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労働条件の明示について

公開日:2017.04.03

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労働者の雇入れにあたって労働条件を明示せず労働契約を締結すると、認識の相違などによりトラブルが生じることが予想されます。そこで、労働基準法は、労働契約の締結に際し、使用者は、労働者に対して一定の労働条件を明示しなければならないと定めています。

労働条件の明示事項

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければなりません(労働基準法15条1項)。

この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければなりません(労働基準法15条1項但書)。

使用者が労働条件を明示しなかった場合30万円以下の罰金に処せられます(労働基準法120条1号)。但し、明示がない場合でも労働契約自体は有効に成立すると考えられています。

明示事項の中には、必ず明示しなければならない絶対的明示事項と、定めがある場合には明示しなければならない相対的明示事項があります。

 

【絶対的明示事項】

・労働契約の期間に関する事項

・期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項(有期労働契約であって当該契約の期間満了後に当該契約を更新する場合があるものの締結の場合に限る)

・就業の場所及び従事すべき業務に関する事項

・始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、労働者を2組以上に分けて交代に就業させる場合における就業時転換に関する事項

・賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期、昇給に関する事項

・退職に関する事項(解雇の事由を含む)

 

【相対的明示事項】

・退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法、退職手当の支払の時期に関する事項

・臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与等、最低賃金額に関する事項

・労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項

・安全及び衛生に関する事項

・職業訓練に関する事項

・災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項

・表彰及び訓練に関する事項

・休職に関する事項

労働条件の明示方法

労働契約締結の際に労働者に対して口頭又は書面で明示しますが、絶対的明示事項(昇給に関する事項を除く)は、書面の交付により明示しなければなりません。

書面で明示すべき労働条件については、当該労働者に適用する部分を明確にして就業規則を労働契約の締結の際に交付することとしても差し支えありません。

東京労働局が 労度条件を明示するためのモデル様式(労働条件通知書)を公開していますので参考にしてください。

 

パートタイム労働者の場合

パートタイム労働法では、労働基準法の明示義務に加えて、「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」の3つの事項を文書の交付など(3つの事項についてはパートタイム労働者が希望した場合は電子メールやFAXでも可能)により、速やかに、パートタイム労働者に交付することが義務付けられています。違反の場合、行政指導によっても改善が見られなければ、パートタイム労働者1人につき契約ごとに10万円以下の過料に処せられます。

上記の3つの事項以外については、文書の交付などによることが努力義務とされています。

 

明示された労働条件が事実と相違する場合

法15条1項の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合には、労働者は、即時に労働契約を解除することができます(労働基準法15条2項)。

この「明示された労働条件が事実と相違する場合」とは、明示された労働条件の全てを指すのではなく、明示された労働条件のうち法15条1項によって明示すべきこととされている労働条件(絶対的明示事項及び相対的明示事項)が事実と相違する場合に限られます。

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投稿者について
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綴木 晴彦

1982年生まれ。中央大学法学部卒、中央大学大学院卒。教育系の企業にて執行役員として新サービス開発などを統括。ビジネスマンのキャリア開発、資格取得の支援などを行う。その後、人材系のベンチャー企業である株式会社ネオキャリアに参画し、事業部長として新規事業開発に従事。社内起業として行政書士法人jinjerを設立。外国人の就業支援・ビザ取得支援、会社設立支援、企業の資金調達支援、補助金取得支援などを行う。

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