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24365で世界を繋ぎ、争い事を無くす~理論と情緒が同居するクリエイティブの大いなる構想【起業インタビュー第29回】

公開日:2017.06.22

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株式会社WORSHIP

争い事がすごく嫌いなんです。どうすればそれが無くなるかをずっと考えていました。

はたして若き起業家の出した答えとは――。

 

西川 洋貴(にしかわ ひろたか)氏
1987年兵庫県生まれ。
祖父の影響を受けて建築を学び、2009年から建築事務所で活動を開始。その後、クリエイティブとして活動して2016年にWORSHIPを設立。
建築で培ったロジカルな思考とクリエイティブで培った柔軟な発想、多様なアプローチを武器に国内外のさまざまなプロジェクトに参画。
現在は、株式会社WORSHIPで代表取締役、株式会社青い鳥で取締役を勤めながら、中東・東アフリカ・東南アジア、北ヨーロッパ、北アメリカを中心に活動中。

Photo Taken : Riomar Mccartney

 

争い事を無くすための「解」

その解を導くまでの西川氏の途中式は、聞いていて見事にロジカルだった。まるで数学の証明問題に対する、美しい模範解答のように。

子どもの頃、カブスカウトに入っていました。そこでは、協調性やチームワークの必要性を学び、また、自然に触れることによって慈愛の大切さも学びました。
ところが、いざ外に目を向けると、世界は争い事に溢れています。あちこちで戦争が起こっていますし、それにより多くの人が亡くなっているのが現実です。

私は、幼い頃から争い事がすごく嫌いでした。争いのない、あるべき世界と、争いの絶えない現実世界。このギャップを埋めるには、世の中から争い事を無くすにはどうしたらいいだろう、とずっと考えていました。
そして、個々人が心の豊かさを持つことによって争い事は無くなるのではないか、という自分なりの結論に至りました。

心の豊かさを持ち、人に優しくするためには、まずは自身の生活が安定していなければなりません。
では、どうすれば個々人の生活が安定するか。世界を、国、企業、個人というレイヤー(階層)に分けたときに、企業の活性化が鍵なのではないかと考えました。

企業が活性化すると、税収が伸びて国が潤います。一方、インセンティブやボーナス、昇給という形で個人への還元も実現します。
そこで、企業のプロモーション活動などを支援すべくクリエイティブ事業を、企業の情報漏洩などを防止すべくサイバーセキュリティ事業を手掛けることにしたのです。

 

具体的には、クリエイティブ事業では、自身の広告代理店での経験も活かしつつ、サイト制作・運用、システム開発、アプリ制作、ヘアメイクも含めた動画の撮影などを、サイバーセキュリティ事業では、サイトの脆弱性診断、クラッキング(ハッキング)防止・対応、セキュアコーディングなどを展開しているという。

 

事業ドメイン

「親和性が高い」というクリエイティブ事業とサイバーセキュリティ事業。それぞれのドメインについて伺った。

クリエイティブ事業

今の時代、サイトを作るだけなら誰にでもできるじゃないですか。でも、ビジョンがないと価値はありませんし、ビジョンがあるからこそ事業ドメインが生まれるのだと私は思っています。
そして事業者は、どのような価値を提供してその対価をいただくかを考えるべきです。

デザインは、とてもロジカルで緻密なものです。使用する写真やフォント、カラーにはじまり、コンテンツを配置する1pxといった細部に至るまで、その意図、意味をお客様にお伝えするようにしています。

1px単位までこだわっていたとは。
もっとも、グラム単位、ミリ単位でバットを調整する一流のプロ野球選手と同様のこだわりと考えると合点がいく。

 

サイバーセキュリティ事業

サイバーセキュリティは24時間365日稼働しなければなりません。ですから、世界地図を時差で縦割りにして24365(ニーヨンサンロクゴ)で稼働できるよう、世界中に拠点をつくり、ネットワークを構築しているところです。
最近ですとベトナム、スリランカ、イスラエル、メキシコ、韓国など、これからはバングラディッシュ、ウクライナ、エストニア、アフリカ諸国などへの展開を予定しています。世界をちょっとずつでもよくしていきたいです。

「ちょっとずつでも」というのが本気の証左だ。実にかっこいい。

 

起業のルーツ

今思えば、幼少期から起業を選択する環境にいたのかもしれません。祖父も父も母も起業していましたから、「勤めに出る」という観念がなかったんです(笑)
当初は、祖父の建築系の会社を継ぐつもりで建築学を学んでいましたが、(有体物である)建築物と異なりボーダレスのITは、ひとつのサービスやプロダクトで70億人を幸せにできる可能性があること、小学生からパソコンに触れ、15才の頃から友人と一緒になってプログラミングを学んでいたというバックボーンがあったことから、IT業界に転身しようと決めました。「争い事を無くす」ために自分が身を置くべきはここだ、と。

建築とIT。一見全くの畑違いのようにも思えるが、西川氏の中では両者は有機的に連動しているそうだ。

建築を学んだことは今でも大きく役に立っています。建築は、人の命に関わるものであるゆえ、極めてロジカルな考え方基づいて情報設計を行うからです。
IT業界でいうところのUI(User Interface)、UX(User Experience)は、建築で例えると「敷地から家屋への導線」などにあたると思います。いずれも緻密な計算の下に設計されるものなんです。

 

ロジカルとエモーショナル

多くの場合、「ロジカルである」ことはプラス評価であろう。ただし、ややもすると、ロジカル→理詰めで合理性重視→情緒・感情軽視→ドライ・薄情、というマイナス評価へと繋がりかねない。
さて、西川氏は「ドライ」な方なのか。

一緒に働けるのは「争いを無くしたい」というビジョンに共感してもらえる人です。私たちのような小さな会社にとっては、教育コストを誰にかけるかということはとても大事ですから、長く一緒に働くためにはビジョンへの共感が鍵だと思っています。

次の話で、私は思わず声を上げてしまった。「え、そんなことなさってるんですか?」と。

採用決定時には、関東近県であれば、本人のご家族(ご両親、奥様など)にお会いしに伺うようにしています。本人がどのような仕事をするのか、その仕事が社会にどのような貢献をもたらすのかをご家族に知っていただきたいからです。
併せて、自分の人となりを知っていただきたいということもあります。本人、ご家族、私(会社)の3者間で連携しながら絆を固めていければいいな、と。

「いずれは、昔ながらの温泉旅館を貸し切って、家族も含めた社員旅行もしたい」と楽しそうに語る西川氏。どうやらロジカルとエモーショナルは同居することができるようだ。

 

将来の構想

「24365で世界を繋ぐ」という壮大な構想だけでも心躍るが、西川氏の構想にはまだその先があった。

まずはIT事業(クリエイティブ、サイバーセキュリティ)で経営基盤を固めて、教育事業へ投資したいと考えています。個々の生活がよくなったときには“何に投資するか”という問題は非常に重要な問題になると思っています。
それから、自然エネルギー・再生エネルギーの開発に携わることを考えています。エネルギー問題はしばしば戦争の大きな原因となりますよね。それが解消できれば争い事もなくなるのでは、そう思っています。

 

編集後記

西川氏に公開前の草稿チェックをお願いした。
数日後、書き手である私の逡巡をすべて見透かすかのような見事な赤入れ原稿が戻ってきた。

「西川さんは天才ですよ」
そういえば、私に西川氏を紹介して下さった方はそうおっしゃっていたっけ。

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