高齢化や人口減少など様々な問題から国内市場はシュリンクすると予想される日本。「このまま各企業が海外進出に手を打たなかったとした場合、売上シェアが変わらなければ20年後の売上は10%以上減少する試算が出ている」と今回取材をした起業家 大村氏は話します。避けては通れない、日本企業の海外営業、しかし、そこに割くコストやリソースなど海外営業に関する様々な敷居を限りなく下げ、日本企業の海外進出を支援するサービス「セカイコネクト」についてお話を伺いました。
プロフィール(COUXU株式会社 代表取締役 大村晶彦氏)
2011年3月よりアリババマーケティング株式会社にてAlibaba.comの日本でのマーケティングを担当。日本企業の海外進出サポートに従事する。2013年に独立しCOUXU株式会社を設立。海外企業に向けて日本企業からの仕入れルートを紹介するコマースソーシング(商流調達)事業セカイコネクトを展開。海外営業に不安を持つ企業に対してアカデミーサービスを提供することで、より日本企業が海外企業に対してビジネスしやすい環境を作り、これまでに累計約400社の海外進出を実現している。
COUXU株式会社について
ー 事業内容について、教えて下さい。
COUXU株式会社は、200社の日本企業と共に、29か国 2,000社の海外企業へ 輸出を行なっている会社です。弊社が行っている事業内容は、コマースソーシング、つまり「商流の調達」となっており、日本企業の商品を継続的に購買してくれる代理店とのビジネス起点の創出を主な事業としております。現在は、そういった海外企業との商談機会を開拓するツール「セカイコネクト」の開発と運営をしております。
ー 海外企業との商談機会を開拓するツール「セカイコネクト」とは、どんなサービスなのでしょうか?
セカイコネクトは、海外企業の調達の要望をクラウド上で日本企業に 掲載・提案できる環境を提供することで、海外企業との商談機会を開拓・提供するサービスです。
従来、日本企業が展示会などオーソドックスな手法で海外企業に商談接点を持とうとした際のコストは、1商談あたり約10〜20万円ほどかかると言われており、商談機会を設ける準備まで入れたら、期間は少なくとも2~3ヶ月はかかってきます。我々のサービスでは、それを月額3万円・最短5分でおよそ2,000社の海外企業に対して提案が出来る世界を実現しました。
ー それはすごいですね!これって、日本企業が海外企業に対して、(サービス上で)提案を行うプッシュ型のものなのでしょうか?
セカイコネクトの特徴でもありますが、私たちはそれを逆からしていて、「海外企業の日本からの仕入れを支援する」という流れでサービスを設計しています。例えば、マレーシアの企業が日本から化粧品を仕入れたい、シンガポールの企業が日本から食品を仕入れたいなど。海外企業の仕入れニーズをサービス上で可視化し、それに対して日本企業が提案を出せるという設計になっています。
ー なるほど!既にニーズとしてある、仕入れに対してアプローチが出来るんですね。
はい、そうです。今後は日本企業からのダイレクトアプローチが出来る機能も追加していきたいですが、既にニーズのあるところに提案が出来るという点は、無駄な商談機会の創出にも繋がりにくいですし、登録している国内・海外企業にとってもメリットのある話かと思います。
「目の前にバイヤーがいるときに商談ができない」海外営業に苦戦する日本企業の課題
ー そもそも日本企業が海外進出において抱えている課題についても教えて下さい。
多くの日本企業の課題は、目の前にバイヤーがいたとき、その場で商談ができないことです。海外営業のゴールは実現させることではなく、再現し続けることに意味があると思っています。1回の海外営業で100万円の売上を上げて粗利20〜30万を稼ぐことではなく、年間にして数千〜数億円の利益になるものを目指さなければ、ただの面倒な手間を増やしただけで終わってしまいます。
その為に、再現性が必要だと私たちは提唱しているワケですが、現状多くの企業が自社だけでそれを完結することが出来ず、多くの外部サポーターの力を借りているのが現状です。
ー やはり言語の面でのハードルが高いということでしょうか。
そうですね。そこに対しては、実はセカイコネクトの中でも海外営業人材を育成するプログラム「セカイコネクトアカデミー」というサービスを提供していまして、自社内での人材育成の支援もさせて頂いております。
ー 日本企業の海外進出を支援する会社は他にも存在しそうですが、御社の様な規模感で世界にアプローチ出来る会社やサービスはあるのでしょうか?
特定の国に特化した海外進出を支援する会社は存在するでしょうが、我々の様な規模感でやっている会社はあまり聞かないですね。
ー 素朴な疑問で、どうして御社ではそれを実現できたのでしょうか?
一つは、自分たちが(それを)ずっとやってきたという中での知見が大きいです。
どうしたら日本の商品が海外で購買されるのか?を研究してきた中で、成果が出るかも分からない海外営業にリソースを割きづらいという国内企業の課題は、私たち自身もよく分かります。その理由としては、私たち自身も創業から、資本金300万・人員1〜2名の少ないリソースからスタートさせたという経緯にもあり、限られたリソースの中でいかに大きい成果を出すかを自社で研究してきたからこそ、従来の様に資金を使わずとも海外営業が出来るサービス設計にまで辿り着くことが出来ました。
日本企業の海外進出に寄り添う会社をつくりたかった。
ー 起業することの意識は、いつ頃から持っていたのでしょう?
キャリアの中でも、それほど強く意識したということはなく、キッカケになったのは一緒にやる人間が見つかったという、それだけに尽きますね。ただ、当時私を誘ってくれたメンバーは入社して2週間で辞めちゃいましたけど(笑)
ー そうだったんですね(笑)それまではアリババにお勤めだったとのことですが、初めはアリババでやれていることをそのまま独立して、日本企業に向けて展開するといったイメージだったのでしょうか?
そうですね。ただアリババに勤めていて感じていたのは、あくまでもメインの市場は中国市場であり、今後もその方針はおそらく変わっていかないだろうと様々な観点から感じていました。一方で、これからの日本企業の海外進出を考えた時、グローバルの中でも遅れを取ることは、人口分布や置かれている状況的にも必須で、海外人材との繋がりやコミュニケーションを取らずして、社会人になる多くの日本人がいきなり海外営業のできる人材になるのは、ほぼ不可能であると考えます。こういった状況を前職であるアリババが変えられるのか?と思った時、そこに限界を感じ、日本企業の海外進出に寄り添う会社をつくりたいと思ったのが創業の経緯ですね。
今後について
ー 中長期的な展開についてお教え下さい。
現状は、海外企業からの「これが欲しい」というニーズに対して提案が行えるサービスですが、これからは、その欲しいというニーズやトレンドを日本企業自ら発信できるところにも着手したいと考えており、そこの開発を進めています。最終的には、新しい商社のカタチを我々から提案できればいいと思っていて、従来の効率よくモノを販売でき、購買させることの出来る商社としての役割から、新しい「欲しい」をつくっていける様な商社に私たちはなっていきたいと思っています。
ー 最後に、記事内でお伝えしたいPR事項などもあれば最後に書きます
二つありまして、まず一つ目は、採用活動を積極的にやっています。これからは、クロスボーダービジネスが出来る人材の価値が高まる市場になっていくことは間違いありません。そういったキャリアの形成やビジネスパーソンに興味のある方は是非弊社に応募頂けたらと思います。
二つ目は、日本企業の海外進出に向けた無料診断サービスをスタートさせました。日本企業の中でも、「自分たちの商品は海外で売れるのか?」「これから海外進出に向けて何をすればいいか分からない」といった悩みを抱えていらっしゃる企業は多いと思います。そういった企業に向けて、25問の質問に答えるだけで、その適性を判断し、これから何が必要かを104万通りのパターンから導かせて頂きます。弊社のこれまでの知見を詰めた内容となっておりますので、比較的精度の高い結果を導ける自信がありますので、是非海外営業を検討される日本企業の皆さまに活用頂きたいです。
ー まずは、自社の状態を知るという意味でも取り組みやすいサービスですね!是非、メディアでも紹介させて下さい。本日はありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございます。