採用する人が健康な状態かどうかは、会社にとって非常に大切な要素のひとつですよね。能力が高いと思ってせっかく採用したのに、実は重い持病があることが判明してフルパワーで働いてもらうことができなかった、というようなことになってしまっては会社にとっても本人にとっても残念です。
そもそも、労働安全衛生法という法律では新たに雇い入れる労働者には健康診断を実施しなければならないと定められています。ただ、入社してくる人が本当に健康な状態なのか確認するためには、いったいどのタイミングで健康診断を行えば良いのでしょうか?
入社希望者の健康診断のタイミング
選考中に実施するのはOKか
結論から言えば、選考中に健康診断を行うことは特に違法とはされていません。ただ、その健康診断の内容と業務内容とがリンクしている必要があります。
どういう事かというと、「ちゃんと働ける健康な人なのかチェックする」ための健康診断ならOKなのですが、「変な病気にかかっている人には入社して欲しくないなぁ」というような意図で行う健康診断は問題になる可能性があるという事です。選考とは「応募者がその仕事をこなす適性と能力を持っているか」を判断する場ですから、これに関係ない検査をすることは好ましくないのですね。例えば、「HIVに感染してないかどうかチェックするために健康診断の一環として血液検査を行う」というのは就職差別に繋がる恐れがあるため問題ありです。
直近の健康診断結果を提出してもらうのもアリ
応募者が直近で健康診断をもし受けているのであれば、その結果を見せてもらうというのもアリでしょう。法律(労働安全衛生法)上でも、採用前3ヶ月に受けた健康診断結果を提出すれば、入社後の健康診断は省略しても良いことになっています。
入社後に健康診断を行い、持病の存在が判明した場合
仮に内定→入社後に健康診断を行い、働く上で配慮が必要な持病の存在が判明した場合はどうすればいいのでしょうか。
この場合は、その方が本当に働ける状態なのか主治医や産業医、本人と相談のうえ判断することになります。「働けない状態であった」という判断が下ったのであれば、結果的に入社取り消しになってしまうのもやむなしでしょう。
企業は労働者の健康や安全に配慮する義務を負っていますから、こういった状態をあらかじめ知っていた上で働かせ続けてしまうと、後々本人や家族から損害賠償を請求される可能性もあります。そのため、健康に問題がある社員をムリに働かせるのは避けるべきでしょう。
まとめ:なるべく入社日までに健康診断を実施しよう
ここまで健康診断のタイミングについて解説してきましたが、本人のためにも会社のためにも、健康診断を実施する時期は内定〜入社の間に実施しておくことをおすすめします。選考途中に実施してしまうと辞退者・不合格者が出た場合余計なコストがかかってしまいますし、入社後に実施する場合は健康状態を全く把握できないというリスクが残ります。もちろん面接で健康状態についてしっかりヒアリングをすることも重要ですが、お互いが気持ち良く働けるようにするためにも入社日前に健康診断を実施することを制度として導入してみてはいかがでしょうか。