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牛乳にそそぐ、真っ白な愛情。好きから生まれた「ミルクマイスター」という活動【起業インタビュー第54回】

公開日:2017.12.20

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好きなことに情熱を注ぐ人の話は魅力的だ。今回のインタビューを通じた率直な感想です。〇〇好きと公言する人は周りでも多く、かくいう私も、幾つかの〇〇好きを公言する1人ですが、自分の好きなモノゴトを相手に伝播できるほどのエネルギーを発して喋れているだろうか?「牛乳が好き」という、ただそれだけで始まった活動に一点の濁りもない真っ白な情熱を注ぎ続ける起業家の話を聞きました。

 

ミルクマイスター高砂氏

山形県寒河江市生まれ。2002年名古屋学芸大学デザイン学科卒業後、広告制作会社に入社。その後、(株)原宿サン・アドを経て、2010年にデザインの高砂設立。 独立後、練馬のフリーマガジン「nerimaga(ネリマガ)」の発刊、日本一牛乳好きなデザイナーとして、ミルクマイスターの活動を始める。オリジナルキャラクター「ミルクのケビン」の立ち上げや、全国の酪農家を取材し、その言葉を消費者に届ける「MILK新聞」を発行、酪農とその土地のものとのコラボレーションでミルクの多様性と楽しさを消費者に伝えるプロジェクト「ずっと夢MILKPROJECT」も展開。2016年、株式会社SLEE PRODUCTION設立。

 

(株)スリープロダクションの事業内容について

 

>個人の活動の前に本業の話も伺えればと思います。普段は、どんな事をお仕事とされているのでしょうか?

普段は(株)スリープロダクションという会社を経営しながら、私自身デザイナーとして、ブックデザイン、ロゴ・キャラクターデザイン、プロダクトデザインなどを企業や個人の方から依頼を受けてデザイン制作をしています。ロゴやブランディングに関わるデザインが得意です。

 

牛乳好きから生まれた「ミルクマイスター」という肩書き

>ミルクマイスターとは、どんな活動なのでしょうか?

肩書き自体は、2年前に私が勝手に名付けました。

定義としては、「牛乳を愛している、そしてその魅力をひろく伝えたいと思っている人」のことをミルクマイスターとしており、現在は日本で1人。まあ、僕だけなんですけど。

>一同:(笑)

正しい知識を伝えて、魅力と安心感を伝えるというのが活動の軸です。

牛乳って色んな情報が錯そうしている部分もあって、情報によっては、牛乳が身体に良くない等の判断をされる事もあり、飲まれること自体が機会として無くなる事もあります。ただ、好きを公言するだけでなく、正しい情報を伝えながら、魅力を伝えていくのもマイスターとしてとても大事な活動です。現在は、

・SNS情報発信(ミルク新聞、Instagram:@milkmeister

・フリーマガジン

・イベントへの参加 / 登壇

といった活動がメインになります。

>活動に至るまでには、どんな経緯があったのでしょうか?

物心ついた時からずっと牛乳は好きでした。家の冷蔵庫には常にありましたし、何か機会があれば牛乳を飲んでいた気がします。気がついたらそこにあったというか(笑)

好きから行動に派生したのは大学生の時です。「牛乳が飲まれなくなっている」というニュースを目にして、(もしこんな牛乳があったら、もっとみんなが牛乳を飲むのではないか?)と考え始め、自分で牛乳をデザインし始めたのがスタートでしたね。

そこから就職して、計4年ほど企業に所属してデザイナーをしていました。

そこでは消費者向け商品のデザインなどを担当していましたが、デザイナーという仕事柄、中々外に出る機会もなく、オフィスに籠りながら、日常生活で手に取られる商品をデザインしている自分にどこか違和感を感じていました。

デザインに触れる人たちの気持ちになってモノづくりをしたいというデザイナーとしての自身の理想と、手に取るお客さんの理想を限りなく近づけたデザインをし続けたいという想いと、自分自身も好きなことをしたい、という想いがあり、大好きな「牛乳」をテーマにした雑貨屋の経営とデザイナーという二足のわらじからスタートをしたのがきっかけです。

※当時、高砂さん経営していた雑貨屋(現在は店舗は閉鎖しています)

 

>ミルクマイスターとしての活動の目的はどんなところにあるのでしょうか?

大きくは2つです。

・(牛乳を)好きになってもらう事

・牛乳自体のReブランディング(イメージを変える為の活動)

牛乳自体のReブランディングで言うと、まず皆さんの日常のシーンで好き好んで牛乳を買う機会ってあまり多くないのではないでしょうか?例えば、デート前の待ち合わせに牛乳飲んで待ってないですよね?

>はい(笑)

多分それって牛乳が持っているイメージにリンクされる部分があって、要は「カッコ良くない」と思われているから。スタバのカフェラテならカッコ良いのに、牛乳はダメだと思われる。

活動の最終目的には、そういった行為や消費者の意識までデザイン出来たらと思っています。「何故、そのシーンに牛乳はダメなんだろうか?」そんな世界観の価値転換まで、いずれは変えていきたいですね。

 

経営者とミルクマイスター、二足のわらじがもたらす思いがけない出会いと機会

会社経営・デザイナーという側面を持ちながら、ミルクマイスターとしての活動を続けてきたこれまでに関してもお話を伺いしました。

 

>これまでの活動が、ビジネスや思いがけない出会いに繋がったといったエピソードはありますでしょうか?

実際にイベントに参加してくれた方から、化粧品ブランドのデザインを依頼されるなどといった事例はあります。後はミルクマイスターの活動を発信していくことから派生して、今は専門学校の授業を請け負うといった事もしています( ずっと夢Milk Project

 

>経営者という側面を持ちながら、興味関心分野に時間を投資する事は大変ではないですか?そこで得られているものなどあればお教え下さい。

1番大きいものは「出会い」です。

本業と違う活動をしていることで拡がる人脈や、そこで受けるインスピレーションがデザインや本業に還元されたりなど、自分の所属している輪を拡げることで得られる出会いから生まれるものに価値を感じています。

 

「まずは1人で出来る世界観で考える」やりたいを形にする小さな一歩目

「××をやりたい!」を形にするには何から始めれば良いのか?「好き」から肩書き・活動に移してきた高砂さんから、行動まで移せない方に向けたアドバイスを聞きました。

やりたい事や実現したい事って、まずは実現したい世界観やイメージの想像から入ると思うのですが、仲間や周りの協力が絶対的に必要な想像だと実現までのハードルが高くなってしまいます。そこから、もう少しブレイクダウンをして、まずは1人で実現出来る世界観を想像して、そこから始めてみるのをオススメします。

今では色んな方に協力を頂いているミルクマイスターの活動も、初めは学生時代に牛乳の容器をデザインしてみるという私自身で出来ることから始めた一歩がスタートでした。

※高砂氏のオフィス。たくさんの牛乳パックが並ぶ。

 

せっかくなのでミルクマイスターに聞きました!

すっかり牛乳の魅力に前のめりな編集部。折角なので、私たちの身近で楽しめる牛乳のあれこれを一問一答形式でお伺いしました!

 

>私たちが持っている牛乳のイメージで誤解があれば、教えてください

牛乳を飲むと「太る」と思われがちですが、牛乳の88%は水分です。脂質も全体の比率からいうとすごく少ない。太るから飲まない、というのは勿体無いです。むしろ栄養価も高く、疲労回復に効果のあるビタミンB1、脂質の代謝において非常に重要な働きをするビタミンB2など、健康・美容効果の高い飲み物なのです。

 

>都内のスーパーでも買える、美味しい牛乳を教えてください

島根県雲南市にある木次乳業が出している「木次牛乳」。低温殺菌で作られ、牛乳本来の甘さが堪能できる一品です。成城石井などのこだわり系スーパーで購入出来ます。

ちなみに牛乳の殺菌方法は、

・超高温殺菌

・低温殺菌

の2つに分けられていて、私たちが普段飲んでいる牛乳のほとんどが超高温殺菌です。早く殺菌ができるので、大量生産される製品に向いている殺菌手法です。対して、木次牛乳にも使用されている低温殺菌は時間をかけてゆっくり殺菌をする為、生産量にどうしても限度が出てしまい、大量生産には不向きです。ただ、その分、牛乳本来の味をより濃く残した味わい深さが特徴的で、この殺菌手法自体はワインにも使われている技術なのです。

※高砂氏のオススメの牛乳。しっかりパックも保存されている。

 

>冬場に楽しめる、美味しい牛乳アレンジレシピを教えてください。

市販の粉末コーンポタージュスープを、是非牛乳で飲んでほしいです。レシピは簡単です。

①牛乳を先にあっためる(レンジ1-2分 ※粉末が溶ける温度を目安に)

②粉末コーンポタージュスープを入れる

③混ぜる→完成

冬場に絶対おすすめです。

 

>牛乳とセットで食べると美味しい食べ物を教えてください

あげパン、ドーナツ、どら焼きなどやっぱり甘みが濃いお菓子が合いますね。

牛乳がうまくその甘さを和らげてくれます。あとは、とびきり苦いカカオたっぷりのチョコレートですね。最近ですと、明治ザ・チョコレートシリーズがオススメ。こちらは逆に牛乳の甘さを引き出してとてもバランスの良いペアリングです。

 

編集後記

これだけ牛乳に対して情熱的な高砂さんだが、実は本業のデザインにおいては牛乳のパッケージデザインの仕事をしたことは1度もないのだという(笑)牛乳のデザインにおいて、彼以上の適任者は日本に存在しうるのだろうか・・この記事をきっかけにミルクマイスター高砂氏と牛乳に対して少しでも興味を持って頂けたら嬉しいと願う編集部でした。

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