。それに映像を付加しますよ」というスタンスだったのです。
ある時、その順番を逆にしてみました。つまり、「私たちはこのような映像を作ることができます。御社のアピールにいかがですか。ご所望であれば、その映像活用方法のご提案やSEO対策のご相談にも乗らせていただきますよ」というふうに変えたのです。これがハマりました。

黒川氏
それまで来たことがなかった問い合わせが何件も来るようになりました。
その中には、こちらから営業をかけてもなかなか仕事をいただけなさそうな大学病院様からのお問い合わせもありました。さらにそこから別の案件もご紹介いただいたりして、仕事がどんどん増えていきました。
やはり、映像という目に見える商材をまずアピールすることによって、クライアントの納得と信頼を得られたのが大きいと思います。この映像パッケージが成功したことで、私たちもとても自信がつきました。

 

さらなる成長へ向けて

―事業が軌道に乗った現在、御社はどういう時期なのですか?

下山氏
私と黒川それぞれが、自分のやりたいことについて構想を磨き、自身の強みを尖らせている時期ですね。お互いの構想を2年後(2018年)ぐらいにすり合わせて、また何か形になればいいな、と思っています。

 

起業して変わったこと

―起業してから何が変わりましたか?

下山氏
黒川が変わりました(笑)
起業前までの黒川はすごく尖ってたんですよ。優秀でしたから。自分のロジックは絶対だ、失敗するわけがない、と(笑)。でも、起業してからの彼は、とても柔軟になり、他者にも寛容になりました。

黒川氏
サラリーマン時代は、勤め先にとても重宝されていました。自分でも「仕事を他人に任せるくらいなら自分でやった方が早いし確実だ」と思っていました(笑)
ところが独立して仕事をやってみると、当たり前ですけど、未経験のエリアでは全く自分のスキルが通用しない。失敗もたくさんするわけです。なので、わからないところは他の人に聞き、意見も伺う、という謙虚さが身につきました(笑)

 

これから起業する方へ

―では最後になりますが、これから起業される方へメッセージをお願いできますか?

下山氏
私は「楽しい!!」という感覚を一番大事にしています。
起業すると、儲けるというところに気持ちが向くと思うんですが、結局楽しいことをやっていないと続けるのが辛くなってしまいます。せっかく起業して何をやってもいいわけですから、思いっきり楽しいことをやりましょう。
「これおもしれー!」と思ったことを自分なりに形にして、出会った人にそれをしゃべりまくってください。かなりの確率で仲間や協力者が現れます。そしてチャンスが来たらとにかく飛び込む。失敗して、「これ違ったな」でも全然OKです。次に進みましょう。道は開けていくはずです。
あとは、弱点を補完し合える仲間を見つけることも大事です。もしそういう人に出会えたら、ぜひ「人生を考える会」を月イチでやってみてください(笑)

黒川氏
うまくいくかどうかは、成長意欲があるかどうかにかかっていると私は思っています。
起業すると、サラリーマン時代にはない経験をたくさんすることになります。それを「自分が成長できる機会」だと捉えられるかどうか。
個人的にはそういう機会に出会えることが喜びですし、自身の魅力を増すことができるチャンスだと考えています。お金だけならサラリーマンとして稼ぐのがベストです。サラリーマンでは身に付けられない成長を手にしたいなら起業してみるといいでしょう。

―いろいろと貴重なお話を伺えて楽しかったです。本日はありがとうございました。

 

編集部後記

1+1=∞

別解のない数学の世界とは異なり、知性と感情が作用する人と人の世界では、1+1が3にも4にもなり得ることを改めて実感しました。
「動」の下山氏と「静」の黒川氏。対照的なお2人のシナジー効果が今後さらに高まるのを楽しみにしています。

 

両氏のお仕事風景。左手前が下山氏、左奥が黒川氏。

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