飼い主としてペットを想う気持ちと、学生時代の研究が結びつき生まれた「Catlog」(株)RABO 伊豫愉芸子氏【起業インタビュー85回目】|起業サプリジャーナル

  1. 起業サプリジャーナル TOP
  2. 飼い主としてペットを想う気持ちと、学生時代の研究が結びつき生まれた「Catlog」(株)RABO 伊豫愉芸子氏【起業インタビュー85回目】

飼い主としてペットを想う気持ちと、学生時代の研究が結びつき生まれた「Catlog」(株)RABO 伊豫愉芸子氏【起業インタビュー85回目】

公開日:2018.11.26

̃Gg[͂ĂȃubN}[Nɒlj

突然ですが、問題です。「ペットとして、世界で一番多く飼われている動物は何でしょうか?」その答えは記事の中でお伝えします!”猫の生活をテクノロジーで見守る”をミッションに2018年の2月22日(猫の日)に立ち上がった株式会社RABO。サービスリリース前ながらも、猫好きのハートを掴んで離さない「Catlog(キャトログ)」に今注目が集まっているのをご存知でしょうか? 今回は同社CEOの伊豫愉芸子氏に、同社CCO(チーフ・キャット・オフィサー)のブリ丸氏同席の元、お話を伺いました。

 

プロフィール(株式会社RABO President & CEO 伊豫愉芸子氏)

東京海洋大学大学院博士前期課程修了。東京大学大気海洋研究所 佐藤克文教授のもと、ペンギンやオオミズナギドリに小型センサーをつけ行動生態を調査するバイオロギング研究に従事。大学院修了後、株式会社リクルートに新卒入社し、インターネットサービスの企画やプロダクトの設計、新規事業開発を担当。2018年2月22日の猫の日に、株式会社RABOを創業。猫を20年以上飼育し、現在は2歳のショートヘアソマリ♂のブリ丸を飼育中。一般社団法人日本ペット技能検定協会認定キャットケアスペシャリスト/キャットシッター資格所有。

 株式会社RABOについて

> まず始めに会社について、お教えくだs・・あ、今日は猫ちゃんも同席なんですね(汗)

 

はい。弊社CCO(Chief Cat Officer)でもあるショートヘアソマリのブリ丸です。

主に、今回紹介するサービス「Catlog(キャトログ)」のテストデータ収集やプロダクト開発、カスタマーサクセスを担当してくれています。

 

> ボードメンバーの方でしたか・・それは失礼しました。 気を取り直して、会社についてお教え下さい。

 

はい。株式会社RABOは、今年の2月22日(猫の日)に設立しました。社名の由来は、スペイン語で「尻尾」を意味する【rabo】と、元々研究者だった私のバックグランドと、その研究を社会応用した事業を展開していくことから【laboratory】をかけて、RABO(ラボ)と名付けました。

会社のミッションとしては「世界中の猫と飼い主が1秒でも長く一緒にいられるように、猫の生活をテクノロジーで見守る。」と掲げておりまして、現在は愛猫の様子を見守ってくれる、スタイリッシュな首輪型のウェアラブルデバイス「Catlog(キャトログ) 」の企画・開発を行なっています(2019年8月にリリース予定)

 

> 「Catlog」とは、どんなサービスなのでしょうか?

 

首輪型のデバイスとアプリケーションを通じて、飼い主の代わりに愛猫の様子を見守ってくれるサービスです。Catlogで出来ることは、主に4つです。

1.見守り首輪とスマホで猫ウォッチ

首輪型のデバイスで、猫の活動データを24時間計測します。愛する猫の様子(走る・歩く・食事・睡眠など)と、お部屋の室温が外出先からでもスマホで分かります。

2.猫の健康管理をサポート

デバイスから愛猫のデータが常時蓄積されるので、運動不足や食事の回数などを知ることができ、愛猫の健康管理にも役立ちます。

3.多頭飼いにも対応

猫は犬に比べて多頭飼いされている傾向が強い動物です(一世帯における平均飼育頭数:猫1.8匹、犬1.3匹)。そんな多頭飼いにも対応しており、複数の猫を飼っていても、同じ時間帯にそれぞれどんな行動をしていたかなど、1つのアプリで管理することが可能です。

4.みんなで見守る

家族や獣医さん、キャットシッターさんなどにも、Catlogアプリのアカウントをシェアすることを可能にしており、みんなで愛猫を見守ることができる機能を予定しています。

> ペット市場についても伺いたいのですが、どれくらいの規模の市場なのでしょうか?

 

マーケットの話で言うと、国内は1.6兆円の市場規模となっており、年率1%の推移で成長をしています。世界では14兆円の市場規模と言われおり、年率4.5%で成長をしている市場です。

これらには、 ペット保険や動物病院といった数字は含まれておらず、それらを合わせると、より市場の規模は拡張します。その中でも、猫は最もペットとして飼われている動物であることや、多頭飼いされる傾向の強いペットである為、ペットを対象にした時のマーケットサイズは一番大きいです。

ちなみに世界で飼育されている動物の中で、「ペットとして飼われている生き物(家畜などを抜く)」で一番多いのは、実は猫なんです。その数は6.3億匹と言われており、犬と比べても約2億匹も多いんですよ。

 

> へえ!そうなんですね。

 

ここからは少し主観にはなりますが、猫好きからしたら猫はペットではなく、家族同然な生き物です。例えて言うなら、”孫”に近い感じでしょうか? かけられるものなら幾らでもお金をかけちゃうといった、他のペット好きの中でも、ある種狂気じみた「愛猫精神」の強い飼い主が多いのも特徴だと思います。

 

> 確かに、猫好きな方って本当に猫が好きですよね・・犬や他のペットの飼い主さんとは、違ったナニカを端から見ても感じます(笑)

 

そうですね。猫様の為なら、何でも出来ちゃうのが私たち「猫バカ」の特徴ですね。

ひと世帯辺りで猫の飼育にかける平均支出も年間21万円とも言われており、実はこの金額も年々増加している傾向にあるんです。

 

>(・・猫様)Catlogのビジネスモデルは、どうなっているのでしょうか?

 

初期のビジネスモデルは、

①デバイスの販売

②アプリケーションのサービス利用料(月額)

の2つになります。デバイスと連動したアプリケーションは無料でも利用可能です。

フリープランである「のぞき見プラン」から用意をしており、毎日の猫の様子が見れる基本プランである「お留守番プラン」。そして、他の猫とのデータ比較や、家庭内やシッターさんといった猫を取り巻くステークホルダーとデータが共有出来る最上位プランに「猫バカプラン」の3つを用意しています。

 

> 「猫バカ」なんてネーミングが付いたら、猫好きの方なら皆んなそっちにいきそうですね。

 

プラン名は社内でも議論しまして、付けるかどうか悩んだのですが。最終的に「でも(私たち)猫バカだよね?」と言うことで決定しました(笑)

 

> そのプランのネーミングアイデアは新しいですね!最上位プランに申込みたくなってしまう様なネーミング・・(笑)

 

飼い主としての猫を想う気持ちと大学時代の研究がハマり、起業へ・・

> 起業されたきっかけについても伺いたいのですが、元々この分野で起業しようと考えていたのですか?

 

いや、考えてなかったですね。

学生時代に「バイオロギング(※)」という海洋生物の生態行動を調査する研究を専攻していたのですが、小さい頃から動物が好きな自分にとってはとても楽しい時間でした。

佐藤教授という、この研究領域の中でも国内有数の見識者の下で弟子として学べたことも、今に繋がるとても良い経験となっています。

私は修士課程まで進んだのですが、新卒でリクルートに入社する前に博士課程に進むか?本当に悩みました。ただ、その当時は博士課程までいってから社会人になるというのが、年齢的に厳しい時代だったことや、一度社会人になってから(また)研究者として戻ることは出来るだろう・・と考えた結果、リクルートに入社しました。

ただ、その間も仕事として(動物に携わることをやりたいな)とは考えていましたけど、自分で起業をするとは全く考えていなかったですね。

※ バイオロギングとは、元々は水中で目視できない海洋生物に加速度ロガーなど小型のセンサーを装着し、生態行動を調査する研究手法。Catlogは、この技術をベースに開発されている。現在、同社ではバイオロギング研究の先端研究室である、東京大学 大気海洋研究所 海洋生命科学部門 行動生態計測分野の佐藤克文教授らをアドバイザーとして迎えている。

 

> そこから「Catlog」の構想を思いついた経緯についても教えて下さい。

 

一人の飼い主として、「飼い主が見ることの出来ない猫の時間は意外と多いな」と感じていたのがきっかけです。

猫は留守番をするのが得意な動物・ペットと思われがちで、週に5日以上自宅に猫を留守番させている飼い主が全体の約7割にあたります。仕事のことなど、やむを得ない事情があるにしても、飼い主側の気持ちとしては(今何しているだろう?)(今日は元気にやっているかな?)というのは常に気になっているんですよ。

ただ実際、それに対して何か対策が出来ているか?というと、6割の飼い主が「出来ていない」と答えている現状もあります。

私の家庭でも、ペット専用の見守りカメラなどは付けているのですが、カメラには映らない時間があったり、カメラが何か猫の変化を教えてくれるわけではないので、そこには”(カメラが)付いている”という安心感だけしか残らなかったりします。

加えて、日々の小さな変化に気づけない弊害として、病気になった時の処置の遅れなども問題として起きていたりもしています。獣医さんに「いつ頃から変化がありましたか?」と聞かれても、毎日見ているわけでもないので、「そういえば、一週間くらい前から・・」程度の歯切れの悪い問診が現場では行われていたりもします。

(こういった飼い主の課題を解決する手段って何かあるんだろうか?)と考えた時に、

学生時代に研究した“人間が見ることの出来ない動物の時間を見えるようにする” バイオロギングを「家猫に応用すれば良いのではないか?」と思ったのがスタートです。

 

> なるほど。その構想から、実際に起業をするにはどのような経緯があったのでしょうか?

 

リクルートを退社後、スタートアップに転職するのですが、そこで「人生で与えられている時間をどう使うのか?」を少しずつ考えていく様になっていったのと「人に雇用されるのを辞めたいな」と考える様になりました。

そのタイミングでCatlogの構想を思いつき始め、(猫にバイオロギングを使って何か出来ないか?)というのを本格的に考え始めました。リクルートにいたこともあり、周囲で先に起業し、相談が出来る仲間もいましたし、私の主人がスタートアップの執行役員をやっていたりする夫婦間の事情もあったりで、家庭でもブレストをするなど、どんどん現実味を帯びた形になっていきました。そして、昨年12月に大学時代の恩師である佐藤教授に相談をし、本格的にアンケート調査から市場ニーズをヒアリングしていったところ「どうやらコレは猫好きな人にとって、ニーズのあるプロダクトなのではないか?」ということが分かってきて、起業をしようと決意しました。

 

今後について

> サービスリリース後の長期的な展開についてお教え下さい

 

ゆくゆくはCatlogに蓄積されるデータを使って、動物病院と連携し、獣医さんに使って貰ったり、ペット保険やペットフードといった、猫に絡んだ最適なものを提案出来るようなサービスへの展開も視野に入れています。猫に関連するデータが集まる「猫研究所」化していきたいと思います。あ、猫総研でも良いですね!

 

> 一同:(笑)

 

> 最後に記事内でお伝えしたい告知事項があれば教えて下さい。

 

はい。現在弊社ではエンジニア・インターン・猫をそれぞれ募集しています。

・機械学習エンジニア

・学生インターン(Pythonが触れると尚可)

・行動データを取らせてくれる猫様

興味のある方は、お気軽に弊社までお問合せ下さい!

 

> 猫好きにとっては天国みたいな職場でしょうね。本日はありがとうございました!

 

猫とプロダクトのことを一日中考えたい方にとっては、きっと幸せな職場になると思います。

今日はありがとうございました。

̃Gg[͂ĂȃubN}[Nɒlj

人気の記事

最新記事

カテゴリー

タグ