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「菌ケア」という発想からユーザーの課題解決を目指す、注目の”菌”スタートアップ!?株式会社KINS下川穣【起業インタビュー210回目】

公開日:2023.03.01

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腸内や皮膚・頭皮など、私たちの身体におよそ1,000兆個存在すると言われる「菌」。ここ数年、腸活など私たちが保有する菌にアプローチをする健康法や美容法を耳にする機会が増えましたが、近年研究からヒトマイクロバイオーム(※)が健康や疾患に密接に関係することが明らかになってきています。これまで局所的でしか解決出来なかった健康や美容に関する様々な問題を、「菌ケア」という発想から解決を目指す、注目のスタートアップKINSについてファウンダーの下川氏にお話を伺いました。※ 人間の体に共生する微生物(細菌・真菌・ウイルスなど)の総体

 

プロフィール(株式会社KINS 代表者 下川 穣氏)

岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導を行う。医療法人時代に、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌ケアによる根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。現在はシンガポールに拠点を移し、アジアへの事業拡大を図る。

 

株式会社KINSについて

ー 事業内容について、教えて下さい。

腸内をはじめとする皮膚や頭皮など全身にいる1,000兆ともいわれる常在菌のバランスを整える(=菌ケア)サプリメントや化粧品を提供しています。また、2021年には愛犬愛猫のための菌ケアブランド「KINS WITH」もローンチしています。

 

ー 菌を取り込むということ自体、腸活などの健康トレンドで見かける機会は増えましたが、スキンケアやヘアケアなどの皮膚に対してのアプローチは新しいと感じましたが、実際効果としても高いのでしょうか?

スキンケアを例にお伝えをすると、ニキビになりやすい方には高い効果を発揮します。ニキビの原因となるアクネ菌には悪玉と善玉の2種類が存在し、悪玉が増えている状態の方がニキビになりやすいんです。ただ一方で、善玉のアクネ菌もあるので肌のアクネ菌が減っている状態というのも、これまた良い状態とは言えないんですね。KINSの商品ではそのバランスを整える様になっていて、悪玉の多い方には菌が減り、善玉が減っている人には菌が増えるという効果を発揮する様になっています。

 

ー なるほど!(菌を)取り込むことをイメージしていましたが、そのバランスを整えることも大事なんですね。菌を活用したプロダクトのイメージ、特にスキンケアやヘアケアなどは、個々によって変わる部分もあり、それを万人に届ける難しさが存在しそうなイメージを感じていますが、その辺りについてはいかがでしょうか?

近年のトレンドも含め、パーソナライズ領域は我々も視野に入れている分野です。しかし、より良いバランスは個々によってパーソナライズされても、より良い環境は、さほどパーソナライズされないと考えています。多くのユーザーが抱える困りごとに対して深めていくことが、最終的にはパーソナライズに近くなると考え、はじめからパーソナライズという選択を取らないことに決めました。

 

ー なるほど。KINSが提唱する「菌ケア」についても教えて頂いていいでしょうか?

個人の多くの悩み(症状として出ているものからコンプレックスまで)は、我々が持っている常在菌が関与しています。また「キレイになりたい」「健康にいきたい」と願う人の課題の解決にも、菌が深く関与します。私たちは、そういった課題の解決策として、【菌を意識した生活】をKINSの事業と共に3つ提唱しています。

 

1.菌を取り入れる

2.菌を育成する

3.菌の邪魔をしない

 

知識がなくてもいいので、私たちが保有する菌に対していいことをしていくという生活が、KINSが推奨する菌ケアです。

 

大きなペインが、マイクロバイオームによって解決するのではないか?と感じ、起業へ。

起業することの意識についてはいつ頃からお持ちだったのでしょうか?

学生の頃から「社長になりたい」と思っていました。ただ、身近にそういった人もいなかった為、初めはどこか遠くの存在として捉えていました。それがより身近になったのは、20代の時に歯医者として雇用される立場の傍ら、副業で経営コンサルや会社経営に近い経験をしたことが、会社経営のイメージを具体的に持て、自分の中で「起業」という選択肢が、より身近なものとなりました。

 

ー そこから、実際に起業されたきっかけについても教えて下さい。

原体験として大きかったのは、そこからクリニックで働いていた時でした。そこでは日々慢性疾患に悩まれる方と向き合ってきましたが、当時共同研究を通して勉強していたマイクロバイオームを取り入れた治療法を生活改善の提案と共に試したところ、中には劇的な効果・改善が出る患者さんもいて、この領域に関する可能性を大きく感じました。当時の現場は壮絶で、慢性疾患の悩みから問診時に涙する患者さんもいれば、治療によって効果を実感することで嬉しさの余り涙をする患者さんもいたりと、そこでの体験は、大きなペインがマイクロバイオームによって解決するのではないかと感じる出来事でした。

 

そもそも「マイクロバイオーム」とは、何なのでしょうか?

例えば、鎮痛剤として有名なロキソニンを飲めば一時的に痛みは収まりますが、それって解決の仕方としてはすごく局所的な対応でしかありません。腸内細菌や皮膚細菌に働きかけるマイクロバイオームの場合、細菌のバランスに働きかけるので、ダイエット効果を期待しながら、お肌の調子もよくなるし、お腹の調子もよくなるしといった、アレルギー症状も緩和されるなどといった放射状の効果を発揮しつつ、患者さんの悩みを解決することが出来ます。

 

ー なるほど。医師というキャリアからスタートアップを創業するという選択もとても興味深いですが、クリニックの開業ではなくスタートアップを起業する、という選択を取られた経緯についても教えて下さい。

クリニックという形態は、基本的にドクターによって構成される組織な為、1人1人の症状を改善するプロフェッショナルであっても、世の中にその価値を展開〜拡張させるプロではありません。そうなった時の選択としては、自分がマイクロバイオームに特化したクリニックを開業するのではなく、世の中に広く価値提供を起こすという手段として、株式会社という選択を取ろうと決めました。

 

そもそもマイクロバイオームは、現状薬になっていません。海外ではそれに着手している会社も出てきましたが、アプローチとしてはまずサプリメントや健康食品というカタチを取るのであれば、尚更クリニックより株式会社というカタチの相性が良かったです。ソリューションを提供しながら、エクスパンド出来るカタチにおいて、株式会社が最適だった為、(クリニックの)開業ではなく、スタートアップとして起業する選択を取りました。

 

今後について

ー 中長期的な展開についてお教え下さい。

これまでの事業展開を大まかに説明させてもらうと、第一段階として、ヒトのお腹の中にいる菌に注目をしたにした健康食品〜検査キットからはじまり、その後、化粧品〜ヘアケア市場とペット市場にこのマイクロバイオームの観点を取り入れた展開をしてきました。今後は、それをクリニックとしてもリアルに展開することを考えており、この4月にまずは海外での開業に向けて、目下準備中です。またこれはまだ具体性を帯びていないですが、婦人科と歯科にも拡げたいとも思っています。日本では株式会社がクリニック経営をすることが認められていないので、クリニックでの展開は、当面アジアを中心とした海外でやっていきます。

 

もう少し先の話でいうと、ニキビと乾癬(かんせん)に効果を発揮する薬の開発や、ペット領域における更なる事業分野の拡大なども検討中です。

 

ー 最後に、記事内でお伝えしたい事項もあればお願いします。

まずはユーザーにとって分かりやすいプロダクトを中心とした展開をはじめたKINSですが、この4月にようやく1人1人の悩みにアプローチできるクリニックを、この4月にシンガポールに開業するところまで辿り着きました。これにより私たちが描くロードマップの全体像は見えましたが、まだまだ道半ばですので、ここからの展開に是非注目してもらえたら嬉しいです。

 

ー はい!御社のこれからの展開がとても楽しみです。このタイミングでしか聞けない貴重なお話、ありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございます。

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