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倒産を乗り越え、二度目の挑戦へ。(株)タバネル奥田和広氏【起業インタビュー75回目】

公開日:2018.08.15

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起業に踏み切れない理由の一つとして、「失敗するかもしれない」というネガティブな要素は少なからずあるのではないでしょうか。失敗したとき、起業家は何を想うのか?倒産を経験し、二度目の挑戦をスタート。今度は、自身の経験を踏まえて、中小企業に組織づくりに貢献する起業家のお話を伺いました。

 

プロフィール(株式会社タバネル 代表取締役 奥田和広氏)

1975年生まれ。一橋大学商学部卒業。幼少期より父がアパレル卸業を経営していたため、卒業後は勉強のために上場アパレル企業の株式会社ワールド、銀行系コンサルティングの株式UFJ総合研究所を経験後、父の会社に戻り、1からアクセサリー事業を開始。8年で40店舗170人を超える規模にまで成長させるが、既存アパレル卸業の苦戦、アクセサリー事業の無理な成長で低迷し、東日本大震災後に倒産。その後、百貨店化粧品ブランドのマーケティング責任者、美容サービスの新規事業責任者を経て、組織マネジメントのコンサルティング企業株式会社識学にて、コンサルティングおよび育成、メニュー開発を担当。Googleなどで使用されている目標管理手法OKRを用いた組織強化のコンサルティングとソフトウエア販売を行うため、株式会社タバネルを創業。

 

株式会社タバネルについて

 

> 株式会社タバネルについて、お教え下さい。

 

はい。タバネルという名前は「組織の力を束ねる」から取っており、組織が持つ力の結束を通じた、会社の成長や拡大の支援をさせて頂いております。メインの事業は、組織マネジメントのコンサルティングと、その仕組みとしてのOKR(※)の導入といったことをしております。

※「目的(Objectives)」と「重要な結果指標(Key Results)」の略称。

 

> 組織マネジメントのコンサルティングというと、具体的にはどんなことをされているのでしょう?

 

弊社では、経営層の方に向けた組織づくりの考え方の部分であったり、後はそれを仕組みとしてキチンと定着させていく為の目標への落とし込み等がそれに当たります。

組織には大きく言うと二つの機能が必要で、一つ目は、誰が何をするのか?といった「分業機能」。二つ目は、それを「調整する機能」。この「分業」と「調整」を組織でつくっていくのですが、それを具体化するものとして、”目標”や”役割”や”責任”といった部分に落とし込まれていきます。そこまで落とし込んだものを顧客と一緒につくっていくといった形です。

 

> なるほど。どれくらいの規模の組織が対象となってくるのでしょうか?

 

弊社では、創業間もない会社から100名規模までの会社を中心としております。

理由としては、私自身が過去に起業をした経験の中で、0から170名まで組織を拡大・マネジメントした経験と、結果それをダメにしてしまった経験を踏まえ、その過程で起こりうる組織づくりのつまずきを、過去の経験や組織コンサルのノウハウを通じた支援が出来ればと思っています。

 

> 競合他社と比べた際の御社の優位性についてもお教え下さい。

 

目標管理の一つでもある「OKR」という手法を用いて、コンサルティングをさせて頂いています。この手法自体は、元々はインテルで開発されて、外資系企業であればGoogleでも活用されており。国内では、メルカリやSansanといったメガベンチャーでも取り入れられている目標管理の手法です。

 

> その「OKR」とは具体的にどんな手法なのでしょうか?

 

弊社では「目的(Objectives)」と「重要な結果指標(Key Results)」と訳してお伝えしており、組織の目的(定性的な部分)と重要な指標(定量的な部分)の2つを常に見るという手法となっています。

従来の目標管理との違いは、まずOKRは大前提として「組織の目的達成の為の目標管理」ということを前提としています。その為、上司と部下の関係で握られている人事評価と違い、OKRは全社員にフルオープンで公開されています。それによって、組織の目標を全員で達成していくという結束を生みます。また、目標の振り返り期間も変わっており、三ヶ月に一度目標数字を設定し、その立てた目標に対するフィードバックは毎週実施します。かつ、「重要な指標に絞って、野心的な目標を立てる」ことが大切です。これが人事評価であれば、(低い達成率だと給与が下がってしまう・・)といったことを危惧して、どうしても現実的なラインに落とし込まれてしまうのですが、人事評価とは直接的に連動しない為、背伸びをした高い目標を立てることが可能になるのです。

OKRとは、目的と指標の両方を見つつ、かつ、それを組織全体で追いかけることで、従来の数字だけの指標だけでは出てこない社員からの意見も活発にし、全員でそれを達成する為の意識と行動の変革を起こしてくれる手法です。

 

倒産を乗り越え、二度目の挑戦へ。

新卒でアパレル大手のワールドに入社し、その後、銀行系コンサルを経験し、父親の会社を継承する意図でアパレルの卸売会社へ入社。ご自身で一からアクセサリーの小売事業も立ち上げ、8年間で42店舗・170名までの事業にまで拡大をさせた。しかしながら、リーマンショックを機に業績が悪化し、既存事業の苦戦と無理な拡大が影響し東日本大震災後に会社は倒産へ。辛い経験をしながらも改めて起業に至った経緯や、当時のことについてもお話を伺いました。

 

> 当時を振り返ったとき、経営者としてこうしておけば・・といったことなどありますでしょうか?

 

幾つかあるのですが、一つ目は、「経営者はスーパーマンではない」ということを実感しました。当時の私は、経営者は、現場も見ながら、組織の戦略・経営的な部分も見なければいけない、”スーパーマン”にならなければいけない、と自分に思い込ませていた部分がありました。ただ、組織である以上そうであってはいけなくて、個人で出来る力には限度があります。私自身が現場が好きだったことも作用し、経営者の仕事として大事な「戦略決定や組織の方向性を定める」といった業務に割く時間を削ってしまっていたことも失敗の要因かと思います。やはり企業(組織)である以上、組織の立てた「目的に向かう」ことを忘れてはいけないと思います。ただ、その目的を定めるのはトップの役割なので、従業員が100名規模までは上手くいっていたマネジメントですが急拡大しステージを変えていくべきなか、そういった本来経営者としてやるべきことにブレや抜けが生じていたことは反省すべき点です。

結果として、視野狭窄に陥ってしまい、収益事業と並走した、第二・第三の事業戦略を考ることが後手に回っていました。当時の私は、接客力を高めることに時間とお金を投資しており、それ自体には結果も出ていて、施策として間違ってはいなかったと思うものの、小売や多店舗展開で障害となってくる「固定費を下げていく様な施策」や「接客をしなくても売れる仕組み(EC展開など)」に頭を使うことが出来ていませんでした。なので二つ目をあげるとすれば、今起きている事象だけに目を向ける「視野狭窄にならない」といった点も反省点としてあげられます。

 

> 倒産という経験は起業を志す方であれば、誰もが不安要素として抱えていることなのかと思うのですが、その中で一番辛いことは何だったのでしょうか?

 

金銭的な話をすればそれは勿論大変ですし、父親がつくった会社を倒産させてしまった、といった個人的な想いもありましたが、私が一番辛かったのは、幸か不幸か私をトップとして付いてきてくれていた従業員や、これまで取引をしていた協力企業様を、「切らなければいけない」という、その決断がとても辛かったです。

 

> それでも、もう一度起業家としての道を選んだ経緯についてもお教え下さい。

 

あの失敗をもう二度と味わいたくない、という気持ちと並行して、「このまま終わりたくない」という気持ちを常に持っていました。中小企業の経営、そして倒産という経験を通じ、漠然とではありますが、中小企業を支えていける様なことをしたいと常々考えていました。経営層、中間管理職というマネジメント経験と組織マネジメントのコンサルティング経験を併せ持つ自分の強みと、OKRの考え方がバチっとハマり「コレだ!」と思い、起業に至りました。

 

今後について

 

> 組織・事業の中長期的な展開についてお教え下さい。

 

OKRを用いた組織マネジメントのコンサルティングは一つの手段であり、弊社の目的は「中小企業をより元気すること」です。私は、中小企業が今より組織の力を発揮出来る様になれば、もっと日本は元気になると思っていますし、その結果として、私が経験した様な苦しい思いをする人も減らせると考えています。これからも、”中小企業を元気にする・苦しまない状況をつくる”組織づくりのコンサルティングを通じた事業を展開していきます。

取材・会場協力:DIAGONAL RUN TOKYO

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