【起業インタビュー第13回】車好きの、車好きによる、車好きのための「とんがりガールズ」 交通事故ゼロへの切なる願い|起業サプリジャーナル

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【起業インタビュー第13回】車好きの、車好きによる、車好きのための「とんがりガールズ」 交通事故ゼロへの切なる願い

公開日:2017.02.20

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わが子のようにまごころを込めてゼロから育てた雑誌が休刊する、という経験をしました。 そういう悲しい思いをしないためには、自分で媒体を作るしかない、そう思ったのが起業のきっかけです。

会社を興して7年目の女性起業家はそう語る。

 

鈴木 珠美(すずき たまみ)氏
カーライフアドバイザー/モータースポーツ記者/ヨガ講師。株式会社三栄書房での編集部員を経て独立。
その後、女性のためのカーライフマガジンの編集長を経て、車の楽しみ方、付き合い方レシピ等「車生活」をあらゆる角度からプロデュースするオフィスタマ株式会社を設立。
個人では、カーライフアドバイザーやドライブデート評論家として執筆、ラジオ、テレビ、セミナーに出演。車内の香り選び、お掃除術、成功するドライブデートプラン、運気をアップする車内の整理整頓術などドライバー視点で興味のあるテーマを取り上げて発信している。

 

編集者としての変遷

車を軸にしたさまざまな事業を手掛ける鈴木氏。その経歴には4つの段階がある。

 

出版社に勤務

学生時代、出版社を志望していた鈴木氏。主に自動車雑誌を出版する三栄書房に入社した時から、氏の編集者としてのキャリアが始まる。

最初に配属されたのは「AUTO SPORT」編集部で、レースの取材をしていました。
その後、チューニング専門誌「Option」に転属したのを機に、自分でも車を購入してカスタムをするようになりました。自分でいろいろ試してみるのが一番チューニングに詳しくなると思ったので。
今思うと、私が車好きになったのはここからですね。それまではペーパードライバーでしたから(笑)

のちに鈴木氏は、モーター誌の企画の一環として国際Cライセンスを取得し、アジアパシフックラリーにコ・ドライバー(ナビゲーター)として参戦している。
ちなみに、国際Cライセンスを取得するためには、JAF公認レースで2回以上の完走が必要とのこと。要するに、氏は国際Cライセンスが必要なレースに参戦する資格があるのだ。

 

個人事業主として独立

物心ついたころから書籍、雑誌好きが好きだったという鈴木氏。
「車の専門誌だけでなく、ライフスタイル誌やファッション誌、書籍が自分に作れるかどうか試してみたい」という思いが膨らみ、独立したという。これにより、自身のキャリアに広がりが出ることとなる。

独立してすぐ大手出版社に持ち込んだ企画が採用され、女性誌とご縁を持つことができました。
その後、別の出版社の女性誌で特3(※雑誌の第3特集にあたるもの)を担当し、編集長に鍛えていただきました。
この頃は、車の雑誌ではお仕事をご一緒する機会のない、モデルさん、ヘアメイクさん、スタイリストさん達と関わらせていただくなど、一般誌の編集者としてのノウハウを学んだ時期だったと思います。
同時に、「20代女子の車選び」(女性誌)、「新婚さんの車選び」(ブライダル誌)、「ワンちゃんと行くドライブ」(動物誌)など、女性視点でのカーライフの提案という自身の専門性が高まった時期でもありました。
おかげさまで、自分がやりたいと思っていた雑誌、自分が読んでいて好きだった雑誌は、ほとんど渡り歩くことができました(笑)

 

フリーペーパーの編集長に就任

そして、編集者としてのさらなる充実の機会が、古巣の三栄書房からもたらされる。

私を育てて下さった三栄書房から「女性のためのカーライフマガジンを創刊できないか」という打診をいただきました。
ありがたいことに、車の専門知識と女性誌のノウハウを併せ持つという点で、私が適任だと考えて下さったのでしょう。
その期待に応えたいという想いと、ゼロから作るということで専念したいという気持ちが高まり、連載を除くそれまでの仕事を一旦すべて休止させていただいて、委託を受けた外部の人間として3年間、編集長に専念しました。

これまでの車専門誌にはない、鈴木氏の斬新な企画案に、関係者全員がのけぞったという。

カーライフマガジンに見えないカーライフマガジン「Antenne」(アンテーヌ)

フリーペーパーですから、とにかく手に取ってもらってお持ち帰りいただくことが大事です。
そのための工夫が、まず表紙です。女性に手に取っていただくために、花をメインにしました。かろうじて車は背景に写ってはいますけど、パッと見はわからない(笑)
花をメインにしたのは「手に取っていただいてありがとうございます」「お持ち帰りいただいてありがとうございます」という感謝の気持ちも込めたからです。
もうひとつの工夫が、記事の順序です。
例えば、ある号で最も伝えたい記事が「雪道の走り方」であった場合、それを冒頭には持っていきません。
冒頭には、車に興味がない方でもわくわく楽しく読んでいただけそうな、大人が本気で作る雪だるまの作り方レシピなどの記事「雪だるま特集」を掲載し、手に取ってぱらっとめくったときにラックに戻されないような工夫を施しました。

ゆりかもめ沿線の各駅、東急ストア、イトーヨーカドー、オートバックスに設置されていたという「Antenne」。
鈴木氏の工夫が奏功して、消化率(お持ち帰り率)は限りなく100%に近かったという。

 

株式会社の設立

次なる転機もまた、古巣によってもたらされた。今度は切ない形となったが。

わが子のようにまごころを込めてゼロから育てた「Antenne」でしたが、諸事情あって休刊することになってしまいました。
こんなに悲しい思いをしないためにどうすればいいんだろう、と考えた結果、「私が倒れない限りクローズすることのない媒体を自分で創るしかない」という結論に至りました。
それが起業のきっかけです。媒体をつくるために箱(会社)を作った、というかんじですね。

こうして2010年、オフィスタマ株式会社が設立されて現在に至るというわけだ。

 

「とんがりガールズ」

オフィスタマで手掛ける最も興味深いプロジェクトの1つが、「とんがりガールズ」である。
とんがりガールズは、女性ドライバーを応援するサイト「カーユニウーマン」の人気コンテンツのひとつ。
カーユニウーマンの会員にはペーパードライバーや運転が苦手な方もおられるが、その中で、マイカーが大好きな女性を「とんがりガールズ」として紹介していたところ、それが次第に大きくなり、マイカーが大好きな女性ドライバーのコミュニティとして独立するに至ったそうだ。
2015年より、定期的に年4,5回、とんがりガールズ主催イベントが開催されている。マイカーが好きな人、車に乗っているドライバーであれば、男女問わず気軽に参加できるイベントとのこと。

イエローハット新山下店で開催された「TONGARIゆるりオフ会」で、とんがりガールズが選ぶ、助手席に乗りたい車No.1を選んだときの模様。

「とんがりガールズ」とは、自分らしさを表現するひとつとして、とんがったクルマ=こだわりを持って選んだマイカーに乗っている女性ドライバー、つまりマイカーが大好き、車が大好きな女性ドライバー同士が集まるコミュニティです。
とんがりガールズ宣言!!から応募していただくことで会員になることができます。

現在、とんがりガールズの会員数は500人を超える。特別な宣伝や広告はしていないものの、メディアに採り上げられる機会も出てきたこともあり、会員数はさらに増えているそうだ。

年齢層は幅広く、下は10代から上は80代まで、北は北海道から南は沖縄まで、全国に会員さんがいらっしゃいます。

なお、80代のとんがりガールズさんは、新車の86(赤)に乗っていらっしゃるそうだ。敵いませんね…。

 

華やかなとんがりガールズだが、鈴木氏の話を伺って、その真の目的が意外なところにあることを知った。

とんがりガールズには、交通事故をゼロにするための主導者になってほしいという想いがあります。 そういう啓蒙活動は、目立たないと声が届きません。ですから、「とんがりガールズ」という耳に残る響きとともに、マイカー好きの女の子たちが率先して安全運転を呼び掛けることによって、その想いが皆さんの心に届くと信じ、PR・発信を続けていきたいと考えています。

 

オフィスタマのこれから

活動の幅が広がると共に深化しているオフィスタマ。今後のビジョンを伺った。

車好きの人をもっと増やす

車好きの人が増えれば、みんながマイカーを好きになれば、事故がゼロになると私は信じています。
それに、車は自分で運転する自分の持ち物の1つです。自分の持ち物に愛着があった方が楽しいじゃないですか。自分の持ち物であるマイカーに愛着を持てれば、きっと他人の車も大事にするような運転ができると思うんです。

 

とんがりガールズの仕事のサポート

カーグッズのプロモーション、試乗インプレッションなどは、車好きの女の子がした方がよりリアルだろうということで、とんがりガールズにお仕事のオファーをいただくようにもなってきました。
こうしてとんがりガールズが注目され始め、その存在が仕事の面でも成立する形が見えてきたわけですから、会社としても、より体制を強化していこうと取り組んでいるところです。

 

車と健康。生涯、車に乗ろう!

「生涯クルマに乗ろう!」を合言葉にYOGA Drive(ヨガドライブ)を立ち上げました。みんなが心地よく幸せに自分の生活を楽しめるように、体と心を積極的にセルフケアする方法をお届けするサイトです。
車を安全に楽しむために、人生を味わい尽くすためにも大切なのは、健康。気負わず、かろやかに人生を歩んでいく方法を、みなさんともに考えて発信することができたらと思っています。

 

後進カーライフ編集ライターの育成

車と健康も含めて、女性視点で「カーライフ」について記事が書けるライターさんがなかなかいらっしゃらないのが現状だと思います。
ライターにとって何か自身の特徴を持つというのは大事なことでもありますので、企画提案も自在にできるカーライフ編集ライターを育成しようと考え、計画に着手しています。

今回のインタビューに同席して下さった藤沢亜純さん(写真左)も、カーライフ編集ライターとして修行中だそうだ。

なお、藤沢さんも、北陸在住当時はシルビアs15でサーキットを走っていたというバリバリのとんがりガールズさんであることは特筆しておきたい。

 

鈴木氏の愛車たち

最後に、鈴木氏の愛車たちを紹介しないわけにはいかない。

現在の愛車、カングー。車内はCABANAのシートカバーで模様替え。もちろん、マニュアルミッション。いつでも乗り込めば旅気分が味わえるところが気に入っているとのこと。

 

過去の愛車、180SX。会社を辞めてから、愛車を最高速仕様に改造し、船でアメリカに運び、ネバタ州で毎年開催されているシルバーシテイルクラシックカーチャレンジに挑戦したこともあるそうだ。

 

編集後記

ちょうど1年ほど前だったか、25年同じ車に乗り続け、走行距離が25万kmに及ぶという女優さんが話題になった。
普通の人はなかなか真似できないと思うが、そういうふうにマイカーを大事にする人が増えれば、鈴木氏の言われるように交通事故はきっと減るだろう。

オフィスタマと「とんがりガールズ」の啓蒙が、すべてのドライバーに深く深く浸透しますよう。

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