こんにちは。行政書士の宗岡司です。
今回は、株式会社の設立までの流れの後半記事になります。
会社法が改正され、1円で株式会社が設立できるようになるといわれ10年が経過しました。
「1円で会社の設立」と言われますが、実際には1円で設立することはできません。
正しくは「(資本金が)1円で設立」できる、というわけです。
それでは、株式会社の設立までに掛かる実際の費用をオーソドックスな株式会社の設立を例に勉強していきましょう。
前回の記事で会社の設立までに4つのステップがあるという説明をしました。
①定款の作成
②定款の認証
③出資金の払い込み
④登記の申請
①~④に掛かる費用を1つ1つひも解いていきましょう。
①定款の作成
定款の作成をご自身で行った場合、掛かる費用は紙代と印刷代のみです。
②定款の認証
定款の認証を行う場合、通常の認証と電子認証という2つのパターンがあります。
通常の認証の場合、印紙代40,000円+公証役場での認証代50,000円+謄本代等で2,000円程度が必要になります。
電子認証を行うと、印紙代40,000円は不要になりますが、電子証明書(有料)の取得やアクロバットの導入などをしなければならないため、非常に手間が掛かります。
そのため、行政書士や司法書士、税理士事務所ではない限り一般の方が電子署名を使うというのはあまり想定できません。
③出資金(資本金)の払い込み
出資金の払い込みを行います。
定款で定めた資本金の額の払い込みを行うので、100万円であれば100万円、1,000万円であれば1,000万円が必要になります。
④登記申請
株式会社の設立登記には15万円の収入印紙が必要になります。
収入印紙は法務局の中に設置されている印紙売り場で購入できるので、登記申請の際に現金で15万円を持参すれば大丈夫です。
⑤その他の経費
会社の設立をする際には①から④の申請手数料だけではなく、他にも用意をしなければならないものがあります。
・代表印(実印)や銀行印
「株式会社○○代表取締役の印」と入っている印鑑です。
通常は実印と呼ばれる法務局に登録する印鑑と銀行印と呼ばれる口座の作成や金融機関等に書類を提出する際に押す印鑑の2つは最低でも必要になります。
今は水牛のものであれば、1万円以下の安価で作ることも可能ですが、良いものを作成すると数万円は掛かります。
・印鑑登録証明書
公証役場で定款の認証をする際に、発起人全員の印鑑登録証明書
法務局で登記申請をする際は、取締役全員の印鑑登録証明書
発起人と取締役を兼ねる場合であってもそれぞれ1通ずつ必要になります。
証明書の取得には1通200円から300円(自治体による)が必要になります。
まとめますと、ご自分で会社を設立する場合、資本金が1円であっても、以下のように25万円以上を準備しなければなりません。
・公証役場での手数料:92,000円
・法務局での手数料:150,000円
・印鑑登録証明書:200円~300円×人数×2枚
・代表印の作成費用:数千円から
・資本金:1円から
合計:約25万円から
補足
なお、資本金は商業謄本にも表示され、銀行や取引先に提出することもあるため、資本金1円の会社では信用が得られないということで、最低でも資本金は300万円ぐらいから始めるケースが多いのが現状です。