このリアルの世界で人が深く温もりある繋がりを創れるような事業をしたい。顔認証プラットフォーム「FreeiD(フリード)」DXYZ株式会社 木村晋太郎【起業インタビュー193回目】|起業サプリジャーナル

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このリアルの世界で人が深く温もりある繋がりを創れるような事業をしたい。顔認証プラットフォーム「FreeiD(フリード)」DXYZ株式会社 木村晋太郎【起業インタビュー193回目】

公開日:2022.07.29

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海外では無人店舗や決済などに利用される機会が多くなっている「顔認証」。日本国内でも、少しずつ利用できるシーンは増えているものの、まだまだ私たちの生活に馴染みがあるものとは言えない、と今回取材をした起業家 木村氏は語ります。テクノロジーやITを、人間本来のアナログな関係を充実させていくために活用したいと語る同氏に起業の経緯やサービスに込められた豊かな社会の実現について等、色々とお話を伺いました。

 

 プロフィール(DXYZ(ディクシーズ)株式会社 取締役社長 木村晋太郎氏)

慶応義塾大学 法学部法律学科卒業。在学中にシリコンバレーの通信系ベンチャー GigSky, Inc.に出資・インターンし、日本市場のマーケティングを支援。三井物産株式会社 ICT事業本部に入社し、米・イスラエルのサイバーセキュリティ企業への出資・日本へのサービス展開に従事。

その後、三井物産エレクトロニクス社に出向し、物流業界向けに新たなDXサービスの立ち上げをプロジェクトマネージャーとして実施。顔認証プラットフォーム事業(FreeiD)の対外的なローンチに向けてDXYZ株式会社に参画し、2021年4月に取締役社長就任。

 

 DXYZ株式会社について

 

ー 事業内容について、教えて下さい。

顔認証プラットフォーム「FreeiD(フリード)」の開発と提供をしています。

 

顔認証IDプラットフォーム事業「FreeiD(以下、フリード)」とは、どんなサービスなのでしょうか?

フリードは、鍵や財布・スマホを持つことなく、手ぶらでリアルな世界でのあらゆる行動、「入退」「認証」「決済」を繋ぐ顔認証プラットフォームです。これまでの顔認証サービスは、アプリやシステムがそれぞれ異なり利用場所ごとにユーザーの顔登録が必要でした。フリードでは多種多様な顔認証エンジンと連携することで、一度の顔登録で様々な顔認証サービスを利用することができます。また、それ以外の特徴として、オプトインという形式でユーザーが利用すると選択した場所だけで顔認証が使えるという形式を取っていますので、海外のように至るところで監視されているといったこともありません。この辺りについては、ビジネスモデルの特許を取得しており、一つのUIから、各顔認証エンジンと連携し、さまざまなサービスを受けることが出来るのは、国内では我々だけかと思います。

 

実際、フリードはどんな場所で使われているのでしょうか?

現在は、入退出を伴う場所、例えばマンションやオフィス、保育園やテーマパークといった場所が多いです。直近の事例でいうと、国内で初めて「オール顔認証マンション」をフリードで提供しており、エントランスの入室からエレベーター〜部屋の鍵、宅配ボックスにある荷物の受け取りまで、顔認証だけで鍵を持たずに手ぶらで暮らせるマンションをつくりました。今後は、ホテルのチェックインや、自治体まわりの公的書類に伴う、本人確認といったところ等、利用出来る範囲を拡大したいと考えています。

 

ー Amazonの無人店舗や中国での事例などを目にすることは増えましたが、まだ日本では「顔認証」自体、あまり馴染みのない印象を持っていますが・・その辺りについては何か遅れている理由があるのでしょうか?

東京ドームも顔認証で入れるようになっていたり、バスケットボールのプロリーグでも一部顔認証で入れるようになったり、マンション、その他オフィスでも顔認証で入れる場所が増えてきてはいますが、全体を見ればまだまだ普及しているとは言えません。その理由の一つが、顔認証の「エンジン」と呼ばれる、撮影した顔と登録した顔が合ってるかどうかを照合する技術を作っている会社と、それをサービスで使う会社が分断されていることにあります。都度サービス毎にアカウントを作成し、そこに自分の顔写真登録して、という手間や不便さが、普及を妨げている要因であると考えられます。

 

ー なるほど。サービスのビジネスモデルとしては、どの様にしてユーザーからお金をもらうのでしょう?

大きく分けて、(ビジネスモデルが)3つあります。1つ目が「ソリューション提供」というアプリ内にある既に我々でパッケージ化したマンションやオフィスなどのサービスを販売していくものです。そして、2つ目が業界や現場のニーズに合わせてサービスをカスタマイズしていく「カスタム開発」。例えば、現在工事現場の入退に合わせた仕様を開発しています。通常より安く顔認証サービスをカスタマイズ提供する代わりに、今後フリードのサービスラインナップの一つとしても加えさせてもらう契約をしており、同業種での同様な悩みにも展開できる様にしています。そして、最後に我々の顔認証基盤を提供し、他社のサービスのUIの裏で動く「プラットフォーム提供」の計3つがサービスのビジネスモデルとなっています。

 

 「人と人の深く温もりのある繋がりを創る」このリアルの世界の人を、幸せにするような事業をしたい。

ー 起業することの意識は、いつ頃から持っていたのでしょう?

起業を決意したのは高校3年生の時です。実は、私の父も起業家でして、父は26歳でつくった通信系の会社を東証一部まで上場させ、当時野球スタジアムの命名権を買ったり一時期は時価総額も3,700億円ほどついた会社を経営する人間でした。幼少期は会社を継ぐものだと思っていたため、「将来、親父の会社に入りたい」と父に尋ねたのですが、『お前が優秀だったら、自分で起業をして、おれの会社を買収しろ。その後一緒に仕事をしよう』と言われ、その時に(自分も)起業をしようと決意しました。

 

ー そこから実際、どうやって起業されているのでしょうか?

新卒では三井物産に入社し、サイバーセキュリティの事業をアメリカやイスラエルに投資して日本にその技術を持ってくるようなことや、物流関連のDX事業など0からプロジェクトを立ち上げる経験を丸6年しました。DXYZには、プロパティエージェントという不動産デベロッパーが親会社があります。代表取締役の中西さんとは個人的に元々繋がっていたこともあり、今回の縁が生まれています。

 

プロパティエージェントは、不動産を建てて売る、というデベロッパーです。不動産にITを絡めた展開を構想する中で、顔認証を色々なサービスと繋げるプラットフォームの事業構想を兼ねてから伺っていました。当初は三井物産とジョイントベンチャーを作りたいという話もあったのですが、コロナの影響もあり、状況的に難しくなっていった背景もあったため、「じゃあ、私がそれをやります!」と手を挙げて今回の起業に至っています。

 

ー なるほど、そういった経緯だったんですね。

私自身はずっとIT業界におりましたが、テクノロジーに興味があるかというと実はそうでもなくて、顔認証とかテクノロジーは、あくまでもツールでしかないと思っています。この事業をやりたいと思った背景には、実は父の会社が買収した不動産デベロッパーがリーマンショック時に倒産し、責任として創業した会社の経営から退き、私自身は継ぐ会社がなくなった時でも周りの方々が「うちにおいでよ」と言ってくれたり、助けてくれたことに人一倍感謝をしたことがあります。この経緯から人とのご縁や信頼関係が何よりも重要だと感じ、自分が受けたご恩を百倍にしてお世話になった方々に返すのと、同じように人と人が深く繋がり手を差し伸べられるような信頼関係を築けるような社会にしたいと考えており、この事業・テクノロジーによって目指す世界を実現できるとと思ったのが最終的な決め手でしたね。

 

なので、他の起業家のようにVCから出資をシードでもらって、といった形ではないですが、結局起業にも色々なやり方があるとは思っています。勿論、この会社は上場も視野にいれて始まっている会社ですので、将来的には独立をしていきますが、私はこの顔認証を「日本全体に広めていきたい」というチャレンジングな挑戦をする時に、親会社の存在や看板があってスタートできることが、最短距離かつ最高確率の選択肢であると思っています。「独立系ベンチャーじゃなければいけない」という見栄や「オーナーシップ持って何%株式を持ち、その時に上場益が・・」といったお金や名声、そういうものを追わなければ、確実に社会を良くするということのゴールに対しては、一番の近道だと考え、この道を選びました。

 

顔認証という切り口でいったら、やっぱり一番初めに使われるのは暮らし…つまり、住環境がイメージしやすい分野だと思うので、そういう意味でも親会社の存在やスタート時からの連携については、とても納得です。

私たちの目指す世界を「人と人の深く温もりのある繋がりを創る」と言語化していますが、私自身は平成生まれではあるものの、結構中身が昭和なところがあって、【リアルな世界をより充実させるためのテクノロジーであれ】と思っているんですね。今こうしてSNSやメタバースだと、簡単に人と繋がることができるような時代になり、離れている人とも簡単にコミュニケーションを取れるようになったのは、テクノロジーのおかげであることは間違いないと思います。ですが、やはり人と人の友情や信頼関係は、リアルな世界で一緒にご飯を食べたり、スポーツ観戦したり等、五感を共有するような体験から作られていくのが本来なのでは?と感じます。そのため、この顔認証という最先端のデジタルのテクノロジーを使って、人間本来のそういうアナログな関係というものを充実させていきたい、というのが根底の想いとしてはありますね。

 

 今後について

ー 中長期的な展開についてお教え下さい。

これまでの戦略は、点を線にして、更に面にしていくことで顔認証の普及を計ろうとしていました。現在は、自治体や鉄道会社、大きなスタジアムや、そもそも街を創ろうとしている事業者様とも話をしており、最初から「面」を持ってるところに、顔認証の基盤として参画し、顔認証によって色々なことが便利になる社会を加速させていきたいです。ですので次の狙いとしては、モビリティや街にフリードを入れていくことを仕掛けていきたいです。

 

ー 最後に、記事内でお伝えしたいPR事項などもあれば教えて下さい。

現在、採用活動を積極的に行っています。幸い現在のメンバーには大手企業を辞めて、DXYZに飛び込んできてくれた様なメンバーも数多くいますが、現在、最も大事にしているのは、DXYZを選んでくれたことで、ビジネスパートナーを超えた繋がりとなりその縁が一生続いていき、将来仮に別の道を歩んだ時にもお互いが成功した時に本当に喜び合えるような仲間と一緒に事業をやりたいと思ってメンバーを集めています。

 

「ここにいる人が好きで、このチームでやりたいからやる」というような仲間を増やしていきたいと思っているので、事業をきっかけで興味を持っていただいた方でも、社内メンバーに会って、メンバーを好きになって、同じ思想と同じベクトルを向いた仲間が増えていったらいいなと思っていますので、興味のある方は是非ご応募ください!

 

ここ数年で「顔認証」で便利になる社会を実感する機会が増えるのかな、という兆しを感じられて何かすごく楽しみになりました。今日はありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございます!

 

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