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ツールをひとつに、 チームをひとつに。formrunが提案する、あたらしい協働のかたち【起業インタビュー第52回】

公開日:2017.12.14

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一般的なサービスwebサイトにはフォームが設置されていることが多い。しかしこれには、ビジネスサイドからも開発サイドからもさまざまな難点が存在するという。
今回は、その難点を一気通貫に解決するコンタクト管理ツールがあると聞き、取材させていただいた。

 

堀辺 憲(ほりべ けん)氏

mixtape合同会社 共同創業者 COO。
1996年に株式会社クボタ、2004年に3M Japanにおいてセールス、ブランドマネージメント・マーケティング・コミュニケーションに携わる。 2012年より株式会社ディー・エヌ・エーで企業広報に従事、一般社団法人日本ソーシャルゲーム協会(JASGA)の啓発委員も務める。
以降、コイニー株式会社、株式会社ビズリーチ、クリニカル・プラットフォーム株式会社などのIT企業で広報部門の立ち上げやマネージメントを推進。2016年1月にmixtape合同会社を共同創業。サポートチームのためのコンタクト管理ツール「formrun」をリリース。2016年5月にnoco株式会社を設立、代表取締役に就任。(仮称)タップログコミュニティ「noco」の開発に携わる。

 

「formrun (フォームラン)」とは

mixtape合同会社が開発し運営する「formrun」とは、フォームの作成・設置、エントリーフォーム最適化、かんばんによる顧客管理、メール機能、通知連携など、5つの機能がワンストップで利用できる、サポートチームのためのコンタクト管理ツールである。
まずは無料でも始められるという点が何ともありがたい。

 

最短30秒・だれでも簡単にフォームを作成できる

一口にフォームと言っても、「カタログ請求用」「キャンペーン応募用」「会員登録用」「採用エントリー用」「各種お問い合わせ用」と、その用途はさまざまだ。
formrunでは、そのフォーム1つ1つをテンプレートからワンクリックで作成できるという。しかも、カバー・ロゴ画像などのビジュアルもカスタマイズできるというのだ。とりわけスピードが生命線のスタートアップやベンチャーにとっては、うってつけのサービスと言えるだろう。

 

フォームの設置も移行もらくらくスムーズ

ウェブサイトへのHTML埋め込み型のフォームを設置したい場合は、数行のスクリプトコードを使うだけ。既存のフォームからの移行も、そのURLを貼り付けるだけでformrun用のフォームタグが自動生成されるお引越し機能も用意。開発サイドにとっても「やさしい」サービスなのだ。

 

情報を一元管理し、チームで共有できる

メール、フォーム、ファイル、顧客管理データ…。部署内でさえ情報が散開しているケースは少なくないだろう。そして、その情報を集約するのには膨大な作業量を要する。
コンタクトツールをformrunひとつに絞ることによって、あらゆる情報は一元管理され、部署内はもちろんのこと、部署を横断した「チーム」として顧客情報という経営資源をシェアすることができるのである。

 

コンタクト管理ツールに着眼した理由

formrunが開発されるに至ったのは、エンジニアでもある共同創業者・多田雅斗氏とのディスカッションが始まりだったという。

ビジネスサイドの知見・経験を持つ私と、開発サイドのキャリアを持つ多田とで、両サイドを横断する課題を解決するプロダクトの開発を模索していました。
ある時、私が「そういえばwebサイトには必ずと言っていいほどフォームが設置されてるけど、あれは簡単に作れないの?」と多田に尋ねたところ、「いやいや、あれは大変なんですよ。デザイン、データベースの構築やセキュリティの担保、バリデーション、セキュリティ、通知連携など、開発にはすごく手間がかかるんです」という答えが返ってきました。

表面上はシンプルなフォームであっても、その作成は簡単ではない―
それを聞いた時に、堀辺氏はますます課題感を強めたという。

ビジネスサイドの視点から、従来のフォームには大きな課題が2点あるとの結論に至りました。
まず、キャンペーンの展開など、すぐにフォームを作成・設置したい場合が多いにもかかわらず、多田の言うように、開発者でなければフォームを作るのは容易ではないという点です。
もう1つは、フォームに入力された情報がメールのインボックスに届いてしまうケースがほとんどであるという点です。
いくら開発サイドが苦労してフォームを設置したとしても、メールボックスに情報が埋もれてしまうのであれば、従来のメール対応と変わりがないことになります。チームとして担当者それぞれが顧客毎にどのように優先順位を付け、どのようなコミュニケーションをとっているのか、他のメンバーには見えないわけです。

本来、顧客情報は、会社・組織・チーム内における貴重な資産です。にもかかわらず、事業部や役割によって顧客情報がタイムリーに共有・可視化されないことが多々あることは私も体験してきました。このような状況は、業務効率の停滞だけでなく、無自覚のうちに機会損失も招来してしまっています。
顧客へのコンタクトは、one to oneではなく、team to oneであるべきです。担当者レベルで顧客の囲い込みをするのではなく、チーム一丸となってナレッジや成功・失敗の経験も含めて情報をシェアしないと、事業成長の機会を毀損してしまうのではないかと思うのです。

氏は続ける。

このようなビジネスサイドと開発者サイドにおけるフォームの課題と、webサイト草創期から20年来何も変わっていないフォームという仕組みにイノベーションを起こせるのではないかという展望の下、formrunの開発を決めました。webサイトは全世界に10数億あると言われているわけですから、規模的にも挑戦する価値はあるのではないか、と。

 

起業という選択肢

これまで取材させていただいた起業家の皆さんは、20代の方が圧倒的に多い。
そんな中、堀辺氏が起業したのは2015年、43才の時である。筆者と同世代ということもあり、その経緯について興味を惹かれたので掘り下げてお話を伺った。

もともと大手のメーカーに就職したこともあって、その当時の自身のキャリア形成は極めて漠然としたものでした。 ただ眼前に敷かれたミッションやタスクを達成することに集中する日々で、近視眼的だったと言えます。
その後、DeNAに転職した時、新入社員をはじめ起業家精神の旺盛さに非常に驚きました。「起業ってそんなに簡単にできるの?」と思いましたが、彼らは皆有言実行で、何年も勤めないうちに本当に起業してしまう(笑)

事業の三大要素が「ヒト・モノ・カネ」であるとはよく言われることですが、メーカー在籍時はモノ(ファシリティ)が起業のネックになると思っていたんです。ところが、ITだと必要なインフラさえあれば、そこはネックにならないということを知りました。
とはいえ、起業という選択肢が自分の中で最終的に腹落ちしたのは、多田との出会いに依るところが大きいですね。「起業に関する知識や経験がなければ起業はできない」という自縛から解放され、「世の中にないものを創り出して価値提供しよう。箱(会社)を作るのは手段であって目的ではない」と発想の転換ができたからです。

思い立ったが吉日、という諺もあるが、そうはいっても40才を超えての起業とは誰にでもできることではない。そのチャレンジ精神にはただただ感服するばかりだ。

 

起業の対価

そんな堀辺氏が起業して得られた対価は3つあるという。

 

所得としての対価

起業して、1円10円利益を上げることの大変さを痛感しました。お恥ずかしいお話ですが、起業するまでは会社から頂く給与明細について何も思慮することがありませんでした。
世の中の課題解決につながるサービスを提供すること、その結果として弊社がお客様から対価を頂けるのだなと、起業してからあらためて理解を深めました。

 

キャリアとしての対価

企業人として勤務していただけでは得られなかったであろう経験や知識、リレーションを得ることができていると実感しています。
また、起業したことで、事業におけるさまざまな部門の皆さんがそれぞれの側面でサービスを支えているんだと理解し、視野が一気に広がりました。サービスは作るだけではなく、セールスもマーケティングもファイナンスもリーガルも含めて体を成すわけですから。

 

自己欲求の充足という対価

自らの手を直接動かして、本当に困っている方の課題解決に貢献したという充足感や幸福感、組織のパーツとしてではなく1キャストとして社会に価値提供する醍醐味は、起業家であるからこそ得られる対価だと考えています。
一方で、顧客からの期待や責任も背負うわけですから緊張感も大きく、オン・オフの切り替えという時間軸の感覚が無くなりました。顧客の期待を上回る価値を提供し続けて、事業をしっかりグロースしていくことにコミットし、日々ミッションに取り組んでいます。

 

これらの対価を得ることを自身の喜びとできることができるかどうか。
起業を検討されている方にはぜひ参考にしていただたい。

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