起業というとまっさきに思い浮かべる形態は、個人事業主、株式会社、合同会社だと思います。
確かに、新会社法の制定により最低資本金制度がなくなって株式会社設立のハードルが下がったことや、合同会社という新しい選択もできるようになったことにより、「会社」の設立はとてもしやすくなりました。
しかし!起業する方法は必ずしも「会社」だけではありません。
非営利法人でも起業ができるのです!
非営利法人って?
そもそも非営利法人にはどのような種類があるかご存知でしょうか。
おそらくすぐに思いつくのは、NPO法人かもしれません。けれどもその他にも、一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人、公益財団法人といった法人もあるのです。
ただ、NPO法人や公益法人は、事業や報酬に規制があるなど、起業する手段として考えた場合は、必ずしも使い勝手の良い法人形態とは言えません。
そこでおススメなのが、一般社団法人(【番外編】一般社団法人ってそもそもなに?もご参照下さい)です。
一般社団法人が適している場合
一般社団法人=非営利法人というと、利益をあげてはいけない、役員や従業員に給料を払ってはいけない、普通の事業を行ってはいけない、といったイメージがある方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
一般社団法人は、行える事業内容に縛りはなく、役員や従業員にお給料を出すことも問題ありませんし、利益もしっかり出すことができます。
さらに、一般社団法人でもできる、というよりも、あえて一般社団法人の方が適している、というような場合もあります。例えば、以下のような場合です。
認定・検定事業を行う場合
認定や検定を行う場合には、その母体が株式会社や合同会社であると、営利目的である印象が強調されてしまい、受講生を集めにくくなる可能性があります。
そこで、非営利法人である一般社団法人を母体として選ぶことで、広く多くの人に資格や検定にチャレンジしてもらいやすくなります。
啓発・啓蒙活動を大きな目的にしている場合
物を売る、お店を経営する、といった事業ではなく、何らかの情報提供や啓蒙・啓発のためのセミナーや講演会などが主な事業となる場合、いわゆる営利的な印象が強くなる会社よりも非営利法人の方が向いている場合があります。
啓蒙・啓発活動においては、より多くの人に知って受け入れてもらうことが重要ですので、その企業だけが得をするようなイメージとなる会社より非営利法人の方が受け入れやすいのです。
業界団体的な位置づけの組織を作ることを目的にしている場合
同業種の会社や団体をまとめたり、何らかの目的を持って同業者が集まるような組織として、一般社団法人を活用することができます。
企業を集める方法では組合と言った形態もありますが、法人にすれば、権利主体となることも同業種の企業を会員として管理することもできるため、さまざまな目的に活用することができます。
おわりに
このように、ひとことで「起業」と言っても、その事業内容はさまざまで、一般社団法人が適している場合もあります。しっかりとその形態ごとのメリットデメリットを知った上で、起業の目的や事業内容に最も適した形態を選べると良いですね。